女のからだ――フェミニズム以後 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.72
  • (6)
  • (11)
  • (15)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 259
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314769

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 流し読み。身体への自由とは自分の身体だから何をしてもよいということではないと思われるが、それに制限をかけるならいかなる理由によるのか?子どもを産む自由は生命倫理による制限を受けるが、どこまで制限が許されるのか?
    この答えは多分社会規範だと思うが、社会規範それ自体が抑圧的なときそれを受け入れるべきなのか?(振り出しに戻る)

  • ひとくちにフェミニズムといっても、立場や手法、語彙に行動や運動のやり方、かなり多様であること、一様であり得ないことがはっきりとわかる。
    中絶ないし、自分のからだという「やっかいな」問題だからこそ、それはなおさら。

    ツイッターその他でなんちゃってフェミニストを貶めて溜飲を下げる前に、まずは歴史を知ることから始めるべきだろう。それが良識ある人間のすることだと思う。

    わかりやすく読みやすい本でもある。第二次フェミニズムについて主に触れられているが、序でそれ以前の歴史についても整理してあるので、最初に読む本としても問題はない。

  • コンパクトな新書に、かなりいろいろ入ってる感じの本。「女の健康運動の歴史における重要な節目は1969年だろう」(p.18)とあり、この年、アメリカ各地で同時多発的に運動が始まったという。日本では『からだ・私たち自身』というタイトルで訳本が出たOBOS(Our Bodies,Ourselves)の物語も1969年に始まるそうだ。私がうまれた年である。日本ではこの翌年の1970年が「ウーマン・リブ元年」とされているそうだ。

    私が大学に入った年、1988年に出た『からだ・私たち自身』は、ものすごく分厚くて、高かったが、私も買ってあちこちずいぶん読んだし(どうやりくりしてこんな高い本を買ったんやろ…)、この新書で書かれている話は、知っていたこともけっこう多かった。

    でも、知らんかったなーということもあって、たとえば1962年のシェリ・フィンクバイン事件(pp.21-22あたり)、伝説の中絶地下組織「ジェーン」のこと(pp.55-64あたり)、薬害や医療被害者たちのねばり強い交渉の末に、レセプトやカルテの明治、明細のわかる領収証の発行などが実現したこと(pp168-169あたり)など。

    3章の「日本のウーマン・リブと女のからだ」、4章の「1980年代の攻防と、その後」、5章「生殖技術という難問」は、優生保護法改定に際して中絶をめぐって女性の運動と障害者の運動がぶつかったことから、ピルの話、富士見産婦人科病院事件、母体保護法の成立、そして生殖技術と選択の自由についての難しさのことまで、よくまとめられていると思う。

    このかんの、ろくでなし子さんや北原みのりさんが逮捕された「理由」というのを考えてみても、女のからだについて、女自身が語り、表現することへの圧力や忌避感は決して消えていないわけで、女が自分たちの経験を伝え、それを信頼していくことはホンマに大事やなーと思う。

    「阻止連ニュース」122号に掲載されている「魔のトライアングル」が引用されている。女のからだをめぐる法律が、何を意図しているのか、ものすごくよくわかる。

    ▼「基本的に中絶は禁止、妊娠したら必ず産めというのが堕胎罪、でも障害がある人間は産んではいけないというのが優生保護法、そして次世代を担う健全な労働力(障害のない赤ちゃん)を産むための母体保護が母子保健法だと私たちは考え、この3つの法律を女のからだ、人生を管理する「魔のトライアングル」と呼んでいる」(p.179)


    この人の本は、同居人もきょうみあるというので『「家族計画」への道―近代日本の生殖をめぐる政治』を前に買ったが、読みきれないまま積ん読。

    長いこと本棚に差したままの『からだ・私たち自身』も久々に読みたくなり、「家族計画」の本も読もうかなーと思った。

    (12/8了)

  • フェミニズムの一派である女性の健康運動について歴史をたどった理論書。フェミニズム関係を読んでいつも思うが、どうしてデータとか、欧米の研究論考ばっかり並べてあるばっかで、日本になじむように説明していない。
    海外のフェミニストってちょっと異常なんですよね、ヌードを晒したり、大事な部分を見せつけたり。日本でも自分のヌードを3Dデータで送ったアーティストが逮捕されたけど、あれがアート? フェミニズム? なのかといぶかしむ。

    思想の輸入の限界なのか。
    学生闘争時代に花開いたのが、日本の第二期フェミニズムらしいが、こちらは大正期のそれと比べるとかなり過激。

    このフェミニズム闘争に参加した女性たち、今は幸せになったのだろうか。独身女性の高齢貧困という言葉が頭をよぎる。学者や活動家連中が焚きつけたばかりに人生を見失った人もいるだろうに。

    女性の体を女性自身の手にとりもどす。過去のむちゃくちゃな産婦人科診察などからすればごもっともだが、妊娠出産も女1人ではできないもの。女同士だから大丈夫じゃなくて、性別問わずに支え合うような学問を教えるべきだと思うが。

  • 8月新着

  • 女性学とか面倒そうだな。。

  • どきっとする表題ですが・・・・。
    女の健康運動の歴史、日本でいえば昭和史でしょうか。
    教授らしく、しっかりした講義内容です。
    そういえば・・・・、そんな時代もあったなぁと思う、1970年代。
    懐かしくたどりました。

  • あの頃より女性は幸せになったのか?禁断の果実を食べてからと比べて、、、

    岩波書店のPR
    「1960―70年代の女性解放運動のなか、「女のからだ」をめぐる諸問題――性・生理・生殖・妊娠や中絶を、恥や非難を恐れず語り、知識を獲得し、女たちは自らの意識変革を経験した。市場商品と生殖技術の溢れる選択肢という新たな難問に立ちすくむ今こそ、「からだをとりもどした」あの時代を振り返ってみよう。」

全21件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1945年、中国・青島生まれ。大阪大学大学院文学研究科教授。専攻は女性史、ジェンダー論。著書に『生殖の政治学』(山川出版社)、『中絶論争とアメリカ社会』『「家族計画」への道』(ともに岩波書店)、『ジェンダー化される身体』(勁草書房)など。

「2009年 『〈性〉の分割線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

荻野美穂の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
ヴィクトール・E...
ジェラルド・グロ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×