光圀伝

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • / ISBN・EAN: 9784041102749

感想・レビュー・書評

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  • ボリュームがあったが、最後まで楽しめた。
    水戸の黄門様としての場面は最後に少しだけ。
    義に対する熱い気持ちの持ち主とわかった。
    『天地明察』ともリンク。
    作者は一生を賭けて何事かをなす人物の造形が上手い。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「義に対する熱い気持ち」
      私達が失いかけているモノを、書いてくださっているんだ。。。早く文庫になると良いなぁ~
      「義に対する熱い気持ち」
      私達が失いかけているモノを、書いてくださっているんだ。。。早く文庫になると良いなぁ~
      2012/12/18
  • 紋太夫って、誰!?
    一体、何をしちゃったのー!?
    という疑問から、壮大な水戸光圀の一生を追わせていただきました。

    光圀って言うと、水戸黄門が思い浮かんで、
    印籠とか、スケさんカクさんのお供を連れてるおじいちゃん…
    ってイメージしかなかった。
    だけど、この話は若い光國から話が始まっており、
    思ってた水戸黄門がガラッと変わったよー。

    水戸徳川家の三男でありながら、世継ぎとなる。
    なぜ自分なのか。
    兄がいるのに、自分が世継ぎとなるのは「不義」である。
    なんとしても「義」を通すために、
    光國は兄の子を自分の養子にし、自分の血筋ではなく、
    兄の血筋を藩主にしようと考える。 

    結果、光圀は自分の大義を通すことができたが、
    その後、家臣の紋太夫が紋太夫なりの大義を
    通そうとしていることを知る。
    それは、水戸家から将軍を出して、政治を朝廷に還すこと。
    光圀の大義と紋太夫の大義。

    いやー、光圀がとにかく、カッコいいと思った。
    正直、「大義にそこまでこだわる?」と思ったけど、
    時代を考えたら、大義を貫いたことがカッコいい!!
    そして、何より登場人物が魅力的だった。
    妻の泰姫(たいひめ)、兄の頼重、友の読耕斎。
    天地明察と被る所もあるようで、そちらも読まねば(*・ω・)!!

    ただ、私の読解力のなさで分からないことがあります。
    光圀は紋太夫を殺める際に、「大義なり。」と言ってます。
    これの、意味が分からなくて…。
    光圀は、紋太夫の大義を知って、驚いているけど、
    この「大義なり」には、何の意味が含まれてるのか
    分からなかった。
    光圀の今からする紋太夫を殺めることが大義だったのか、
    それとも、紋太夫の考えていたことが光圀も大義だと思い、
    あえて、殺める際に「大義なり」と言ったのか…。
    それとも、別の意味合いが?
    どうしても、この言葉が分かりませんでした…( ノД`)…

    • shintak5555さん
      クラウドにFacebookのNote機能を見れるようにしていたことを忘れていました。笑
      大義!確認しました。結果、まったく分かりませんでし...
      クラウドにFacebookのNote機能を見れるようにしていたことを忘れていました。笑
      大義!確認しました。結果、まったく分かりませんでした!笑
      なんとなくですが、大政奉還は、本来の世子、頼重の直系で成し遂げねばならないということで、自分が養子として受けた綱條であってはならないということが大義だったのでしょうか。
      ただ、殺すことで大義を成し遂げたことは確かですね。
      以下、長いですが、当時(2014年)の備忘録。

