過ぎ去りし王国の城

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著者 : 宮部みゆき
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041028360

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過ぎ去りし王国の城の感想・レビュー・書評

  • 宮部みゆきは逃げません。世に満ちる悪意から暴力から、人の持つ厭な部分から、どうしようもない悲劇から。だから読むとしんどい思いもします。ああ、その箱を開けるのか、その思いを開陳するのかと。
    しかしただ露悪的に悪意を書き綴っているのではありません。打ちのめされるけれど、それがこの作品の目的ではありません。芯の部分には優しさがあります。だからつらいだけではない読後感があります。どうしようもないつらさの向こうにある希望を見せてくれます。それは作者自身の願いかも知れません。そしてつらさを書きながら希望を感じさせることは、物語が持つ力なのでしょう。宮部みゆきの作品には、そんな力を信じさせてくれるものがあるのです。

    偶然手にした古城が書かれた紙。その世界に入り込むことができると知れば試してみたくもなるでしょう。それも中学生男子としてはもちろん。他の宮部みゆきのファンタジーと同じく、ここでも現実と地続きの異世界が用意されています。
    まずは現実世界でのできごとがこと細かに描写され、その後異世界の冒険が始まる。そう思っていました。スクールカーストと称されるような学校内での鬱憤としたものが、異世界で晴らされるのかと思っていました。でも異世界で待っていたのは、余りにもつらい現実の結果に過ぎなかったのです。
    なかなか冒険が始まらないなと読み進めていたのですが、状況説明だと思っていた現実世界のできごとこそが主題でした。異世界というファンタジーは現実を描くための手段だったと知った時、世界はひっくり返らずそのまま目の前に突き出されます。その突き出されたものに対して、どのように立ち向かうのか。選択肢が示され、登場人物たちはそこから自分がしたいことを選びます。その選択の意味がわかる時、そして選択自体の意味がわかる時、その時こそ世界はひっくり返ります。そして向こう側にある希望に気付かされるのです。

  • 銀行のロビーで見つけた古城の絵。
    思わず真が持ち帰ってきてしまった絵は、不思議なことに、その中に入り込めるのだ。
    その絵の中に一緒に入り込む珠美。
    と、怪しげなおじさん。

    古城の中と現実は「過去」でつながっている。
    その「過去」は悲しい過去。
    いやいや、そんな悲しい過去なんて、「どこにでも転がっている」、「珍しくもない」、「よくある」、そう他人は言えてしまうもの。
    でも、当事者にとってはたった一人で大蛇に締め上げられ、大猿に襲われているほどの圧倒的な絶望感を持った耐え難いものだ。
    もっと苦しい人がいる、なんて決して思えないし、他人がそう言って耐えることを強いてはいけない。

    本書はファンタジーではあるけれど、万事がうまくいってめでたしめでたし、あー楽しかった、という物語ではない。
    一つが変わっただけで世界のすべてが変わることもないし、全員が救われるわけでもない。
    それはとても悲しいことに違いないけれど、救いがあるだけ、現実よりもちょっとマシなのかもしれない。

    かいがは古今東西で描かれ、それを題材にした物語も数多く作られてきた。絵とはそれだけ強い心が宿るもので、強く心を動かされるものだったからだ。
    その心の揺れが、嬉しい、楽しい気持ちだけであるならどんなに世界は美しかっただろう。
    しかし、そうではないから、人は怒りや悲しみ、苦しみを押し込め、それによって誰かが救われてきたのではないか。

    残念ながら世界は決して美しいものばかりではなく、綺麗事だけでは回らない。
    ただ、そんな世界に生きているからこそ、小さな救いが大きな救いに変わることもあると私は信じていたいし、その一端でありたいと切に願うのだ。

  • 吸い込まれそうな絵ってありますけど、これから精緻なタッチの静かな絵は怖くなってしまうかも。

  • 3.0 宮部さんのファンタジー。まずまず。

  • 久しぶりのイッキ読み!

