暴虎の牙

著者 :
  • KADOKAWA
3.80
  • (148)
  • (309)
  • (237)
  • (21)
  • (4)
本棚登録 : 2103
感想 : 244
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041088975

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 愚連隊トップの沖は、ヤクザ相手に暴挙を重ね、とうとう刑務所へ。出所後も暴走は止まらず自ら破滅の道へ進む。

  • 骨のあるハードボイルド小説。

    極道と刑事という歪な世界が描かれているが、なぜか彼等の美学に共感してしまう。美しいと思ってしまう。

    キャラクターが立っていて三部作まとめて、とても完成度の高い物語。

  • 今回も面白くて一気読み〜3部作まとめて一気に読んだ。
    昔のガミさんが前半は登場し、パナマ帽の謎が解けた。
    毎度、晶子の料理や本中に出てくる料理がどれも美味しそうで、お酒と共に食べてみたくなる!

  • ガミさん、ひさしぶり。元気だったんだ、ってか死んでたよね。時間巻き戻して、つかの間の復活ですか。ヤクザだけでなく、愚連隊のあんちゃんにも阿漕な接し方ですな。このたびは沖虎彦を主人公に据えて、大上、日岡の二代にわたる外伝ってとこだ。感想としちゃあ「こら日岡、こんなァ何しに出てきとんじゃ。呉虎会対策班長って、えろう大層な看板背負うて、結局なんもしとりゃせんが」と、インチキ臭い広島弁もどきで怒りとうなります。きっとガミさんも草葉の陰から同じ思いだろうよ。どうあれ、暴対法でシノギを削られて逼迫し、やんちゃな若いのに散々ふみにじられるヤクザがやけに現実的で、憐れでありました。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とそのカリスマ性で勢力を拡大していた。広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の匂いを嗅ぎ取り、沖を食い止めようと奔走する。時は移り平成16年、懲役刑を受けて出所した沖がふたたび広島で動き出した。だがすでに暴対法が施行されて久しく、シノギもままならなくなっていた。焦燥感に駆られるように沖が暴走を始めた矢先、かつて大上の薫陶を受けた呉原東署の刑事・日岡秀一が沖に接近する…。不滅の警察小説シリーズ、令和でついに完結!



    『孤狼の血』『凶犬の眼』に続くシリーズ3作目!
    『孤狼の血』は映画も観に行くほど好きな作品です。
    死んでしまったガミさんのスピンオフ的な そして成長した日岡のその後、みたいな内容で面白かった。
    日岡がガミさんの意志を受け継いでいて嬉しかったです。本当に完結してしまうのかなぁ...残念です。

  • 面白かったが、この3部作シリーズやはり最初の「孤狼の血」が一番出来が良いと思う。多分これで完結だろうが、著者の作品の中ではかなり異色作で興味は惹かれるが、違う路線であればもっと違うものがいいと思う。

  • 今は亡き大上が、荒れ狂う虎のような半グレとの関わりを描いたハードボイルドです。
    孤狼の血は個人的に大名作で、大上というヒーローを生み出しながらあっさり殺した柚月さんの思い切りの良さに驚嘆しました。
    前作のように弟子の日岡が主役なのかなと思いきや、ガミさんの再降臨でわくわくしました。
    しかし今回の主役はガミさんではなく、半グレ沖虎彦です。誰よそれという話なのですが、ヤクザの下には絶対につかず、落ちこぼれを束ねて群雄割拠の中に割り込んでいく、若い人食い虎のような青年です。
    とても魅力的なキャラクターなのですが、個人的には前2作程はのめりこめなかったのが正直な所です。
    これが完結ということなんですが、ガミさんのバックボーンが分かったという所でなんでしょうか。なんというか個人的にはもっとがっちりガミさんに話を振り切って欲しかった。
    もう一回くらい書いても怒らないんだからね!!

  • 「虎狼の血」を最初に読み、この本を次に読んでしまい、順番が違ったがきちんと楽しめた。
    今から「狂犬の眼」を読む予定。

    虎狼の血で殺害された広島県警の大上章吾が、最初の章では(昭和57年設定のため)生きて活躍中。
    ガミ節がもう一度聞けて嬉しい。
    沖と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争を予感し、沖を食い止めようとする。
    全編通して、呉寅会のトップ沖虎彦の物語。
    暴力団ではなく愚連隊を率いる理由、父親、そして親友ふたり、そのあたりが詳しく描かれている。
    沖の前に、いつものように馴れ馴れしく登場する大上。
    何かやろうとすると、必ず大上に邪魔される。
    内部に密告者がいる…
    平成16年、20年の懲役刑を受けて出所した沖はまた広島で動く。
    すでに暴対法が施行され、シノギもままならなくなっていた。焦った沖が暴走を始めた矢先、かつて大上と共に走り回った刑事・日岡秀一が現れる。
    警察内で生き残る方法を大上から学んだ日岡。
    無残に殺された大上の死への怒りから、大上に手を下した暴力団組織を破壊させる為、捜査に全力を注ぐ。

    平成16年の描写は大上かと思うほど、日岡は大上の生き写しになっている。
    ラストの沖の様子は、なんとも物悲しい。
    育った環境で選択肢が決まる、これはどんな世界でもおなじなのか。
    今の高学歴の親から高学歴の子が育つ、と全く同じ構造。
    選べる環境なら、沖は、どのような人生を歩んでいたのだろう。

  • シリーズ3部作中の完結編である、この『暴虎の牙』が一番暴力的なシーンが多くて読むのにも力が入った気がします。
    ガミさんの活躍がまた読めたのは何だか嬉しい
    トレードマークのパナマ帽の経緯もあかされている。
    育った環境って大事だなぁ。沖は人の心を持ってない夜叉の様だけど、人格形成したであろうエピソードは心が痛みます
    最後残るのがあの男だったかぁ〜!

  • 広島のマル暴刑事・大上章吾の前に現れた、最凶の敵。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦の暴走を、大上とその愛弟子である日岡は止められるのか? 著者の人気を決定づけた警察小説『孤狼の血』シリーズ、ついに完結!

全244件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×