      光圀伝:冲方 丁 750pで1995円。文庫なら4分冊くらいになると思いますので、すさまじいコストパフォーマンスです。 歴史が苦手な私なので、水戸黄門と言ったら「スケさんカクさん」しか思いつかないのですが、この本を全て盲信するのであれば凄まじい人物だったということでしょうか・・・。 水戸徳川家初代当主頼房(家康の十一男)の三男として生まれるが、世継ぎ決定時期に長男の頼重が大病を患っていたことで世子となる(次男は死亡)。本来は頼重が水戸徳川家を継ぐべきだったと悩む光國は、自分が世子に選ばれたことを不義であると悩む。 この小説の大きな柱の一つとして、この不義をいかにして義に戻すかというテーマがある。結局、兄頼重(讃岐高松藩初代当主)の長男(綱方)を養子に譲り受け自分の世子とする!という大義を成し遂げる。ただ、綱方は若くして死んでしまうので、一緒に養子として受けた次男(綱條)が水戸徳川家の三代当主となります。この時代、ちょっとした病気でも死が側にある。登場人物がほんとによく死にます・・・。 さて、小説の柱の二つ目。それは学問。光國を取り巻く識者がホントにカッコイイ。会津の浪人山鹿素行、儒学者林羅山の四男読耕斎、京の歌人冷泉為景、明国の儒学者朱舜水・・・。光國と彼らの駆け引きを読むだけでもホントに楽しい。光國の人生に大きな影響を与えたのは間違いない面々です。そして光國は大日本史の編纂を開始する。凄い事業です。完成は明治時代ですか・・・。 そして、天地明察の主人公安井算哲!出てきましたよ!改暦を果たしました! 最後の柱。光國に小姓として仕える藤井紋太夫。光國の義、思惑を理解しそれを影で支える利発な青年。光國が光圀と改名し隠居したあと、綱條を支える大老に大出世するが道を誤る。この小説の冒頭は光圀が大老を自ら刺し殺す衝撃的な場面から始まるが、物語の最後にこの場面に戻る。紋太夫は光圀の大義を最も間近に体験してきた人物であり、大義の重さを誰よりも知っている。将軍を支える立場の大老でありながら大義を持ってしまった悲しい結末です。その大義とは「大政奉還」。鳥肌が立つような大義でした。 この大義は頼重の直系子孫と言っていい第十五代将軍慶喜(水戸徳川家を経て一橋徳川家)により成される。それを匂わせるくだりがあります。凄いね、歴史って。 最後に、光圀の唯一の正妻である泰姫の侍女である左近との心の繋がりは良いです。切なくなります。 さてさて、ボリュームと難解な文章から万人には勧められませんが★★★★★。満点。
      2022/07/11
    • ほくほくあーちゃんさん
      わぁー、備忘録ありがとうございますー!!
      読みごたえ抜群でした!!
      そして、もう一度光圀伝を読んだ気になりましたー笑
      やっぱり天地明察は読ま...
      わぁー、備忘録ありがとうございますー!!
      読みごたえ抜群でした!!
      そして、もう一度光圀伝を読んだ気になりましたー笑
      やっぱり天地明察は読まねばなりませんね。
      2022/07/14
    • shintak5555さん
      感想楽しみぃ。
      感想楽しみぃ。
      2022/07/14
  •  「天地明察」がウケけましたが、こっちのほうが、ぼくは好きです。なかなか、サスペンスの作り方がいい!文章も読みやすいですね。当たり前か?!

  • BGMはMichel Jackson

    壮大でした。
    天地明察の算哲さんも光圀の人生に登場しました。それによって、より人と人との交わりが時空を超えて広がっていくように感じました。
    学を追究し、詩で天下を取ることを追求する姿が大きくて遠かったです。

    水戸黄門というと、テレビドラマのニコニコとしたお爺さんのイメージでしたが、激情家で怪力の者という想像と全く違う姿が面白かったです。

  • ものすごく読みごたえがあります。

    たとえば光圀には兄がいたのに、彼が水戸徳川家の後を継いだこと。
    歴史の事実としては知っていたけれど、大事なのは事実を知ることだけではなく、なぜそのようなことになったのか。
    事実に関わる人々が、何をどう考えどう生きたのかそこが大事なのだということを、光圀の生き様を通して描いた小説。

    つまり、光圀が編纂を始めた「大日本史」のような、人物本位の歴史小説なのである。
    …まあ、歴史小説は、大抵人物本位ではあるけども…。

    儒教に傾倒した光圀にとって、兄をさしおいて自分が後を継ぐというのは、義に反することなのである。
    「なぜ自分なのか?」
    それがわからないから、自分に自信を持つことができない。
    常に兄に対してコンプレックスを感じなくてはならなかった少年期。

    コンプレックスを抱えたまま文武の才を伸ばしていった青年期。
    ひととの出会いに恵まれる。
    宮本武蔵。沢庵和尚。山鹿素行。林羅山とその息子林読耕斎。保科正之。藤原惺窩の息子冷泉為景。後水尾上皇。滅亡した明から逃れてきた朱舜水。
    なんと才能あふれた人たちが多発した時代であったことか。

    詩で天下をとると決めたながらも、次々にやるべきことが目の前にあり、まわり道の日々を送るのであるが、それが光圀を成長させていく。

    志半ばで世を去っていく人たちから託された思い。
    義に生きる光圀は、それらを受け止めながら自分の道を模索していく。
    自分の志と義の一致を求めて。

    ことに、終生のライバルであり友であった読耕斎との交流と、正妻の泰姫とのたった4年の夫婦生活が、どれほど光圀の心を開放し、才能を伸ばしたことか。

    泰姫と左近の関係は、のちの『花とゆめ』の定子と清少納言に似ている。できた女官と才能あふれ心豊かな姫君。なるほど、ここから発展させたのか。

    光圀が誰かを殺害するシーンから始まり、誰を何のために殺したのかを謎としながら進められるので、小説的興味も尽きないで読み進められるのだが、実はここも史実なんですよね。
    解釈が通説と逆なのに納得させられる筆力。
    いや、これが真実でいいんじゃないでしょうか。

