最後の証人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 294
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041066584

感想・レビュー・書評

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  • 同シリーズ『検事の本懐』読了後、こちらを読みました。

    物語は、法廷シーンと過去シーンが交差しながら進んでいきます。
    読み終わったとき「この作品にはこのタイトルしかないな!」と思ってしまうくらい、最後の最後までおもしろい作品でした。

    佐方弁護士のブレない姿勢がカッコよくて、エピローグでは涙が出そうになりました。

    主人公・佐方の検事時代のエピソードを知った上で読んだことで、より佐方の魅力を感じられました。

  • 題名通り、最後の証人がキーとなる法廷ミステリであり、一部叙述トリックも含んでいてかなり面白かった。「狐狼の血」とは全く異なりバイオレンス色は皆無。
    解説にあるようにオジサンを描く方が味が出る作家さんだなと思う。

  • 個人的にかなり好みのテイストだった。硬派ながら信念を持った人たちが活躍する物語は好きだ。女性でこの系統を書ける柚月さんは貴重だと思う。内容としてはヤメ検の弁護士、佐方が罪の本質を見抜いていくというもの。構成として公判中の視点と事件関係者の視点の2つからなり、これが上手い。事件関係者に対し感情移入出来るように仕掛けてある。タイトルの通り「最後の証人」が鍵を握るのだが、登場してからが特に面白い。物語の全貌が一気に見えると同時に佐方の凄さも押し寄せてくる感覚になる。自分がこの事件の関係者になったらどうするだろうか。多分、犯人のような行動はとらないであろう。難しい問題ではあるし、許せない気持ちも分かるが違う道もあったのではないかと思う。テーマの暗い話ではあるがラストでの「まっとうに救われるべき」というセリフに犯人も読者である私も救われた気がした。

  • 2022.01.26 読了

    正義は人の数だけあって正解なんてない。そのために法がある。
    罪は平等に裁かなければない。しかし平等に救わなければならない。

    読み終わった時、やるせない気持ちになりましたがこれでよかったと思います。

    裁判に詳しくないので読むのに時間がかかりましたがすごく面白かったです。

  • 表現と展開がとても心地よいです。
    また、中盤まで誰が裁かれているのか分からないのも良かったです。

    重い過去を背負う人物を描きながらも、未来への希望を抱くことができるラストでした。

  • ★特長
    7年前の犯人不起訴交通事故がきっかけに起こった殺人(?)事件
    殺人事件の裁判の進行の合間に、主な登場人物のキャラクターの背景となるエピソード紹介
    徐々に明らかになっていく事件の真相
    タイトル通り主人公佐方弁護士以外の誰もが予想し得なかった「最後の証人」の登場により、被告人の有罪が妥当と思われた裁判の判決日に大逆転。
    さらに明らかになる事件の真相。

    幸せな家庭に起きた悲劇
    親子夫婦の深い悲しみ
    不可解な不起訴
    更なる夫婦の悲しみ
    妻を襲う不治の病
    自分の命と引き換えに亡き息子の無実をはらす決意

    佐方弁護士の正すべき罪は正しく裁く姿勢

    ★感想
    夫婦愛、親子愛に感動
    自分の身を挺して息子の復讐を決意する夫婦の心に涙
    権力者の犯罪隠蔽に対する憤り
    佐方弁護士の信念を貫く姿勢に感動

    長さが丁度良かった。
    結末が素晴らしかった。

    ★魅力
    幸せな家庭に訪れたとんでもない不幸
    夫婦は同志として立ち上がる
    冒頭にメインの復讐殺人事件のシーン
    最初に持ったイメージがあとで大きく覆される
    公判が進むにつれて謎が解けていくが、大方予想通りだったのが、判決日に現れた「最後の証人」により、この事件の原因となった事件の真相も明らかになる。

    ★おすすめの人
    大方の予想を覆す逆転劇の好きな方
    真実を掘り下げるのが好きな方

    ★その他
    「結果ではなく理由を明らかにする」ことが大事
    その犯罪の裏には何があったのか?
    そうすることにより、更生につながる。

  • タイトルにある「最後の証人」が誰か分かった時、そしてその人が語る内容の重さにやられました。

    正直、少し遠回しすぎる書き方に若干展開が読めてしまう場面もありました。
    が、それでも真実が分かった時、思わず涙してしまいました。

    罪人が裁かれることはもちろん大事なことだけれど、罪人が正しく裁かれることが何よりも大切なこと。
    そしてその結果、被害者たちの思いもきちんと正しく晴らされてほしい。

    この作品がシリーズであることを読後に知りましたが、ぜひ他作品も読んでみたい。

  • ちょっと立ち寄った小さな本屋さんで、今野さんが帯に書いてる‼️と見つけて、解説も書かれているというので即購入。
    最初は裁判と交互に出てくる過去の話がどう結び付くのか?と思いながら読み進めました。
    なんとなく裁判の被告人と被害者が見えにくいなぁと思っていたら、、、

    明らかになっていく過程にもう本を読むのを止められなかった。

    とても悲しくもあったけど、その中でものすごく爽快な気持ちにもなった。
    とても面白かった!

    で、やはり、今野さんの解説がとびきりに良かった。

  • (※以前コメントした宝島社刊行の同名書籍の内容(2017.11.26)と同じでスミマセン...)

    ハラハラドキドキの法廷ミステリー。
    現代と7年前の事件が、複雑に絡み合う。

    物語中盤に明らかになる「被告人」とは、見事に読者の考えを裏切る。
    そして、表題にもなった最後の証人とは、誰なのか。

    あらゆる伏線が、見事に最後に収束する。

    判決後、弁護士の佐方が、検察官の庄司真生に言った言葉が、印象に残ります。
    「法を犯すのは人間だ。検察官を続けるつもりなら、法より人間を見ろ」

  • 本書はすでに読んでるしドラマ化されたものも2回くらい観た。でも思うことはいつも同じこと。佐方弁護士(検事)は素晴らしい!
    被告人を守ることではなく、真実を明らかにしようとするその真っすぐな姿勢。警察・法曹界関係者は一度この本を読んだほうがいい。見習ってほしい。
    裁判長も良かった。正しい判断をしてくれるし、道を切り開いてくれる。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

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