日本の近代とは何であったか――問題史的考察 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316503

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  • <目次>
    序章   日本がモデルとしたヨーロッパ近代とは何であったのか
    第1章  なぜ日本に政党政治が成立したのか
    第2章  なぜ日本に資本主義が形成されたのか
    第3章  日本はなぜ、いかにして植民地帝国となったのか
    第4章  日本の近代にとって天皇制とは何であったのか
    終章   近代の歩みから考える日本の将来

    <内容>
    歯ごたえがありました。ただ近代資本主義の成立、日本の植民地が欧州とは違うところがあること、天皇を明治政府がどう利用したのか、いろいろと示唆があった。

  • 金解禁と軍縮条約はセットだった、東亜新秩序の地域主義への位置付け、等々自分にとっては新たな視点を提供して頂きました。全ての事柄、歴史には、透徹した論理、理屈、考えがあったんだなあ、と再認識。 ちょっと難しかったけど。またじかんを置いて再読してみようかと思います。

  • 3章における後に大東亜共栄圏の概念に図らずも繋がる「地域主義」構想は初めて知り勉強になった。
    他の章も日本史を詳しく再勉強することができたが、各章間の繋がりがやや弱い印象。終章にて現代の評価、将来への展望をもう少し記して欲しかった。それは著者より数世代下の我々に課せられた課題ということかな。

  • かつて三谷先生が講義のなかで、現憲法が帝国憲法の改正により誕生したことを強調されていたことを思い出します。その時には、8月革命説等へのアンチテーゼなのかなくらいに思っていましたが、本書を読んで自分の浅い理解に気づきました。
    明治にプログラミングされた近代的な設計は戦前戦後問わず生きているのだし、様々な近代性は現代を規定しているという問題認識が前提とされているということに。

  • なぜ日本に ①政党政治が成立したか、②資本主義が形成されたか、③いかにして植民地帝国となったか、④日本の近代にとって天皇制とは何だったか、という4つの関心を解き明かしていく知的な好奇心をくすぐる本。意外にも明治憲法は今に繋がる民主的憲法であったが、教育勅語がそれに優先する存在だった!!中村正直(敬宇)のいう良妻賢母とは後年頻用された修身的鋳型の意味ではなく、自ら独立した市民として次代の独立した市民を育てる能力を持つ女性を意味していた!!受洗した敬宇は「キリスト教化された儒教主義」だったとの言説もあるとのこと。驚きの連続。日本が植民地支配に乗り出す契機は日本自身の不平等条約からくるアウトサイダーであったことが影響していたというのも吃驚である。戦後の日本の経済発展は米国が日本を通して共産主義に対抗するアジアを確立したい意図に助けられたとの考えも!確かに思い当たるところは大きい。

  • 序章で気楽に読もうとする読者を潰しにかかっているのかと思いましたが、第1章からはわかりやすく、また、興味深く読むことができました。

  • 日本の近代を西欧をモデルとした機能的近代化を中心に考察した本。私の知的レベルでは十分な理解ができないので評価は3にしたが、読む人が読めば素晴らしい考察の本なのだと思う。

  • 我が国の近代史について、テーマ別にまとめた本。各テーマについて、筆者なりの軸を持ってまとめられている点が良い。

  • 今年御年81歳の三谷先生の岩波新書。すごく面白かったです。お勧め。しかし、80歳を越えて知的な刺激を与えられるってすごいですね。

    決して易しい本ではないけれども、一般読者にもわかりやすく書かれている。バジョットの本を導きの糸としながら、日本の近代とは何であったのか、政党政治、資本主義、植民地帝国、そして天皇制とそのアポリアに迫る。

    自立的資本主義路線から国際資本主義路線へと転換する松方財政期。そして、松方と前田、井上と高橋との対立などについても新たな視点を提供している。

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著者プロフィール

三谷 太一郎
三谷太一郎:東京大学名誉教授/日本学士院会員

「2016年 『戦後民主主義をどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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