大正天皇 (朝日選書)

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著者 : 原武史
  • 朝日新聞社 (2000年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022597632

大正天皇 (朝日選書)の感想・レビュー・書評

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  • 小難しい文体だが、興味持って読める。知りえなかった人となりを丁寧に書かれている。おすすめ。

  • 明治天皇と昭和天皇の狭間で、エアポケットの様に何も知らないのが大正天皇。(本著を読んだら、明治天皇の事も全然知らない事に今更気づいた)
    その大正天皇の出生から崩御までをつぶさに追った評論。
    ”人間天皇”と言えば戦後の昭和天皇を指すのが相場だが、皇太子時代を含めて即位してから苦しんで崩御するまでこれほど人間的な天皇も居ないのではないかと思った。

  • 「大正帝は精神疾患を背負った天皇であったか?」という疑問を発端に、その人生を幼少時から詳しく綴っていく。特に、皇太子時代の全国巡業エピソードからは、意外にも奔放で闊達な大正帝の姿を伺うことができる。行く先々の人々に気ままに声をかけ随臣に冷や汗をかかせる逸話の数々、戦後の昭和天皇の「あ、そう」と比べると微笑ましくさえある。
    さて、先の問に対して本書は明確に「No」と述べる。だが、大正帝が実際に政務不能に陥り、昭和帝に摂政を委ねるに至った経緯については作者の想像の部分が大きく、病名や症状についても深くは検証されない。また、治世下の第一次大正デモクラシーへの関与も、さわりの説明に留まっている。政治学的な関心は脇に置き、「人間」大正天皇の姿を知りたいと思うには良い評伝だろう。

  • 明治、昭和の"偉大"とされる二人にはさまれ、「遠眼鏡事件」等の悪い噂しかなかった、悲劇の天皇。影が薄いが、実は昭和時代の天皇のイメージを支える重要な役割を演じた人間味のある人だった。初めて貞明皇后との一夫一妻を守り、4人の皇子に囲まれ、家庭的な慈父であった天皇。昭和天皇は祖父に倣うように幼少から育てられ、また尊敬していたというが、父のことはほとんど語らなかった。明治後期の皇太子時代の全国、行啓・巡啓を通し、ベールにつつまれていた天皇を身近な存在にした功績。そして脳の病気で苦しみ、記憶さえも失っていた?天皇時代。生後まもなく実母・柳原愛子から隔離され、側室の子として、肩身狭く、家族の愛を知らずに育った天皇が、哀れでさえありました。救いは有栖川宮への親愛感、皇后との心の交流でしょうか。

  • 一大論争を巻き起こした噂の書籍(笑)。アマゾンレビューを見ていただければ全体像がつかめるかと…。私もアマゾンレビューを見て、読むのを控えていた人間です(笑)。他の大正天皇史料を読んだ後に、そろそろ、と思ってこのたび購入しました。まぁでも、思ったより悪くない本かな、と思います。むしろ巡幸行路などについては、図付きで詳しいものが他で見れなかったので、この本は重宝。よくも悪くも、大正天皇研究にとっては欠かせない1冊であることは確かかと思います。

  • 「明治」と「昭和」にはさまれて埋もれがちな大正天皇像に興味があって読みました。

    病気がち、というイメージがありましたが、それはすこし払拭。

  • あたりまえですが、明治、大正、昭和はつながっているんですね。
    貞明皇太后のエピソードが強く印象に残っている。

  • 遠眼鏡事件の真偽のほどが明らかではないってのは初耳だったな。
    病弱な天皇と気の強い皇后というステレオタイプな認識しかなかったけど、これ読んでイメージが変わった。
    反省してます。

  • あまり知られていない大正天皇の半生と悲しき晩年、20世紀という過渡の時代を示す。行幸と近代国家の体制強化、メディアと民衆など、いろいろな面で非常に面白い。

  •  ひじょうにおもしろかった。自分は歴史にはひどく疎いので、読み物として評価する。大正天皇の評伝として、十分におもしろく読めた。<br />
     筆者はまず、大正天皇の「遠眼鏡事件」の話から始める。当時誰もが知っていたあの奇怪な事件。大正天皇が、国会にて詔書をくるくる巻いて遠くをぽおっと眺めたという、あの事件である。これをもって、大正天皇はすこし頭がおかしい人だった、という説が通説となっていた。しかし筆者はここに疑問を持つ。まずこの遠眼鏡事件だが、いざ調べてみると、いつ起こったのかすら定かではない。誰もが知っていたのに具体的な証拠がほとんどないのだ。かろうじて残っている実際に「見た」という証言をとってみても、不思議なことに、起こった年代がはっきりしていない。どうにも怪しい。しかも当時「天皇」という存在である彼が何故そこまで貶められることになったのか。明治天皇のイメージと、大正天皇のイメージはあまりに違いすぎる。この差異の陰には一体なにがあるのか。筆者は大正天皇の実像へと迫っていく。なかなかに引き込まれる出だしである。<br />
     しかし読み終えた今、いくつかの疑問もある。筆者は大正天皇の人間性を擁護しようとするあまり、ときどき無理な「私見」が垣間見られる。丁寧に証拠を挙げているわりには最後の「私見」に強引さを覚えるのである。一読者としては、大正天皇はやはり天皇には向かない人柄だったのだろう、というきわめて素朴な感想を覚える。もちろん知恵遅れなどではない。だが政治的に優れた人物とはとても感じられなかった。よって本書は、大正天皇に対する通説を根底から覆すというまでにはいかない。<br />
     しかしそれは問題ではない。この本の優れた点はそこではなく、むしろ様々な言動から浮かび上がってきた「大正天皇」の生々しさにある。この愚かにして愛らしい姿には忘れがたいものがある。ひとりの「人間」の記録として十分におもしろい本だった。(けー)

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「遠眼鏡事件」は真実か?明治と昭和のはざまに埋もれた悲劇の天皇像がいま明かされる。

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