- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022509987
感想・レビュー・書評
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主人公鳴木戸定は過去に異様な経歴を持つ編集者。その異様さ故本人の仕事に対する姿勢、プライベートも常人とはかけ離れており、周囲に順応することはない。
そんな定が多くの魅力的な人々と出会い、自分の過去と現在を照らし合わせながら「生きるとは何なのか」を問い続ける小説です。
まとめるとこんな感じでしょうが、その問いかけ方がもう「ジャンル:西」としか分類出来ないほどオンリーワンで、それがまた洩れ無く感動させられるからすごいなぁと思います。
定が小暮しずくに言い放った171頁、武智が語った199頁が特に印象的でした。
それは自分が普段何となく感じていることを正確に言葉にしてくれたからです。
ジャンル問わず様々な書籍でも言われているようなことなのに、西さんに表現されるとこんなにも響く。
あとは何と言ってもプロレス、そしてラストシーン。
これはもう言葉というか肌で感じるしかないような、表し難い崇高な描写です。
「生きるとは何か」と問われて言葉で答えようと探すのでなく、本書は本書まるごとひっくるめて「生きることだ」と主張している。
なのでどうだった?と聞かれても、読んでくれと返すしかありません。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
西加奈子さんの作品、初めて読みました。ちょっと苦手な表現がいっぱいありましたが、作風は好きな感じでした。もっと初期の作品から始めればよかったかな?でも文体はかなり好きな感じ。「不器用に生きている」人たちの物語。「それでいいんだよ」って言われてる気がしました。
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自分は、もっともっと多くの出来事や、自分自身を受け入れられる。そう強く思えた。
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マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。
彼女は幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で、誰もが目を覆うような特異な体験をした。
その時から、定は、世間と自分を隔てる壁を強く意識するようになる。
日常を機械的に送る定だったが、ある日、心の奥底にしまいこんでいた、自分でも忘れていたはずの思いに気づいてしまう。
その瞬間、彼女の心の壁は崩れ去り、熱い思いが止めどなく溢れ出すのだった――。
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上記の紹介文のように、幼いころに特殊な体験をしたことが定(サダ)の人となりにかなりの影響を及ぼしたことは確かだとは思うが、それ以前に、生まれ持った感性がすでに周りの子どもとはひと味違っていたからこその彼女であっただろうと思うのである。興味のツボというのか、揺り動かされる点が、それはもう独特である。長じて編集者になった――どうして採用されたのか不思議でもあるが、それは置いておくとして――定だが、担当作家に真剣に寄り添おうとする定に、癖のある作家もいつしか心を開き、定もただならぬ影響を受けてゆく。思えば定という女性は、拒否するということをしないのだなぁ。儀礼的でなく、丸ごと相手のすべてをまず受け入れ、自分の中に取り込んで彼女なりに咀嚼しようとするのである。なかなかできないことだが、それを自然としてしまうのが定の特徴なのである。それでいて、自分というものを失くさずにいるのも定ならばこそだろう。社会では生きにくいかもしれないが、いつの間にか社会の方が歩み寄ってきそうにも思え、ふふふ、と笑いたくなる一冊である。 -
なんていうか不思議なあたたかさに溢れた本でした。
良い言葉が思いつかない(汗)
けっこう、エグイ表現とか、うぅ〜〜って表現もあるんやけど、でも深ぁ〜い愛に浸ることができました!
両親の愛も主人公の愛も、一般的ではないかもしれやんけど、斬新でグイグイ本の中に引き込まれていきました。
言葉の重みとか、人の死とか、難しい内容もあるにも関わらず、読みやすくて、あっという間に読めてしまいましたww
読み終わった後に、優しい気持ちになれました。
が、読み返すと又、色んなことを考えさせられてしまう、不思議(←コレ重要w)な魅力のある本でした♪
この独特な雰囲気を…独特な気持ちをぜひ体感してみてください(笑)
今まで感じたことのナイ読了感、そういう意味では☆4つかも?! -
最近毎日腹筋10回してますが、効果出るかな?(笑)
ってな事で西加奈子の『ふくわらい』
マルキ・ド・サドに名前が似てる鳴木戸 定の神がかり的な純粋さを創り出す西加奈子先生は神w
ホント西加奈子ワールドは好きじゃなぁ♪
人の深層心理の奥底まで突き詰めると汚れよりも素直なピュアさに行き詰まるんかな?
登場人物もみんな好きw
特に守口廃尊(ばいそん)がええなぁ。絶対に高山善廣さんをイメージしとるじゃろなw
好き嫌いある内容じゃと思うけど、わしはギュッときたw
マルキ・ド・サドの本も読みたいな
2016年40冊目 -
止まることなく読める。だけど何が何だかさっぱり。一面しか見せてないって言うけどほんとは先っちょの方が合ってるのかなと思った
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私も全部を知らないくせに、と思うこと。それは当たり前なんだと思う。他人に見えているものが私の全てだしそれはどこまでいっても「先っちょ」でしかない。あなたを1番知っているのは私、だなんてことはなくて自分が1番の理解者である。
血とか肉とか自分を構成する1番身近なものに感動すること、愛を感じること。生の喜びが他人により見出せなくても美しいと思う。人に興味を持つことは定の愛着対象を広げた。定は人に愛されることはどういうことかに気づけたのかもしれない。 -
どんどん読み進めていったがあまり残るものがなかった