父と私の桜尾通り商店街 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.34
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感想 : 123
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041118962

感想・レビュー・書評

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  • 表紙がポップな感じだしタイトルも可愛いからと手に取りましたが、最後の「父と私の〜」までの短編が気持ち悪くてかなりぐったりしました。

    登場人物がみなおかしいし、感情が誰にもない世界なのかな?と思うくらい誰にも顔がないような印象を受けました。
    ようやく辿りついた「父と私の桜尾通り商店街」がいちばんまともに読めましたが、あまり好みではなかったです。

  • 短編が6つ.多くの人が絡む話ばかりで、個人個人の相互のつながりが社会生活の中で重要な位置を占めていることを明らかにしていると感じた.どの話も面白かったが、元ホステスたちがママの誕生日を祝う「せとのママの誕生日」がなぜか親身が感じられて楽しめた.スナックでカラオケに狂乱した時代があったことを懐かしく思い出した.表題作も良かったが、商店会からの悪口をものともせずパン屋さんをやってきた父の心意気が素晴らしいと感じた.

  • 今村夏子さんの作品を読むと毎度感想が同じになってしまうのですが、不穏感がずーっと付き纏う感覚が堪らなくクセになります。
    私は"白いセーター“と"せとのママの誕生日”がお気に入り。
    今村さんの作品は多くの人に布教したいと言うよりかは、今村さんの作品が好きな物好きの方と語りたいという感覚になります。(伝われ)

  • この人の書くものは、ホラーでもミステリーでもないけど「怖い」。インタビュアーが「健気で懸命だけれど、傍から見ると『ズレている』と感じさせる人が多く登場する、と指摘すると、ご自身も「どうしてもそうなってしまう」とおっしゃる。

  • 今村夏子さんの小説って一筋縄ではいかないというか、一言で表すと「変だなぁ」と思うことが多かった。その変なところに妙に惹かれるというか。
    だからこの短篇集の冒頭の「白いセーター」というお話を読んだ時に「今回はそこまで変じゃないかも?」と思ったのだけど、全篇読み終えたあと「やっぱり変だった」と思った。
    著者にそんな意図はないのかもしれないけれど、してやられた、という感じ。

    1人ひとり、登場人物はどこにでも居そうな雰囲気がある人が多いのに、ピントのずれた言動が胸をざわざわさせて、異世界ではない間違いなくこの世界の奇妙な場所に連れていかれるような。終わってしまったけど「アウト・デラックス」の世界に近いかもしれない。
    昔読んだような気がする奇妙な童話の世界観にも通じるかもしれない。小さいころに見た「変な人」が、記憶に自信がないので本当に見たのかどうかあやふやなんだけど見た気がする、みたいな。説明が難しいけど。笑

    タイトルがほのぼの系なのでいい意味で騙された。表題作は最後に収録されているのだけど、雰囲気はほのぼのなのになかなかブラック。そのバランスも奇妙でとてもいい。
    淡々とブラックなお話がほとんどを占めていた。そのブラックさにハマればとても好きな作品だと思う。私はとても好き。

  • 相変わらず、不思議な感覚は流石!
    なんか、ガロに掲載されそうな雰囲気の白いセーター、ルルちゃんに始まり、つくづく大人の童話だなぁって感じました。
    作者独特の世界観にハマれば良いのですが、今作は淡々と読み終えました。

  • ザ今村ワールドが詰まった短編集でした。日常を切り取って描かれた物語なのに、どこかズレている感じが私にはどこか奇妙で怖いような……。どの短編の主人公も「え?気にするところはそこなの?!怖い」と思わず突っ込みたくなります。そんな自分の中の常識と物語の中の人物とのズレというか、歪んだ空気が独特な物語でした。

  • せとのママの誕生日良かった
    スナックで働いていた女の子たちが
    ママの誕生日を久しぶりに祝いに行く
    失ったものを食べ物で例えてるのナイスです

  • 今村夏子さんが、これまでのフルスイングから良い意味で力を加減してくれている感じ。その結果、さらに研ぎ澄まされた今村ワールドが提示されたように感じた。
    どの話も、はっきりしないが不穏な感じ。特に、冬の夜、せとのママの誕生日、表題作がお気に入り。
    解説の対談で、今村さんはハッピーエンドを書こうとして、結果的にこうなっているという話があった。意外だったが、だからこそこの歪な世界観が作られるのかもしれないと、納得できる部分もあった。

  • はなしのひとつひとつに、
    当たり前だけど今村夏子さんの世界観を感じられた。
    どんな話になるんだろうっておもってるうちに物語が終わる。

    まるで花火のようなお話がたくさん詰まっていました。
    でもしっかりとひとつひとつ心に残り、
    しばらくはそれぞれの話に出てきたみんなの気持ちや顔を想像して思い返します。

    今村夏子さんの本は毎回、読み返したくなります。

    これからも今村夏子さんの過去の作品も、新しいものも熟読させていただきます。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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