- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041100202
感想・レビュー・書評
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坂口安吾の短編エッセイ集。
短編といってもひとつひとつ読み応えがある。
一度だけでは読みたいない。
何度も何度も読み返し、少しでも自分の血肉に変えて行きたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たまには古い人の作品でも読まねばなるまいと思って手に取ったのが本書である。坂口安吾については、「白痴」を読んだことがあるくらいで、他は何も知らない。そういえば高校時代に、国語便覧で戦後文壇の寵児だったと書いてあったような気がするが、ともかく彼がどういう人生を送り、どういう思想を持っていたかについては、何の予備知識もなかった。そんなバチアタリが一時の気の迷いの末に本書に飛びついてみたみたら、これが結構面白かったのである。言葉尻を捕まえれば、いくらでも矛盾を指摘することはできようが、そんな野暮なことはするまい。本エッセイには、坂口安吾という人物の世界観が、そのまま紙面に飛び出してきたようなところがある。安吾の孤独に関する洞察は徹底しており、他の何がぶれようが、その孤独に関する記述にだけはぶれがない。しかし、そんな魂の孤独を引き受けながらも、彼は他者に対する温かい眼差しを捨ててはいないのだ。本書の最後のエッセイに、安吾の真髄を見た気がする。
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16歳で出会う。
工芸室の裏で読む。土の匂いと会談の雑草。
風と光と二十の私に重ね合わせる。野心は、悲しくない。
ゼミの提出課題に選んだ。
16歳で読んだあの時の衝撃や興奮が忘れられず本を読む。 -
坂口安吾の本。
有名な本なのであれですが、人間というものを、楽観的でもなく悲観的でもなく徹底的に見つめなおすことで、人というものの本質を見出していこうっていうのが堕落論です。
ただその表現は、とても厳しく、だからこそ力強いのでした。「生きよ堕ちよ」その厳しくも徹底的に前に進むという姿勢はとてもかっこいいす。
そのほかにも青春論とかいろいろあって面白い。必読。 -
「日本文化私観」「青春論」「堕落論」「続堕落論」「デカダン文化論」「悪妻論」「恋愛論」「エゴイズム小論」「欲望について」「大阪の反逆」「教祖の文学」「不良少年とキリスト」収録。
初坂口安吾でしたが、かなり面白かった。自分の嗜好に近いみたい。人生観というかそういうのが…
もっとも、時代を越えてこういう表現がマイルドになってコレなのか、当時においてもコレなのか分からないものの
こういう人は友人とか近しい人にはなれないし、近くにいたら腹立ちそうだけど。
特に、太宰の自殺をきっかけに(?)書かれたみたいな、坂口の太宰評の「不良少年〜」が気になる記述が多かった。 -
価値観に真正面から向き合える一冊。
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前々から気にはなっていたやつ。
戦時中や戦後に書かれた評論をまとめた本ですけど、あまり古臭さは感じませんでした。
いやまあ、所々時代を感じさせる描写はありますけど。
個人的に気になったのは何度も出てくる文学論。
文学とは自分の人生をかけるものだ、みたいな、気合の入った論です。
これは個人的に、近年のものと相当合わない気がします。
中村うさぎが「『自分の作品に命をかけている』といわれると白ける」みたいなことを書いてたのを思い出したせいでしょうか。
エンターテイメント性があふれてるのもあれば、重々しいのもあるわけです。で、どっちが優れてるとかいうのも変だし。
安易な作品なんて文学じゃない!とか言われても区別つかないし、特に区別する必要感じないし、
作者の魂がこもってないとダメだ、とか言われても読者にはよくわかんないですよね。
鼻歌交じりで書かれてようと傑作は傑作だし。
どうもその辺の気負いは共感できませんでした。
でも全体的にみて面白かった。やっぱ文章うめえよ文学者。 -
テスト期間に読んで泣きそうになりました。これ、読み進めちゃって赤点とるしかないやん…!笑
ななめにうがった視線に慣れるのに時間がかかりそうだけど、とっつきにくくはなかった、そんな感じ。 -
2008.9.10読了。
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2002年、神戸のMさん