魔女と過ごした七日間

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041132258

感想・レビュー・書評

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  • 「ラプラスの魔女」に登場していた羽原円華は17歳だった。
    あれから七年、彼女は24歳になり、今は数理学研究所の職員をしている。

     七月十日、多摩川に人が浮いていると通報があった。警察の調べによると男性の氏名は月沢克司で、帰宅しない父親を心配して行方不明届を出したのは、唯一の同居家族である中学三年生の息子月沢陸真である。

     月沢克司は、二年前まで警視庁に籍を置いていた警察官だった。亡くなる前の勤務先は『PASTA』という警備保障会社である。
    彼は退官後も、警察の未解決事件の犯人を追っていた。

     陸真は、所轄署の刑事脇坂拓郎から、家の中で、亡父の持ち物を整理(確認)するよう依頼され、リビングボードの中から、「検査詳細情報」を見つけた。『患者氏名・永江照菜七歳、女性・依頼医『羽原全太郎』依頼科「脳神経外科」となっており「開明大学病院」と記された書類を見つけた。診察代は月沢克司が支払っていた。同時に克司の預金通帳を見ると、多額のお金が振込まれ、翌日には「永江多貴子」に振替えられていた。どういうことか?陸真の友達、宮前純也と共に真相を探るべく、謎を追っていく。そして事態は思わぬ展開を繰り広げる。

     円華は陸真の目前で、信じられない光景を見せる。タネも仕掛けもない。何故、そういうことが出来るの?と尋ねると、「わたしにもわからない。ただ私は魔女だからよ」と。

     推理が出来ないミステリーに思えるが、伏線は外していない。
    犯人だと思っていた人物像が全く見えてこない。
    目まぐるしく展開する攻防に手に汗を握り読み切った。

    著者は、この作品で訴えたかったのは、○○に対する危機感ではなかろうか。国家が国民を管理する功罪を問う。

    読書は楽しい。

    物語の展開に関係なく、円華は研究のため渡米する。
    モンスター級の竜巻の研究か?
    それとも行方不明の「ラプラスの魔女」に登場した彼を捜しにいくのかな?
    円華の行動が読めないw だって魔女だもの!

  • AI監視システムが進んだ日本を舞台に魔女こと羽原円華と父親を殺された中学生が、犯人に迫って行きます。

    大人になった円華ですが、相変わらず周囲を振り回す様子があり、前作から空いてしまいましたが、すんなりストーリーに戻ってこれました。

    父親を殺された陸真は中学生にしては本当に落ち着いています。様々な真実が明らかになる中でも立ち直りながら前に進んでいる姿を応援したくなります。

    超能力のようなことを次々出していく円華は前回と一緒。すぐに引き込まれます。

    次回はどんなバディと組んで事件を解決していくのか楽しみです。

  • さすがに読ませる力、引き込む力はやっぱり大したものですね!
    一気呵成に読了 です笑
    なにかと騒がしいAI進化やマイナカードやに警鐘を鳴らしながらのエンタメ作品でありました♪
    このシリーズでは著者も楽しみながら書けるのでしょうか?けっこう笑える要素をあちこちにばら撒いていて気楽に楽しむことが出来るものになっています。
    しかしながら後半ではリアリティーから離れ過ぎて劇画調になってしまいザンネンでした。

  • 陸真の父が殺された。
    親子ふたり暮らしから陸真は突然ひとりぼっちに。

    魔女との出会い
    銀行口座の怪しい履歴
    父の恋人
    腹違いの妹…
    目の当たりにする新事実に戸惑いながらも、親友の純也と2人で真相解明へと足を踏み入れていく。

    今年初読みはこれ。
    東野圭吾さんの100冊目とのことだけれど、私にとっては48冊目?かな??

    例えば目あたり捜査員をしていた陸真の父、例えば生まれながらに特殊能力を持ったエクスチェッドたちはAIよりも優れているのか?
    DNAと写真付きIDカードで国民の情報を管理することは善なのか悪なのか。
    今後社会に蔓延するであろうデジタル化への警鐘ともいえるこの作品。
    中3の陸真と純也の目に映る大人の社会とは…

    東野圭吾さんの著作にはミステリーの中に時折ファンタジックとも思える要素が入ってくる。
    社会の闇が織り込まれた作品ながら、中3の2人の爽やかさとミステリアスな円華によって不思議な読了感をもたらす。

  • 『ラプラスの魔女』シリーズ第三弾。

    “見当たり捜査員“という、指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事の死体が多摩川で発見されます。
    父を亡くした中学生の陸真は、不思議な能力を持つ女性・円華と出会い、ひょんな事から彼女や親友の純也と共に、事件の真相を追う事になって・・・。

