- Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
- / ISBN・EAN: 9784037261108
感想・レビュー・書評
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なにか一冊しか持っていったらだめよ と云われたら『クラバート』を持っていきます。というくらい好き。いつも本棚のいちばんまえに鎮座している一冊。きっと永遠に読む。
暗闇と鴉と魔法と親方の怒鳴り声、湿った空気と黴の匂い、そして愛する少女と友情、避けられない対決!胸おどる以外どうしたらいいのかわからない。これを忘れた時に大人になっちまったんだなって思うことにするくらいには冒険譚の根幹だとおもう。この空気の匂いを嗅いで大人になりたかったなあって今でもそれを悔しく思うんだ。もちろんランサムの海の匂いを嗅いで育ったことには後悔はないけれど。
『大どろぼうホッツェンプロッツ』と同じ方です。あれもいいよね。だいすき。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
荒地の水車場で広がる「ミニハリーポッター」物語。特に主人公のクラバートが近くの村の娘に心惹かれて、ほのかに思いを募らせる様子が秀逸。数十年前の自分を思い出すようで思わずそわそわしてしまう。2011/02/25
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世界観がちょっと独特。カラスと親方と水車場と魔法と少女と恋と。
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ドイツ児童文学の名手、プロイスラーの名作。
少年が愛しい少女と共に親方である魔法使いと対決する話。そう聞くと今時のファンタジーのような華々しい魔法対決やロマンスを想像してしまいますが、こちらは側に忍び寄る死と闇や、冷たい水の湿り気を感じました。
ラウジッツ地方に伝わる伝説を基にして書き上げられた本作は、ドイツの森と土と水を感じます。
少年クラバートに忍び寄る生と死、光と闇、友情と恋と対決。ファンタジーというより、名手の手によって蘇った『伝承』。
最近の派手で壮大なファンタジーを見慣れた身には、逆に新鮮でした。ワクワクドキドキする物語ももちろん面白いけれど、「名作」と呼ぶのならやはりこちらだと思います。
この執筆が一時中止してしまった際に『大どろぼうホッツェンプロッツ』が生まれたというのは、実に嬉しい誤算でした。 -
14才の少年クラバートは、コーゼル湿地の水車場で働くことになる。そこで働く職人たちは、製粉の仕事をするだけではなく、カラスに姿を変え、親方から魔法を習う。
仲間の死、恋…3年後、クラバートは親方と対決する。愛する人を守り、自由を手に入れるため…。
(ドイツ) -
おもしろくて一気に読んでしまった。
横暴な権力に対して、
自らの強い意志と
利口で心やさしい友、
そして自らをも犠牲にしようとする少女の愛の力で
立ち向かった少年の話。
これを読んだ後、
わたしたちは自分自身が
いかに生きていくのかをじっと考えるのだ。 -
大人になって、仕事で図書館にかかわるようになって出会った一冊。
舞台となるドイツの湿地の水車場、12人の弟子、
強大な力を持つ親方との対決・・・。
文体は淡々としていて、児童書ですが、挿絵はほとんどありません。
でも、読んでいると、クラバートの顔や情景が鮮やかに浮かんできて、
優れた児童書は大人でも楽しめるんだなあ、と
初めて実感した本です。
最後、少女がカラスたちの中からクラバートを見つけ出すシーンは
『千と千尋の神隠し』
にも影響を与えたそうです。 -
この本とは出会いは、小学校中学年
どうしても一番に借りたくて、図書室の棚の裏側に隠した記憶が(笑)
『大泥棒ホッチェンプロッツ』も書いているプロイスラーが作者
民話を元にした童話
以前読んだ本を読み返すと、そのときの感情も思い出して、痛い気持ちになったり、ほんわかしたりする。
『ライ麦畑でつかまえて』もそうなのだけど、小中学生時代に読んだ本を読み返すときは、その時の感情を余計に思い出す。
『クラバート』を読むときは、そういえば"ワクワク"してたなぁ
宮崎駿の『ハウルの動く城』の もうひとつの原作なんじゃないかと思える本
というか、『ハウルの動く城』の原作シリーズも読んだけど、『クラバート』の世界観のが近い気がするんだよなぁ。 -
児童文学と聞いて、明るいファンタジーを思い浮かべる人がこの物語の扉を開いたら驚くと思います。扉を開けたら、ヨーロッパの鬱蒼とした森の中に導かれます。全体の重厚さと後半に向かって緊張度増す迫力と、こんなに深遠な物語も珍しいです。「クラバートのようになれるかしら。クラバートの愛した娘のようになれるかしら。」と、時々思い出し反芻します。
(2005年06月23日 06:14 1980 偕成社
オトフリート=プロイスラー, ヘルベルト=ホルツィング, 中村 浩三) -
ホッツェンプロッツの作者とは思えないくらい、空気感が違う本でした。大好きとまではいかないけど、印象深い本。