金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005729

感想・レビュー・書評

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  • 豪華執筆陣による競作。
    パロディありオマージュありと様々な作品を堪能できる。
    金田一耕助そのものに、というよりは横溝正史に捧げる、かな?
    栗本薫、赤川次郎、菅浩江、北森鴻の作品が好みだった。
    続編を読めないのが残念。

  • 茶化した感じの話は、金田一耕助ファンの方には受け入れられないかもしれない。けれど、本人が出てくるのはオススメ。

  • 小川勝己さんの「愛の遠近法的倒錯」が特に好きです。

  • 「金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲」
    もじゃもじゃ頭にぼんやりした姿、だが、ひとたび事件が起これば誰よりも鋭く謎を解き、犯人の心に潜む哀しみを見抜く、それが金田一耕助。


    赤川次郎から服部まゆみまで、計9人の現代作家の手で甦る金田一耕助。作家其々の趣向の違いが楽しめます。


    [無題 written by 京極夏彦]
    京極夏彦と言えば、妖怪小説。さらに、「毒笑小説」を読んだことで、京極夏彦と言えば、ユーモア小説ともなった(東野圭吾氏との対談が巻末に付いている)。この短編は、そんな私にとって初京極夏彦作品ということになった訳だが、約30ページほどの短篇なのになんと読み難いことw、と、これは嫌な意味では無いです。


    主な登場人物は2人だけ。彼らの会話だけで進むは、何とも読み解き難く、暫しの考える時間を欲さざるを得ない(表現として的確ではないかも知れないけど)重厚さを感じます。なぜなら、江戸川乱歩が登場し、彼の探偵小説への考えに加え、「探偵小説は何故人殺しを扱うのか」というお題も発生しているからw


    奇怪な人物から「探偵小説と殺人はどうなっているんだ!?」なんて疑問を投げかけられた横溝正史が、ばたりと出会った鬱を抱える小説家と、ああでもないこうでもない、でもこうじゃないか、など語り合う様は、古風な空気が漂います。それが、横溝正史の小説の香りであり、そもそもお題そのものが何やら「お前ら(読者)も考えてみろ!」と言わんばかりで、大変な面白さでした。


    物語がさっと幕を下り、良い余韻を残すところも好きですね。また、一方の人物に京極夏彦の匂いがするんですが、当たりならこれはユーモア魂だろうか。ちょっとニヤニヤしてしまいました。


    [キンダイチ先生の推理 written by 有栖川有栖]
    本短編集のリーダー。一番手であれば、読者を本書にすっと引き入れてくれる、二番手ならば、[無題]の読み難い空気に陥った読者を救ってくれる。テンポが良く、横溝フリークな2人の会話も心地よいし、ちょこっとニヤリとなれます。


    [愛の遠近法的倒錯 written by 小川勝巳]
    3篇目は金田一耕助がぶらぶらしていた時代に突入。2篇目とのギャップにご注意。戦争が密接に絡んでくる物語は、映像向きな印象を持ちました。何故、愛の遠近的倒錯という表題なのか、それはそれは恐ろしい。


    などなど。

  • 横溝正史の生誕百周年である2002年発行、百十周年である2012年に文庫化、なのかな。

    個々の話は、作風に好き嫌いはあるだろうけれど、どれも楽しく読めました。横溝作品好きだ、というのが伝わってきて、読んでて楽しかった。
    オマージュやパロディあり、自作品とのクロスオーバーあり、金田一耕助を真っ向から登場させる作品あり、横溝正史を登場させるものありと、バラエティーに富んでるのもいい。
    私は服部まゆみ氏の「松竹梅」と菅浩江氏の「雪花 散り花」が好き。
    前者は真っ向から金田一耕助を登場させたもの、後者は金田一耕助の世界に憧れた若者たちの話だけれど、どちらも横溝正史の世界を思い出しました。
    北森鴻はパロディ。作品中一度だけイニシャルで出てくるのは北森鴻の探偵の蓮丈那智だろうな。
    栗本薫の伊集院大介と金田一耕助の競演も良かった。

    ただ、このアンソロで不満というか不思議なのは、集めたこれらの話と並びから編者の意図が見えてこないこと。編者の名前がないということは角川がまとめたのだろうけど、普通に横溝正史のファンだとか、そうでないにしても普通にミステリ好きならこの並びはない。
    少なくとも赤川次郎の話が最後で、かつ服部まゆみのすぐ後というのと、京極夏彦の陰摩羅鬼の瑕からの抜粋改稿が最初というのはない。
    個々の話で好きなのは多いけれど、アンソロジーとしてイマイチなので☆3つとしました。

  • 作家の持ちキャラとのコラボものが楽しい。やっぱり金田一本人が出てこないとなあ。

  • 金田一シリーズにはあまり馴染みがありませんが、好きな作家様が多かったので購入しました。
    どれも「自分なりの金田一」を描いていて面白い作品ですが、私は北森鴻先生と柴田よしき先生の短編が特にお気に入りです。
    北森先生の短編は、東野圭吾先生の天下一大五郎シリーズを彷彿させる、とてもコミカルな作品になってます。
    思わず笑ってしまいました。
    柴田先生の短編は、作品全体のミステリアスな雰囲気がたまりません。
    女性だからこそ書ける作品だと思いました。
    読むかどうか悩んでいる方がいたら、購入することをお薦めします。

  • 金田一耕助、横溝正史はもちろん同姓同名の人、ネックネームがきんだいちのひとなど様々な人が出てきます。
    それぞれの作家の持ち味が出ていて興味深く、
    反復横跳びのように行ったり来たりしながらゆっくり読みました。

  • 現代の作家がギュッと詰まって、とてもオトクな作品集でした。ドキドキしたり、クスッと笑ったり、ホロッときたり、色んな感情を持てる作品です。

  • 日本が生んだ名探偵に、現代の名探偵を生み出している歴々たる作家陣が挑戦した意欲作。色々な「金田一耕助」が見られるオムニバスですが、改めて思いました。赤川次郎先生、すごい。

    京極先生はご本人の作品からの抜粋だし、有栖川先生の作品は既に短編集で読んでたんですが、自分の作品とクロスオーバーさせたり、横溝作品へのオマージュとして事件の後日談を描いたり、はたまた全く別人な「金田一」を出して来たりで、色々なパターンを楽しめます(*^o^*)

    それ程横溝作品を読めてない私ですが、往年の名探偵が年を経て尚名推理を披露する、という設定だけでグッときました。探偵小説が…私はすごく好きです…っっ←

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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