暴虎の牙

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041088975

感想・レビュー・書評

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  • 愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦。ヤクザさえも怯まず圧倒的暴力で暴走する。大上が日岡は沖を止めるられるのか。
    沖の生い立ちに始まる沖の一生の物語で、なんだか孤狼シリーズのサイドストーリーって感じに思えた。大上がいる前半と日岡のいる後半。大上でもなく日岡でもないもう一人の暴れん坊の少年の物語で…今までのそれぞれの正義やら仁義やらのような強いテーマがないかなと私は思えた。でもまあ、沖について、大上との関わりも読ませたが、今回は誰がSか、どういう思いでのどういう結末になるかということが一つの楽しさだった。

  • 沖虎彦のカリスマ性で、勢力を増していく愚連隊〈呉寅会〉。
    ヤクザをも恐れぬ彼らが、暴れまわる。

    『孤狼の血』『狂犬の眼』に続く、3部作完結編。

    暴力団、愚連隊、警察の異端者。
    アウトローたちの、これでもかというバイオレンス小説。

    大上の登場は、懐かしかった。
    日岡もたくましく、成長が感じられる。

    時代の変化とそぐわなくなる、昭和的な暴力至上主義。
    今の時代にふさわしいラスト。

  • おもしろすぎる。1作目は大上、2作目は国光のカリスマ性に惹かれ、3作目の沖には惹かれなかったが、1作目と2作目を挟む構成になっていてファンにとっては嬉しい。意図してかどうか知らないが、映画1作目へのオマージュのようなシーンもあってそれもまたいい。ただちょっと暴力シーン多めなのはイヤな人はイヤかも。

  • 待ちに待ったシリーズ第三部
    当然、日岡のその後だろうと思ったが、違っていた

    大上が第一部で非業の死を遂げてしまい、第二部では日岡の思い出としてしか登場せず、物足りなく思っていたが、この巻では、大上が再度登場する

    この巻の主人公の愚連隊、呉虎会のリーダーである沖虎彦

    前半は、ヤクザのシノギを横取りしたり賭場荒らしをしたり血気盛んな十代二十代の沖と大上との関わり

    大上は、幼い頃から父親の暴力に痛めつけられてきた沖のヤクザをものともしない肝の座った態度を見込み、五十子会潰しに使えるのではないかと考えるが・・・

    大上が沖を刑務所に送り、20年の懲役を勤め出所してきた沖を日岡が追うことになる

    20年の時を経て、沖虎彦という人物を通して、大上と日岡が結びついている
    何と洒落た話の構成だろうと感心してしまった

    大上のトレードマークともいうべき白いパナマ帽は、こうして手に入れたものだったのかと今更ながら合点がいった

    前作にもまして、目を背けたくなるような残酷で壮絶なリンチの場面が多く、女性がここまで書けるのかと思ったがその反面、大上が愛する妻子を失い、うなされる場面や沖虎彦の悲しい生い立ちなど切ない場面も多く、このあたりは女性目線なのかと思った
    単なる暴力団の抗争劇ではないように思った



  •  ああ、とうとう読み終えてしまった。私が一番楽しみにしていた新刊。柚月裕子『暴虎の牙』。大切にゆっくり読みたいのにページをめくる手が止まらない。あっという間に読んでしまった。

     それにしても柚月裕子。本当にスゴい。この物語を女性が描いたのかと信じられない思いで読んだ。『孤狼の血』を読んでからすっかり柚月裕子のファンになってしまった。他にも素晴らしい小説ばかりだが、このシリーズは別格に好き。

     久しぶりにガミさんに会えたのも嬉しかった!でも、これで本当に完結?まだまだガミさんに会いたい(><)

     ガミさんのトレードマークでもあったパナマ帽。なるほど、こうして手に入れたのかぁ。


     さて、今回も魅力的なキャラクターが登場。冲虎彦。壮絶な少年時代を過ごした冲はヤクザも恐れない愚連隊『呉寅会』を率いるカリスマ。
     ここでガミさんの登場。個人的に色々と因果のある五十子会に冲をぶつけようと画策するが、沖の生き方に危なっかしさを感じたガミさんは・・・。

     
     個人的には日岡もかなり頑張ってると思うけど、やっぱりガミさんには敵わないなぁ。あぁ、またガミさんに会いたくなってきた!面白すぎます。柚月裕子さん、これで完結なんて言わないで、どうかシリーズを続けてください!!