    徳川3~5代の時を、光圀と一緒にわくわく過ごした。
    楽しかった。

  •  アップしていたはずのレビューが今日見たら消えてた……。というわけで再レビュー
     図書館より
     水戸黄門の通り名で有名な水戸徳川将軍、光圀の生涯を描いた歴史小説。

     光圀の生涯はとにかく濃い! ハードカバーで700ページ以上の大作なので、読み始める前は「ちょっと書き込みすぎだろう」などと思っていたのですが、いざ読んでみると、光圀の人生はとにかく濃くて、この生涯を描くのに700ページという厚さは必要だったのだな、と思いました。

     将軍家の三男として生まれた光圀ですが、彼は長男を差し置いて父から世継ぎに選ばれます。そんな光圀の生涯の問いの一つは「なぜ自分なのか」という事でした。そしてその問いは徐々に光圀の中で「何を義として生きていくのか」ということに変わっていったのだと思います。

     何のために生きていくのか、と思いながら生きていくことは正直しんどいことだと思います。だからというわけではありませんが、僕はあまりそういうことは考えず、日々を生きています。でも一方で光圀のような自分のやるべきことに対し、常に悩み、そしてそれに向かって生きていく姿はうらやましくも感じました。そうした悩みとその苦悩を振り切って彼が生きていく姿はとにかく力強かったです。

     また光圀は若くして妻や友人と死に別れ、晩年も息子同前に可愛がってきた家臣との決定的対立を迎えるなど、別れの多い人生でもありました。

     またそうした別れが何かが始まろうとしている時だったり、上手くいこうとしている時だったりするのがまた印象的でした。そうした悲しみにも負けず自らの義に向かって真っすぐに突き進んでいく姿は、人生に義を定めた人間の強さを表しているように、そして家臣との対立はそれだけでは如何ともしがたい義と義とのぶつかり合いの果てを見せられたように思いました。

    第3回山田風太郎賞
    2013年本屋大賞11位

  • 読み応えのある本でした。
    冲方丁の作品で、前作の天地明察の話も少し入っていたのが面白かった。
    光圀のことを美化もせず正確に伝えているんじゃないかなぁと思いました。

  • テレビの水戸黄門様とは全く異なる徳川光圀。
    光圀のあふれんばかりの詩や武士としての情熱と野心と、それを上手く発揮できない立場や性格から、野生の虎が檻に閉じ込められている姿が浮かびました。とても才能と人間味にあふれた人物であったのだなーと。

    泰姫がかわいすぎた。二人で幸せに生きてほしかった。
    読耕齊も。それにしても歴史に名を残した人には長命の人物が多いように感じる。

    水戸黄門を見たくなりました(`・U・)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「水戸黄門を見たくなりました」
      えー
      「水戸黄門を見たくなりました」
      えー
      2014/03/27
  • 水戸光圀の幼少期から最期までを、丹念に描いた作品。
    儒学における「義」とは何か について、光圀を通して問いかけ続けられる。
    幼少期からの屈折した思い。そして、学問、詩歌に秀でた光圀公の姿に引き込まれ一気に読ませていただきました。
    大河ドラマでみてみたい。

  • 買うか迷い、結局図書館の長い予約の列に並んで待ってた「光國伝」まさしく『伝記』です。
    私の世代では、時代劇での水戸黄門が鮮明に蘇りますが、実は実は・・・

    ・徳川家康の孫にあたります。
    ・10代の若き頃は、カブキ者であり、宮本武蔵や沢庵和尚にも会っています。
    ・文武に長け、徳川御三家の中でも特に秀でています。
    ・水戸徳川家の二代目藩主です。
    ・徳川五代目将軍、綱吉の時代に水戸藩のある男に「大政奉還」の考えがあった。
    ・しっかりと(天地明察の)安井算鉄も登場します。

    こうも待たされると、期待が大きくなりすぎて、読んでみると「それほどでも・・・」と言うことがありますが、光圀伝に関しては期待以上でした。

    冲方さんの時代小説3作目「はなとゆめ」も楽しみですね!!

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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