    少年の冒険×警察ミステリ×空想科学=はい、エンタメ要素てんこ盛りでございます。
    個人的には“ラプラス・・”シリーズの中でも一番楽しく読めました。

    “ラプラス・・”の魔女・羽原円華が大人になって登場。
    その特異な“能力”は相変わらずで、加えて迷いのない行動力と切れ味の良い発言(多分、ひ〇ゆきを凌駕する論破王もとい女王かとww)、しかも美人!ときては、男子中学生二人でなくても“ついていきます!”って言いたくなってしまいます。
    そう、この物語を楽しくしているのは、二人の少年の友情なんですよね。
    本当、陸真の親友・純也がめっちゃいいヤツで(純也の家族もいい人達)、彼が登場する場面では癒されていました。
    あと、“ラプラス・・”で円華のボディーガードをしていた、いぶし銀キャラ・タケオさんも登場します~。
    肝心のミステリ要素も、過去の一家斬殺事件と警察の闇を絡めてきてグイグイ読ませる手腕は、流石東野さんですね。
    話は、陸真の視点と並行して事件を追う脇坂刑事の視点が交互に展開する構成になっておりまして、後半で、円華と脇坂刑事が大ピンチになるのですが、個人的にはそこがハイライトで、彼らを救った“ヒーロー”達に思わず拍手の私でした。
    そして、本書の肝は、AIやDNAデータベースといった、行き過ぎた監視&管理社会への警鐘というテーマが根底にあるのかなと思います。その辺も考えさせられるものがありましたね。

    因みに、脇坂刑事が日本橋にある“所轄の刑事”から教えてもらった定食屋で食事をする場面があるのですが、その“所轄の刑事”が“あの人”に関係するのかも・・?と勘繰ってしまった次第です。

  • 元警視庁捜査員 月沢克司が殺害された。街に出て道行く人を眺め、指名手配犯を見つけ出す "見当たり捜査員" だった人物だ。今やAIに取って替わられようとしている異能の職種、"見当たり捜査員"。

    事件の担当、警視庁捜査一課の脇坂刑事は独自捜査(スタンドプレー’により事件の真相に迫るが、一方、一人息子の陸真と親友の純也も、羽原円華の助けを借りて犯人にたどり着こうとする。スリリングで危なっかしい展開の連続。

    円華さんの能力、事件解決には直接貢献していないような…。異能者ぶり、もっと大胆に発揮して欲しかったな。

    警察庁の科学捜査のハイテク化とその闇、恐ろしい。

  • ラプラスからの続編。実写の影響で円華を「広瀬すず」に変換して読ませていただきました。所々に登場する円華の能力が「あるべき事象」として物語に溶け込まれて描かれてる件が痛快で気持ち良かったですね。

  • 東野圭吾さん記念すべき100作目にあたる小説。
    ラプラスの魔女シリーズ三作目です。

    シリーズ全体で言えることですが、円華の性格やセリフが心地よく、キャラクター設定が素晴らしいです。

    今回は、ほんの少し先の未来の日本が舞台で、いま話題のAIやビッグデータがフル活用されると、日本もこうなるのかなと思わせる感じでした。

    『AI』や『マイナンバーカード』などの活用については、今後の日本でも同じような問題が起こりかねないと思わせる話でした。

    個人的には、過去のラプラスシリーズの方が好みではありました。今作も円華の活躍はあるのですが、過去作品の方が、円華の能力を活した熱い展開や謎めいた魔女感が出ていたかなと。

  • 魔女再々降臨。
    ストーリーは面白かったが、読了感としてはちょっとだけ物足りないかなぁ。
    内容の強引さはこのシリーズでは当然の事なので無視するが、人はAIをも時に優り、勤勉さを持ってそれすら凌駕できると前向きに考え、これからの時代の向き合い方についても様々な考え方があって、でもコントロールされる時代が目の前に来ているんだと再認識させられる内容でした。

  • 帯に書いてあったのですが東野圭吾氏の記念すべき100作品目!

    読むまでに気が付かなかった自分が恥ずかしいのですが、ラプラスの魔女シリーズ3作品目になります!
    ※題名の『魔女』で反応できなかった自分に悔しいです・・・

    最近、色んなものにAIが活用されて私達の生活は便利になっていくんだろうなぁと思えます。
    現在、将棋の名人もAIに負けてしまう所を見るとAIの進化は止まるところが無いのだろうなぁと思えてきます。いずれ殆どの仕事がAIに取って代わられ遊んで暮らせる時間が長くなれば良いなぁと思う反面、私達はAIが産み出す芸術(小説や音楽)を受け入れる事が出来るのか心配です・・・

    本書ではAIに仕事を奪われた人とAIがもたらす社会の変化、そしてAIを凌駕する人間の能力について描かれております。
    若干の近未来感はあるものの、間違いなく数年後に訪れる可能性のある未来の物語です・・・


    監視カメラがあちこちに設置され、AIによる監視システムが強化された日本!?
    警察もモバイル端末を駆使して近代的な捜査を開始した!!!

    そんな中で元警察官が溺死体で見つかった!?
    直ぐに殺しと断定されるのだが、殺されたた元警察官は、警察時代に『見当たり捜査員』という特殊技能で指名手配班を捕まえる捜査を行う警察官であった・・・

    殺された警察官の息子の陸真は自分の父親の事を調べていくうちに『ラプラスの魔女』と出逢ってしまい、新たな魔女の物語が始まる・・・

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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