孤島の鬼 江戸川乱歩ベストセレクション(7) (角川ホラー文庫 え 1-7 江戸川乱歩ベストセレクション 7)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年7月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041053348
感想・レビュー・書評
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最初の文章から引き込まれる文体なので最初からとても楽しめます。また主人公が謎に迫っていくのを第三者目線で追っていけるため読みごたえがあります。
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大学を卒業し、味気ないオフィス勤めを送っていた箕浦は、見習いタイピストとしてやってきた初代にたちまち魅了されてしまう。内気な箕浦だが、いつしか2人は打ち解け、結婚を約束する仲に。
しかし、不思議な身の上話を持つ彼女は、次第に怯えた日々を送るようになり、突然この世を去ってしまう。箕浦は涙にくれながら復讐を誓い、彼女の命を奪った犯人を突き止めるべく動き出す……。
江戸末期から明治、大正という時代背景もあって、今では、到底使われない表現に戸惑うけれど、ミステリーでありながら多くの要素を盛り込んだ冒険小説は、連載当時多くの人にワクワクと読まれたことだろうと思います。特に終盤、主人公たちが窮地に陥ってからの展開からは一気読みでした。 -
密室殺人、衆人環視の中での殺人、二人の探偵役、謎めいた屋敷…とミステリらしい語句を並べてみたが、もう、読後は諸戸道雄可哀想に尽きる。
あれだけ尽くしているのに、箕浦の冷たい所業。
諸戸の気持ちを知っているから都合の良い時に頼るだけ頼って、でもやっぱり受け入れられない、尊敬してるし友達としてなら平気だけど、愛情は無理って。一般的な感情なのだろうけれど、諸戸に同情してしまう。 -
これぞ、ザ・江戸川乱歩!不具者が跋扈する怪しい島、土蔵に閉じ込められ、学校どころか人間すら見たこともないシャム双生児、抜け出せない井戸の地下迷路、とにかくとにかくオドロオドロしいことこの上ない‼︎時代なんだろうけど、このオドロオドロしさが大好きです☆
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再々読くらい。
その出生に謎多き恋人を密室殺人で喪った主人公。
事件の解明を友人の探偵に依頼するも、今度はその探偵が衆人環視の中殺害されてしまう。
主人公の行手に度々現れる因縁の男の怪しげな挙動。
彼の目的とは……?
教科書通りなミステリ展開を見せる前半と、鬼気迫る冒険譚の凄まじさに打ちのめされる後半の対比は、ドイルの初期長編を思わせるが、ドイルの場合は探偵小説単体だと受けが悪いという些か悲しい理由によるもの。
乱歩のほうはかなりスムーズにプロットが繋がっていて、伏線回収もバッチリ。
トータルバランス的に完成度高し。
そして本当に素晴らしいのがラストに配された一文。
推理あり冒険ありの一大長編小説、実はこの最後の一文のためにあるのではと思えてならない。 -
主人公の婚約者が殺され、雇った探偵も殺され、主人公に想いを寄せる諸戸とともに事件を追うお話。正直、最後にもう一個どんでん返しがあるのかなと思ったら、そのまま終わってしまったので少しがっくし。素以後の諸戸の言葉は好き。