格差社会: 何が問題なのか (岩波新書 新赤版 1033)

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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310334

感想・レビュー・書評

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  • 日本の格差についてよく考察されているが、比較的北欧礼賛チックなのかな。
    確かに目指すべきところとして高福祉国家である北欧を模範とすることはよいが、北欧にも問題はあり手放しな絶賛は出来ない。

  • 格差社会とは何か、データを用いて実証的に説明しながら、その是正策を説いている。

    小さな社会にすることは必ずしもいいとは限らない。
    競争などの機会の平等を保っていくことが必要。

    簡潔な説明で、理解しやすい。このテーマの入門書として使えそう。

  • "統計データを知りたかったのでこの本を今日は読みました。
    著者の考えとは自分は違う部分も正直多いですが、 過去から現在の数字を並べながら検証していくと様々理解の幅が広がります。
    残念ながら格差社会を解決することは今の日本にはできないでしょう。
    変わる仕組みがありません。
    やはり自らが学び、努力し、理解し、成長し、生涯安心できる仕組みを創り上げていくしかないと思います。 私ができることは、一人でも多くの皆さんに自分のノウハウを伝えていくことだと思っています。"

  • 難しいことはなにも書いていない、格差社会の問題についての入門書的な本だと思います。結論は格差問題では定番のアメリカ型orヨーロッパ型どちらを選びますか、というものです。もっとじっくり考えて自分で結論出したいなと思いました。 

  • 労働契約法
    参考書

  • 経済学者が書いた格差に関する本。
    日本は格差が開き過ぎているとの指摘。
    開き過ぎて結果、格差がないほうがましのような状態。
    しかしながら、分かりやすくという趣旨ゆえか数字や論拠がさっぱり分からない。
    所感が大部分を占めている。
    共感できるようなできないような本。

  • 現・同志社大学教授、京都大学名誉教授の橘木俊詔(1943-)による格差社会概論。

    【構成】
    はじめに
    第1章 格差の現状を検証する
     1 所得から見る格差の現状
     2 日本の不平等を国際比較する
     3 深刻さを増す日本の貧困
     4 統計に表れない格差の存在
     5 格差は「見かけ」なのか
    第2章 「平等神話」崩壊の要因を探る
     1 長期不況と失業の増大
     2 雇用に広がる格差
     3 所得分配システムの変容
     4 構造改革の何が問題なのか
    第3章 格差が進行する中で―― いま何が起きているのか
     1 新しい貧困層の様相
     2 低所得労働者が意味するもの
     3 富裕層の変容
     4 地域格差の実態
     5 奪われる機会の平等
    第4章 格差社会のゆくえを考える
     1 格差拡大を容認しても大丈夫なのか
     2 貧困者の増大がもたらす矛盾
     3 ニート、フリーターのゆくえ
     4 階層の固定化と人的資源の危機
     5 格差をどこまで認めるのか
    第5章格差社会への処方箋―― 「非福祉国家」からの脱却
     1 競争と公平の両立
     2 雇用格差を是正する
     3 地域の力を引き出す
     4 教育の機会を奪われない
     5 急がれる貧困の救済
     6 税制と社会保障制度の改革
     7 「小さい政府」からの脱却
    あとがき

    本書が出版されたのはちょうど小泉政権末期、次の内閣(結果的には安倍内閣になる)にバトンを渡そうとされていた時期である。

    著者は小泉政権が推進してきた新自由主義的な経済政策に異議を唱え、拡大する格差の縮小を訴える。これが本書の趣旨である。

    第5章を除けば内容はごくオーソドックスなもので格差社会論の概要をつかむのに適している。随所にグラフ、データが提示されているのも評価できる点である。

    ただ、そのデータの提示の仕方、解説の視角も競争原理を否定的に(もちろん全否定しているわけではない)捉えて説明されており、データを分析した上での主張というよりは、主張を裏付けるためにデータを貼り付けていったという印象である。

    特に税制度の段では、国税-地方税との負担率変更をほとんど説明することなく所得税の累進税率の引き下げのみを論じたり、経団連が常日頃引き下げを主張している法人税の税率について全く触れないなど、議論のバランスが悪い。いかにも岩波らしいと言えばそれまでだが。

    とはいえ、格差問題が現代日本社会の抱える構造的な問題であることは疑いもない。本書と堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』を併読すれば、その深刻さをより感じることができるだろう。また、この格差がいかに固定化しつつあるかということについては、吉川徹『学歴分断社会』で説明されている。

  • 格差社会の分析本。
    2006年発行ということはおそらく先駆けの本。
    格差社会の分析・対策は確かにごもっとも、なのですが、それがどこまでできるのか、、、と思うとちょっと疑問です。
    数字とか結果としてはそれが正しいんでしょうが、そこに至っているフリーターとかニート分析がちょっと、、、
    もちろん、何がしかのセーフティネットは必要、でも、そこに至るまでの過程というか、努力を大切にする(そして大切だからこそみんなが努力する)ということが必要なのではないでしょうか、、、

  • 格差社会というものがあるのだろうか。

    高度経済成長で固定されていた社会構造が、
    成長が終わって、崩れていく部分と、
    成長が終わったのに、同じままで進んでいる部分と、
    2つの間の格差が広がっているというのが実情ではないだろうか。

    その背景、根拠、仕組みなどを、固定的に見るか、
    時間の流れでみるかで、立場の違いが生まれるかもしれない。

    格差社会というものとして固定してみると、現象を見誤らないだろうか。
    格差社会として機能している仕組みを見出すとよい。

  • 夏休みの読書感想文

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著者プロフィール

京都女子大学客員教授,京都大学名誉教授
1943年兵庫県生まれ。
小樽商科大学,大阪大学大学院を経て,ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学教授,同志社大学教授を歴任。元日本経済学会会長。
専門は経済学,特に労働経済学。フランス,アメリカ,イギリス,ドイツで研究職・教育職に従事するとともに,日本銀行,経済産業省などで客員研究員を経験。
和文,英文,仏文の著書・論文が多数ある。
〔主要近著〕
『日本の構造:50の統計データで読む国のかたち』(講談社,2021年)
『教育格差の経済学:何が子どもの将来を決めるのか』(NHK出版,2020年)
『“フランスかぶれ”ニッポン』(藤原書店,2019年)
『日本の経済学史』(法律文化社,2019年)
『21世紀日本の格差』(岩波書店,2016年)
『フランス産エリートはなぜ凄いのか』(中央公論新社,2015年)

「2021年 『フランス経済学史教養講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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