光圀伝

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.29
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  • Amazon.co.jp ・本 (751ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102749

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりにまとまった時間が取れたので、気になっていた分厚い1冊を。いろんな書評でも高評価だったので期待大でしたが、この厚みにちょっと腰が引けていました(^^;

    が、読み始めると止まらない!今まで漠然と抱いていた『黄門様』のイメージが一気に変わりました。

    個性あふれる登場人物は、みんな魅力的。時には笑い、時には目頭が熱く。もちろん細かいやり取りはフィクションだとは思いますが、史実を土台として実在の人物に語らせることで「本当にこうだったのかもしれない」と思ってしまいます。

    また『天地明察』の主人公である安井算哲の登場にも、ついニヤリと。同時期の史実を水戸光圀側から書いているので、当たり前と言えば当たり前なのですが(苦笑)。

    充実感溢れる一冊でした。

  • ここ数年で一番面白かった。
    私は、天地明察よりずっと何倍も夢中になった。
    泣けて、鳥肌が立って。
    10年くらい経ったらまた読み返そう。

  • 時代小説はあまり得意でないのだが、「兄弟の絆」が作品の要素の一つに入っていたため、ハマった。本来ならば藩主の座は兄が継ぐはずであるのに、諸々の事情から弟の自分(光圀)が次代の藩主に据えられる。そのことを兄は恨むことなく、むしろこの上なき幸福かのように祝福するが、光圀は長いこと「自分でいいのか」という思いに囚われ続ける。その苦しい思いを読者である我々も共感することで、光圀というキャラクターに惹かれていく。
    それ以外にも、私が抱いていた「水戸光圀」というイメージが本作で覆されたのもよかった。夕方頃にテレビの中に現れるおじいちゃん、そこからきっと優しくて、優等生タイプの少年時代を過ごしてきたんだろうなと勝手に思っていた。「破天荒」、「豪傑」、「爽快」――これらの言葉がふさわしい男が本作の中にはいた。私のように、水戸黄門のイメージしかない方は最初はきっと驚くだろう。しかし、やがてそのことにも慣れ、というか期待している自分がいると思う。苦手なジャンルではあったが、最後まで読み切れたのはインパクトの強い光圀のキャラのおかげであった。

  • 読み始めたのは一年くらい前で
    最後、5分の1くらい残して止まっていた。
    が、今日読み始めて、そのまま一気に読み終えてしまった。

    最も目をかけていた紋太夫をその手にかけるところから始まり、終わる。

    自分を試し続ける父、差し置いて自分が世子となってしまった兄への思い。
    友人や尊敬できる人物、ライバルとの出会い。
    大切な人物を亡くし、新たな世代への想い。
    引き継がれていくもの。
    天地明察ともリンクしていた。

    面白かったんだけど、読むのに労力がかかったなぁ。
    軽く読める本ではなくて、世界に引きずりこまれる本。

  • 水戸黄門、水戸光圀の話。
    やんちゃしている光國の頃が一番楽しかったかな。
    幼少期の生首持って舞ってるところもぞくぞくしましたけども、やっぱり読耕斎とやりあってる辺りが良かった。
    才能にあふれてて順風満帆なイメージしかなかったけど、大義を果たして大義を殺したこの人の物語は、寂しくて切なくもあった。

  •  先人たちに託され、また託していく歴史の積み重ねに想いを馳せずにはいられない一冊。
     戦乱の世が終わり太平の世に移り変わっていく江戸初期、「義」を重んじ、詩を愛し、数々の文化事業を行った水戸光國の一代記。
     「天地明察」の清々しさと比べると圧倒的に重い。雁字搦めの中で、理想と現実の狭間に揺れながら、自分の為すべきと信じたことを為していく男の物語です。
     光國の「大義」すなわち正当性の抱える矛盾や、続く親しい人々との死別が、物語に常に暗い影を落とし続けており、これが読み進む上でいい意味での緊張感を与えてくれていました。
     光國と、光國が出会う様々な人物たちの生き様に何度も目頭が熱くなりました。
     人の営みが過去から現在に、未来につながっていることを強く強く感じさせる傑作。

  • 重かった!物理的に。
    すごいボリュームだったけど、全く飽きずに読めた。
    天下の副将軍(そんな役職はないらしい)水戸光圀の一代記。
    義を求め、不義と向かい合い、周りに感謝しながら成長し、世間に大きな影響を与え続けた光圀。
    有名な人だけど、こんなにすごい人だったとは!
    光圀の魅力を余すところなく描き切った作品。

    天地明察と重なる部分もあり。
    同じ時代の同じ出来事を違う登場人物を中心に語られる面白さ。
    算哲が光圀に天球儀を献上するくだりを、光圀目線で読みたかったかな。

  • 水戸光圀という人の生きざまを描いた大河小説。
    重厚で読み応えがある。
    光圀だけでなく兄、頼重や保科正之、佐々宗淳といった登場人物が魅力的。

    ~頑張れ、子龍(松平頼重)~
    ~本気でそれを行うのなら。おれは、お前に仕えたい(林読耕斎)~
    ~わたくしが、お傍におります(泰姫)~
    ~だから平気で、膝の上で泣くのですか(左近)~

  • おもしろかった…!
    さすがに一気読みは出来なかったけど、しおりを挟むのが惜しいくらい読み続けたい!と心底思える本だ!

    天地明察の時も思ったけど、人の一生を読んだという気分。
    出会いがあって別れがあって、成長があって葛藤がある。
    そして人は死に、産まれ、繋がっていく

    当たり前のことなんだけど、やっぱりズシンと心に響く。

  • 分厚いので一見読む気が引けてしまうが、読み始めればページをめくる手が止まらない本。それに、読後感はたまらない。
    個人的に好きなキャラはお兄さんと左近。またこの二人に限らず、光圀と人との交流は、刺激でも安息でもあるため、とても好ましく感じる。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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