物語のおわり

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 2559
感想 : 359
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512215

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすい短編連作。
    登場人物がみんな良い人でした。
    それぞれ置かれた環境により思い描く続きの物語が違うのが面白かった。
    最後にきれいに繋がって気持ちよく読み終わりました。

  • 読者に終わりを投げかける小説がリレー形式で旅人に伝わり、読み手の人生に影響されて、物語の終わりがそれぞれ異なるなんて、素敵だと感じた。よく練られたいい話です。ハムさん、すずらんの君、すごくいい老夫婦、歳取ってからも付かず離れずの理想の関係かな。小説デビューしてて、すずらん特急なんて、伏線の回収が見事。

  • 図書館で借りたもの。
    様々な人生の岐路に立たされた人々が、北海道へひとり旅をするなかで受け取るのはひとつの紙の束。
    それは「空の彼方」という、結末の書かれていない物語だった。
    受け取った人々は、その結末に思いを巡らせ、自分の人生の決断へと一歩を踏み出す。

    物語って読み手によって受け取り方が本当に違う。
    その時の置かれている状況や心境だったり。
    人から人へ物語が繋がって、最後は円に。

    「その先は読み手が…」って、こちらに任せる物語は好きじゃないんだけど、「空の彼方」は、ちゃんと完結してて良かった。笑
    北海道に行きたくなる!

  • 非常に優れた発想の物語。
    物語の終わり方はひとそれぞれ。

  • 未完の物語の“続きを考える”って設定が斬新!
    産まれも育ちも家庭環境も、歩んできた人生もすべてが皆違う。
    だから「空の彼方」を読んで、自分の人生を重ねて、こんなにも多様な結末ができあがる。

    何気なく手渡した封筒が人の手から人の手へと渡されるなんて思わなかっただろう。
    そしてそれを読んだ人は考え、新たな一歩を踏み出す。
    自分だったらどんな結末を考えるだろうか。
    少なくとも本当の結末にたどり着くことはないだろうな。


    読んだ湊かなえ作品はいやミス、最後後味悪いのが結構多い。
    でもこれは物語の結末までしっかりわかって、すっきり、にこやかに読み終えられました

  • ある田舎町で、とある女性が小説家になる夢をつかみかけ、東京に出ようとするところを婚約者に待ちかまえられ…というところで終わる未完成の物語が書かれた原稿が、北海道を舞台に様々な人の手にバトンリレーされる。それを受け取った各登場人物も様々な思いを抱いており、その物語を自分の人生に照らし合わせたり、物語のおわりをそれぞれに想像したりするという連結短編小説。最終話でしっかりと物語は収束され、さわやかな読後感を与える。湊かなえといえば、毒気のあるイメージが強いが、こういう作品でも面白く読ませてくれる。とてもいい作品、さすがである。

  • デビュー作「告白」などに見られる特有のドロドロ感がなく、爽やかで希望に満ちた温かみのある読後感で良かった。それも新鮮味があって良い。山女日記も読んでみたい。
    ある私小説が旅人たちによるリレー形式で物語の続きを考えていくストーリー。物語の続きはその人の状況と重ね合わせ、結末を考えていくのは、嫌なモヤモヤ感を感じさせず、未来へ向かっていくという感じがして、良かった。
    旅で出会った人達の暖かさが伝わってきて、一人旅をしてみたいと思った。
    馴染みのある地名が多く出てきて、その景色などを思い浮かべながら読みすすめていったので、感情移入もしやすかったのである。作中で出てくる場所で、行ったことがないところもあるので行く機会があれば行ってみたい。拓真館など。
    自転車旅の女子大生の話で、自転車と読書は自分の世界を広げるという共通点があるのに共感。

  • 二十歳前の女の子が書いた結末のない私小説がいろんな人の手に渡り、
    それを読んだ人たちが、主人公と自分を重ね合わせながら結末を想像するというお話。

    素人が書いた設定だからだろうが、基本となる話が稚拙で
    面白みが感じられなかった。
    なのにそれを読んだ人たちがこの話に興味を抱き、
    結末を想像するということに違和感を感じ、3章でリタイア。
    最終章のオチもいまいちだった。
    「山女日記」は面白かったんだけどな。
    私にとっての湊さんは、当たり外れが大きい作家です。

    途中リタイアなのでマイルールに則り、評価は星ひとつです。
    辛口でごめんなさい。

  • 初章から中途半端な展開?!・・・と思いきや北海道を舞台に物語の帰結を旅する人々が自分の立場になったときにどう考えていくかを、個々人の人間模様を織り交ぜながら展開していく。
    最後には、実は・・・の帰結が!

    北海道が舞台になっていたこともあり、じっくり自分だったらどうしただろうと、考えさせられながら読み入りました!

  • 結末の記されていない小説が色んな人の手に渡っていく話。読む人達が自分の人生と照らし合わせ各々の結末を思い描くのが面白い。私ならどういう結末にしようかな、と想像してしまう。緩やかに、けど確実に繋がっていく展開が好き。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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