  • 拾った?訳ありで持ってきてしまった?絵を眺めていたら、絵の中に入れちゃった!っていうファンタジーなのですが、この絵の秘密は?この絵を描いた人は誰?なんの為に?と色々な謎があるので、読んでてすごく楽しい!
    ただ、主人公の協力者のイジメ問題だったりが絡んできて、平凡な主人公がグルグルしちゃいます。

    ラストのスッキリ感はなんだろう?って思ってたけど、例えて言うなら、本を読み終わって現実に戻ってきた的?な感じに似てるのかなぁと、これを書きながらひとりごちてしまいましたw

  • ファンタジーの世界に引き込まれるのかと思っていたが、SFなのか、ドラえもんのドアのように、絵の中へ入り込んでいく姿は、興味深々であった。

    2人男女の中学生と、中年男性。
    しかし、読み進むと、そこには、自分の居場所がない子供が居ることに気付かされる。
    ネグレクト、いじめ、孤独、閉塞感、そんな弱い立場にいる人を、助けられるのか?

    過去の後悔にさいなまれないように、いい方向へスイッチをオンに入れて、二人は高校生活ヘと、踏み出す最後で、ホッとした。

  • ファンタジーでもあり、社会派でもあり。

    精緻に描かれた城の絵の中に入り込んだ
    少年少女と、中年男性。
    城にとらわれた幼い少女を救おうとする

    パラレルワールドでどうなるか
    とても厳しく寂しく重たい内容を含みながらも
    ぐいぐい読ませてしまうのは、さすがの宮部作品

  • ファンタジーの様相を呈しているけれど、かなり深い辛さを含んだストーリー。
    助けを求めている人はたくさんいて、救われるのはほんの一握り。
    手をさしのべる人がいても、その存在を知らずにひっそりと命を諦めるしかない人もいる。
    助けを求めたくても、求める先がない人も。
    でも、助けを求めている人が目の前にいる、どうにかできるかもしれない情報を持っている自分がいる、そこで動けるのは。
    やっぱり、同じように助けを求めている人だけなのかもしれない。
    世の中の多くの人はみたされていて、満たされていない人のことにはあまり意識がいかない。
    とうとう追い詰められて行動を起こした後に知る。
    普通は、もうどうしようもない。
    そんな後悔を、心に深く刻みつつ、それでも生きていく。
    奇跡でも起こらない限り、後悔は消えない。

  • ファンタジー系かと思ったら、SF系でした(笑)まぁ、面白かったけど、流れに乗って読めばそれなりでも、かなり矛盾がありそう。謎が解けたようで、そもそもの前提が疑問のような・・キャラはいいんだけど、活かし方が中途半端のような・・それも含めて宮部さんらしいかな?実はソロモンの偽証の長さにびびってて、代わりに借りました。元SFファンとしては、平行世界に抵抗あるんですよね~

  • もしも、“今”じゃない居場所があるならー

    存在感は薄いが無難に中学生をこなす、ポスト受験生・尾垣真はある日古城が描かれた絵を拾う。ただの上手なデッサンじゃないと気づいた真は、その秘密を探るため、絵は上手いが学校のハブられ女子、城田珠美に声をかける。
    展開が少し強引な気もしたが、全体的に読みやすかった。宮部みゆきさんは、中学生を描くのがうまいと思う。狭い世界で、先の見えない未来を不安に思いながら、とりあえず目の前の人間関係からはみ出さないように、そんな中学時代を思い出した。つらい現実だって、長い人生の一幕でしかないと、少し前を見れるお話しでした。

  • SF(すこしふしぎ)ファンタジーな導入から社会派に巻き込んでいくのはさすが。生きること、というか、生きていかなくちゃいけないこと、について考えさせられる。人物の配置がうまいし、それぞれに共感できる部分と共感したくない部分があるのもさすが。大人が読むのと子供が読むのではまた少し感想が違うかも。読後の救われた感じはとても好き。

