父と私の桜尾通り商店街 (角川文庫)

著者 : 今村夏子

• KADOKAWA (2022年1月21日発売)

感想・レビュー・書評

[ふじさきらんさんの感想 · 2022年4月7日]

初・今村夏子本！
さすが芥川賞受賞作家。たまにゾワッ、たまに「どゆこと？」となるオチにハマってしまいました笑

人間のちょっとズレている部分って、どんな人にもありますよね。普段見えていないだけでひょっとしたときに垣間見える変なトコ。そういうところに注目できると人生また面白くなるんだろうななんて思ったり。

他の今村夏子さんの本も読もうと思いました。面白かったです。

[ちぇぇぇんさんの感想 · 2022年3月16日]

『白いセーター』今村夏子さんの作風を知っていないと痛い目を見る。知ってても痛い。これを一番最初に持ってくるとは……。
どうしても、子供の純粋さと表裏一体の残酷さ、噛み合わなさ、それと相対する生きづらさに目がいくけど、ほんの少し、嵐の中に不意に差し込む日の光のようなわずかな優しさが、作品を並の作品と一線を画す要因となっていると思う。
最後のお好み焼き屋のシーンから帰るシーンの、染み込むような抒情が素晴らしい。
台詞や、掛け合いも完璧。

表題作も、立場の逆転、価値観の流転が見事に表現されていて、good。

[43℃さんの感想 · 2022年2月13日]

表題作を含めた短編集だったのですね。
ほのぼのとした感じを勝手に想像していましたが、ちょっと不思議な感じで、ゾワゾワとさえした。

[naoさんの感想 · 2022年2月11日]

タイトルと表紙はほっこり系なのに、あいも変わらず、不穏な空気。
じっと見ないとわからない、ほんの少しだけ狂っている人と、狂ってしまいたい人、世界にはその2種類しかいないような気持ちになってくる（子供を除く）。

[星野ハルさんの感想 · 2022年1月31日]

今村さんの世界観抜群な7話でした。
ちょっとズレている主人公たち。
読んでいて痛々しい気持ちになり周りの登場人物のように冷めた目で見てしまう。だけどその痛々しさは自分の中にもある気がしました。

とりあえずコッペパンが食べたい…。

[おかみさんさんの感想 · 2023年7月11日]

クセになる不穏。やはり今村ワールドですね。
紫のスカートを読んだときから、
『なにかが起きそう、、こわいこわい』
と読み進めてしまう今村ワールド。
イヤミス程ではない、まさに『不穏』感。
のわりに、毎度毎度よくわからないオチ。
だけど読みたくなる今村ワールド。

嫌じゃないけど、不穏な雰囲気。
なんなんだこの世界観は(笑)なぞです。

[いちゃ＠読書さんの感想 · 2023年5月11日]

今村さんの短編が7つも入っているなんて！
なんて豪華！！
『ルルちゃん』と『せとのママの誕生日』が特に好きだった。
『ルルちゃん』はたまに外で顔を合わすだけの関係じゃ相手の素性なんて分かったもんじゃないなとしみじみ思ったし、ルルちゃん人形を救出してきた主人公に共感できた。
『せとのママの誕生日』は笑ってしまったのだけど不謹慎だっただろうか。日頃の行いは人生の死に様を決めるんだ。ママの誕生日祝いをしてあげるために集まった、なんて和やかな感じで始まったのにめちゃくちゃママは恨まれてるじゃん。

[とまとすきさんの感想 · 2023年4月13日]

？？？？？と思いながら読み進めて、解説まで辿り着いたら、作者も「なんでこれを書き始めたのか。。」とか「どうしてこうなったのか忘れたんですけど。。」みたいなことを話していて、わろた
意味を理解しようとするのを諦めました

[きゃろらいなさんの感想 · 2023年4月8日]

とんでもなく悍ましいことがサラリと一言書かれてそれ以上言及されなかったり、小さな違和感が散りばめられて、それらが積み重なって異質な世界が作られている。とてつもなくシュール。こんなに惹き込まれるのは何故だか自分でもわからないがとても好き。夜に静かに一人で読みたい。

[stellangeさんの感想 · 2023年2月12日]

表題のお話が1番好きだった。今村夏子さんの文体に慣れてきた感があって、ミステリーを読むときのように心で準備して読むようになってしまっていたから、時間を空けて読んでみました。

やはり少し常識はずれというか、人とはズレている人たちが毎回出てきて、そんな人たちもやっぱり同じ社会で生きていて、時に滑稽で時に悲しさや切なさを纏っている。そんなことを思った。

あと一冊で今のところ出版されている今村さんの本を読み終えてしまうので、次の本はもう少し後に読みたいなと思っている。

著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。