迷路荘の惨劇 金田一耕助ファイル 8 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.47
  • (37)
  • (79)
  • (169)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 1023
感想 : 66
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304341

作品紹介・あらすじ

複雑怪奇な設計のために迷路荘と呼ばれる豪邸を建てた明治の元勲古館伯爵の孫が何者かに殺された。事件解明に乗り出した金田一耕助。二十年前に起きた因縁の血の惨劇とは?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いやー、面白かった。こういうのが自分の大好物なんだなと改めて思った。前回読んだ『三つ首塔』よりエログロ色が控えめなのも良い。地下が惨劇の舞台となるのは『八つ墓村』に似てる。

  • 全然知らないタイトルだったのだが、とても分厚く驚いた。あまり期待していなかった、短編集みたいに思っていたのが、大作で面白い。3代にわたった話だったし、長編だったからどうであったっけと思うところもあったが、迷路荘という設定と興味深く魅力的な舞台、片腕の男、可愛らしい老婆などキャラクター設定、先が気になってとても面白く最後まで読めた。動機に関しても納得するもので、最後も悪人が生き残らないのでスッキリする。昔の建築物で本当に迷路荘みたいなものがあるのか気になる。やはり現代にはない環境が心惹かれ、楽しい。

  • 没落した華族、仕掛けだらけの豪邸、前人未到の洞窟、複雑な人間関係、謎の怪人物などなどなどなど……金田一シリーズを読み始めて8作目?もう、金田一要素てんこ盛り!って印象をこれが一番受けたかもしれない。
    それにしても、今回の犯人に対する金田一耕助のあたりの強いこと。いつもはソフトな感じの金田一さんがあそこまで犯人に対する憎悪をむき出しにするの珍しかった。それもしょうがないよねっていう人の尊厳を踏みにじるような遺体の扱い方してるからね……。読みながらゾッとしてしまった。

  • またドロドロの事件でしたね。それぞれに欲望や見栄や怨みつらみがあるから話がこんがらがる。今回も金田一さんお見事。

  • 富士山の裾野に建つ『名琅荘』(迷路荘)を舞台に
    巻き起こる惨劇ーーー。
    折しもそこの主人に招かれた金田一耕助を中心に、登場人物もわんさと描かれる。
    が、どの人物をとっても表面的な人物像に留まらない怪しさがあって、次々に起こる事件をより複雑に、おどろおどろしく際立たせている。

  • 昭和25年秋に起こった『ホテル名琅荘(迷路荘)』での連続殺人事件を、名探偵・金田一耕助が解き明かすミステリー。敷地内は迷路のような造りで、抜け穴などもあり、舞台設定が面白い。特に、古くて脆くなった地下道と、"ネズミ"で溢れた(?)落とし穴は、不気味に感じられた。1981年発行22版の文庫で読んだため、カバー絵は杉本一文氏。おどろおどろしい雰囲気が、新しいカバーではなかなか表現されていないようで、少々不満が残った。

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★☆☆ 9
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★☆☆ 6
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★☆☆☆ 2
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★☆☆ 6
    『印象』★★★☆☆ 6

    《総合》66 C

  • おばあちゃんが強い!いいぞ!やばいやつは全員皆殺せ!とおばあちゃんの肩を持ちたくなります。
    迷路荘といってるわりに全然迷路じゃないのでそこが非常に残念でした。

  • 読み始めてすぐに まだ読んでもいない「黒猫亭事件 参照」とか「悪魔が来りて笛を吹く 参照」とか立て続けに注釈が出てきて、いっぺんに読む気が失せた。この人の作品は第一作から順番に読まなければならないのか?ああ面倒くさい… って事で頓挫。

  • 富士の裾野に建てられた名琅荘。屋敷内に抜け穴などが仕掛けてあることから、迷路荘と呼ばれていた。屋敷の主・篠崎に呼ばれた金田一耕助は殺人事件に巻き込まれる。20年前の惨劇に繋がる事件を解き明かせるか。

    華族!過去の惨劇!密室!謎の洞窟!渦巻く情欲!いわくつき物件で巻き起こるいわくつきな血族の物語を書かせたら安定の面白さがある横溝正史。同じく洞窟を冒険する八つ墓村や、他の一族のドロドロに比べたらマイルドでオーソドックスなミステリでなんだか安心する。事件を追っていた老刑事・井川とのやり取りも小気味いい。

    迷路じみた館と洞窟に、迷路のように入り組んだ人間模様。誰もが何かを隠し、己の正義、誇り、欲望の中を進んでいる。人間関係を解くというのは本当に一筋縄ではいかないものだなと思い知らされる。金田一が嫌悪する犯人の因果応報な末路も皮肉だった。

    「人間の人格を形成するについて大事なことは、他からあたえられる恩恵だけではなく、他からうける信頼だ」
    前半にある言葉なんだけど、読み終わってみると考えさせられる一言だと感じる。最後に見せた金田一の粋な取り計らいも好き。

    あと、屋敷に抜け穴とか聞くと、今では綾辻行人先生の館シリーズを思い出すよね。迷路荘とかダリヤの間とか、館シリーズにも少し通じるキーワードもちらほらあって楽しかった。

全66件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横溝正史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×