堕落論 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100202

感想・レビュー・書評

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  • 【読書週間2012教職員おすすめ図書】
    遠山緑生先生推薦

    読むなら新書をお薦めすると言いつつ、一冊ぐらいは「名著」と呼ばれるものの中から取りあげてみたいと思います。ただし、お手軽に読めて、2012年に読んでもワクワクしそうなものを。
    「堕落論」と題されたエッセイ自体はごく短いものです。Webブラウザで5,6画面分ぐらい。まあ長めのblog一記事ぐらいですね。この「堕落論」を含む本自体はなんどか形を変えて出ているのですが、なんなら青空文庫やkindleで無料で読めます。ああでも、青空文庫やKindleの原文そのままだと、補足がないと読みにくいかもしれない。
    私は、あんまり昔のことを覚えていられないタチで、読んだ本のこともあんまり覚えていないし、覚える努力もあまりしていないんだけれど、このエッセイの内容はなんだかずっと覚えています。高校生の時に、坂口安吾の本を2,3冊精読(細かく丁寧に読むこと)したことがあって、いろいろ読んだんだけど他はほとんど忘れてます。ただこのエッセイだけは妙に鮮烈に覚えています。
    今にして思えば、たぶん私はこの本を読んだときに、「読書初心者」を脱したのかもしれません。
    もし「堕落論」を読むことがあったら、なんでこのエッセイが2012年に読めばワクワクすると私が思うのか、なんでこのテーマ「読書初心者におすすめする本」でテキトーな新書を読むことをお勧めしているのか、考えてみてくれると嬉しいです。

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    【読書週間2010教職員おすすめ図書】
    岩月基洋先生推薦

    振り返ってみると、20歳のころは、とかく何かを難しい言葉を使ったり、哲学的に自己の存在を考えてみたくなる頃だったと思います。
    ポジティブシンキングなんて、くそくらえという人もいるでしょう。あれこれ思い悩んでいてもいいのは、青春の特権だと思います。
    「適切に」悩んで、どこかで突き抜けてください。

  • 090922(s 不明)

  • 「大ゲサすぎたのだ。限度。学問とは、限度の発見にあるのだよ。大ゲサなのは、子供の夢想で、学問じゃないのです。」


    太宰の死について、「不良少年とキリスト」ほど的確に、そして愛情深く書かれた文章は無いのではないだろうか。

  • 新潮文庫版と表題が同じだが、収録されている作品は7割がた異なっている。新潮の方が、割と長めのものを多く収録するのに対し、こちらは比較的短いものが多い。
    「デカダン文学論」「恋愛論」が特に良かった。

    なかなか同じ作品を繰り返し読むことのない僕だが、「堕落論」「日本文化私観」などは新潮とダブって収録されているので、自然と二度読むことができて良かった。

  • 人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。第二次世界大戦において、正しい道を歩もうとして間違った道を歩んだ日本を批判し、堕落することによって救われるという坂口独自の考えを中心に書かれたエッセイ集。

     「堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。」

    坂口安吾の視線がとても斬新、そして納得させられてしまう。
    堕落を受け入れることで、人は追い詰められることなく健全に生きられるのだろうと思ったし、堕落を受け入れる心を持ちたいと思った。

  • ”この戦争をやった者は誰であるか、東条であり軍部であるか。そうでもあるが、然し又、日本を貫く巨大な生物、歴史のぬきさしならぬ意志であったに相違ない” このフレーズどこかで見た事がある、、誰?日本人じゃなかったような気はする

    ”朝儀を盛大にして天皇を拝賀する奇妙な形式が大好きで、満足していた。天皇を拝むことが、自分自身の威厳を示し、又、自ら威厳を感じる手段でもあったのである”

    ”人間は永遠に自由では有り得ない。なぜなら人間は生きており、又死なねばならず、そして人間は考えるからだ”

    ”美しいものを美しいままで終らせたいということは一般的な心情の一つのようだ”

    天皇制、武士道は必要に迫られて出来上がったもの。システムに頼るのではなく、人は落ちるところまで落ちたときに自分を見つけ、自分を救う。

  • 僕が持っているこの本は、古本屋で140円で買った角川文庫。昭和五十五年 改版三十四版発行、とある、全体日焼けして茶色に染まり、破れかけた表紙をセロテープで補強し、それもはがれてきている年期もの。
    買った22、3の頃、読んでみてもまったく受け付けなかったのだが、その後ニーチェの本を読みふけったのち、まだまだ自分の中に大きなわだかまりがあった頃、改めて読んだ時の衝撃・・・。
    ホント人生観が大きく変わった気がした。
    大げさに言えば、「罪と罰」のラスコーリニコフが「空気が必要だ」と言われた、その空気だったように。
    その現実という大地(それがいいのか悪いのかではなく、それそのものとして)に足をつけて立つということを教わった。

  • 「孤独は、人のふるさとだ。恋愛は、人生の花であります。
    いかに退屈であろうとも、この外に花はない。」

  • 青春論がよい

  • 人間は何処まで落ちようと完璧に落ちきることはできない。そしてそれこそが人間のあるべき姿なのだ。
    てなことを言っておられて、なんか救われた。
    だからこそ、落ちた後は、這い上がる道しか残されていないのだ

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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