  • 2017年の1冊目読了。
    なんか途中難しくなって挫けそうになったけど読み切った。現実はいつも辛くて理不尽なことがいっぱいある。でも少しずつ、ホントに少しずつとはいえ、いい方に自分や、周りを変えようとすることは出来なくはないのかな。
    ・・・やはり宮部みゆきさんは時代劇風のとか現実的な物語の方が好きかも。
    そして自分も今年少しでもいいから頑張ろうかなあと思いました。

  • 現実寄りのファンタジー作品です。
    物語としてはちゃんと面白いですが、ドキドキもなく次はどうなるの?というワクワクもなかった。
    宮部作品はファンタジーよりリアル系が好きで、なのでこの作品はあまり私好みじゃなかったので★2に近い★3にします。

  • 時間が許したのでつい一気読み、楽しかった

  • 一番好きな作家である宮部みゆき。だが宮部ファンタジーは正直ミステリーには劣るんだよなといつも思っていた。結局は読むんだが。感想は、率直によかった。面白かった。ファンタジーでありミステリーであり、社会問題にも目を向けている作品。これだけの中身をこの量で収める宮部クオリティ。相変わらず半端じゃないな。そして今更言うまでもないが、この表現の素晴らしさ。あー満足満足。お腹いっぱいである。

  • ファンタジ―・ゲームの小説化っぽい。

  • 宮部みゆきの過ぎ去りし王国の城を読みました。
    古城のデッサンをモチーフにしたファンタジーでした。

    中学生の真は銀行の掲示スペースに貼ってあった古城のデッサンをひょんなことから持ち帰ってしまいます。
    その絵にアバターを書き加えることにより、人がそのデッサンに入り込むことができることに気づいた真は、絵の得意な城田珠美を引き入れて古城のデッサンの探検を開始します。

    物語は面白く読んだのですが、結末がよく練られていない感じがしてちょっと不満でした。

  • 異世界冒険モノなんだけど、現実逃避をさせてくれない。時々、グサッとくるものがあって、この本にエナジードレインされてるんじゃないかと思ってしまう。
    絵を描いてる時に、その世界?というか、目の前に広がっている光景に入り浸ってしまう感覚はわかる。スーパーナチュラルとかそういうのじゃなくて、集中というか、意識が現実から飛んでいるというか……。城田同様言い難いモノがある。

  • 絵の中に入る ファンタジー
    全体的にイマイチ

  • 絵の中に入れるという設定。

  • 2016.10.8
    「今」を必死に飲み込んで生きる人たちへーーということらしいです。
    ある日、銀行で出会った1枚の絵。その世界に入り込めることに気がついた主人公は…。
    中学生がもつ生きにくさとか、世界の狭さみたいなことを感じました。
    ずっと閉塞感を抱えて生きていると響くものが大きかったのかも?自分の感覚の変化を感じた作品でした。意外と、消化してきてるのかも。じぶん。

  • 図書館より。

    読み始めたら、一気に引き込まれて読了。
    始めはただのファンタジー?なんて思いながら読んでいたんだが。何となく私はホラーに感じた。

    普通に、不自由なくに暮らしている主人公(多少不満や不安があるにしても)からしてみれば、世界が変わるかも!って怖いよね。背筋がゾッとする感じ、わかる気がする。
    (多分、これが普通のファンタジーなら、ヒーローにでもなったような気持ちになるのかも知れないけど。)
    流石、宮部みゆき!!(敬称なくても尊敬してます。)読了感はちょっと微妙なだけど、面白かった。

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過ぎ去りし王国の城の作品紹介

早々に進学先も決まった中学三年の二月、ひょんなことからヨーロッパの古城のデッサンを拾った尾垣真。やがて絵の中にアバター(分身)を描きこむことで、自分もその世界に入りこめることを突き止める。友だちの少ない真は、同じくハブられ女子で美術部員の珠美にアバターを依頼、ともに冒険するうち、パクさんという大人と出会い、塔の中にひとりの少女が閉じこめられていることを発見する。それが十年前のとある失踪事件に関連していることを知った三人は、ある計画を立てる…。「今」を引き受けて必死に生きるすべての人へ-心にしみこむ祈りの物語。

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