    • breadandbookさん
      >ああ、とうとう読み終えてしまった
      その気持ちとてもよく分かる。しかも完結ですものね。また書いて欲しいですよねえ( ; ; )
      >ああ、とうとう読み終えてしまった
      その気持ちとてもよく分かる。しかも完結ですものね。また書いて欲しいですよねえ( ; ; )
      2020/07/06
    • ひとしさん
      こんばんは!
      コメントありがとうございます♫
      面白い本はそういう思い、よくありますけど、こたらのシリーズは特にその思いが強いです。
      ど...
      こんばんは!
      コメントありがとうございます♫
      面白い本はそういう思い、よくありますけど、こたらのシリーズは特にその思いが強いです。
      どうかまた描いて欲しいものです(><)
      2020/07/06
  • 「孤狼の血」シリーズの第三作目。破天荒な大上刑事をもう一度読めたのは本当に嬉しい。本作ではそんな大上刑事の過去の悲しい過去が語られると共に、手のつけられない暴れん坊沖虎彦が新たなキャラクターとして登場する。大上と沖との血と汗を握る対決は圧巻だった。ラストは極道の行き着くところは結局救いがないなと何とも言えない悲哀に溢れる。

  • シリーズ第1作となる「孤狼の血」を読んだのはこの前の日曜日(8/22の午前中)、読み終えた直後からprimeにて映画版を視聴し、午後から第2作「凶犬の眼」を読み終えた。

    シリーズ第3作となる本書「暴虎の牙」は持っていなかった為、購入するまでの間は違う積読を4冊ほど読み終えましたが、どうしても欲望が抑えきれず休日(8/28)の今日、朝から本書を購入し一気に読み終えました。

    第1作で強烈な印象を残したガミさんが巻頭から再登場!

    すなわち、本書は「凶犬の眼」よりも時間を巻き戻したところから始まります。

    さすがシリーズ物、毎度お馴染みとなった登場人物と完結編にあたる本書で明かされ、繋がりをみせる過去。

    本作で悪役として描かれるのは前作までのヤクザとは違い、そのヤクザにさえ牙を剥く虎。

    そう、虎の過去から描かれる為、今は亡きガミさんが大暴れします。

    ガミさん亡き後、彼の志を受け継いだ日岡が虎を追い詰めていく。

    1週間という短い間でシリーズ3作を読み、映画版まで視聴したが故に3作の作品が私には完全に繋がった1つの物語として感じることが出来ました。

    個人的には「凶犬の眼」の感想に書きましたが、一ノ瀬(江口洋介←映画のキャスティング)にもっと暴れて欲しかった。

    大満足のシリーズでしたが、もうガミさんや日岡に会えないと思うと淋しさを感じます。

    柚月先生のもう一つの「貞方シリーズ」もなるべく早く読み進めていこうと思います。


    説明
    内容紹介
    「孤狼の血」シリーズ完結編!

    広島のマル暴刑事・大上章吾の前に現れた、最凶の敵。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦の暴走を、大上とその愛弟子である日岡は止められるのか? 著者の人気を決定づけた警察小説『孤狼の血』シリーズ、ついに完結!
    内容(「BOOK」データベースより)
    博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とそのカリスマ性で勢力を拡大していた。広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の匂いを嗅ぎ取り、沖を食い止めようと奔走する。時は移り平成16年、懲役刑を受けて出所した沖がふたたび広島で動き出した。だがすでに暴対法が施行されて久しく、シノギもままならなくなっていた。焦燥感に駆られるように沖が暴走を始めた矢先、かつて大上の薫陶を受けた呉原東署の刑事・日岡秀一が沖に接近する…。不滅の警察小説シリーズ、令和でついに完結!
    著者について
    ●柚月裕子:1968年、岩手県生まれ。2008年、『臨床真理』で『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞を受賞。丁寧な筆致で人間の機微を描きだす、今もっとも注目されるミステリ作家の一人。他の著書に『最後の証人』『検事の本懐』『検事の死命』『検事の信義』『蟻の菜園‐アントガーデン‐』『パレートの誤算』『朽ちないサクラ』『ウツボカズラの甘い息』『あしたの君へ』『慈雨』『盤上の向日葵』などがある。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    柚月/裕子
    1968年岩手県出身。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。18年『盤上の向日葵』で「本屋大賞」2位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 多くの読み友さんのレビューを薄目でやり過ごし、
    そしてようやく読めた。

    シリーズ3作目。

    2作目からの流れで日岡目線の日岡での展開になるのかと思ったら
    ガミさん登場。
    一気に昭和のホコリっぽさと匂いが充満する。

    若い沖虎彦の暴れ方が最初から狂気。
    牙をむきっぱなしだった。

    柚月さん、すごい。
    女性ですよね、確か女性ですよね。
    驚きを隠せない暴力的な表現と荒くれて男たちの描写。
    もう、ビックリです。
    虎も良かったけど、やっぱりガミさんの存在感が凄すぎる。

    日岡の駐在から刑事に戻るところが読みたいなぁ。
    でも、これで終わりなんだぁ。
    このシリーズの締めくくりはガミさんなんだなぁ。
    書いてくれないかなぁ、何年でも待つんだけどぉ。

  • 数々の暴力に疲れました…。
    柚月裕子さんはもしかして姐さん?

    暴虎となってしまった沖ちゃんは、自分自身を制御出来なくなってしまった。
    ラストは…沖ちゃんへの友情なのか、この泥濘から抜けるにはこの方法しかなかった諦めなのか。
    沖ちゃんをは本当は温かい場所を探してたんではないかな。かわいそうな主人公だった。

  • 大上が回想シーンの様な感じで出てきたが実際はヤクザに歯向かう若者(虎)の、話で自分の生きたいように生きる為には圧倒的な力が必要でそれは行き過ぎると信頼していた仲間を置き去りにしてしまう。

    最後は最も信頼していた友に撃たれて死んでしまうのは切なかった

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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