- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041456101
作品紹介・あらすじ
クスリで濁った頭と体を、ジャズに共鳴させるジェイコブ。癒されることのない渇きに呻く十九歳の青春を、精緻な構成と文体で描く。渦巻く愛と憎しみ、そして死。灼熱の魂の遍歴を描く、青春文学の金字塔。
感想・レビュー・書評
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文庫で読める中上健次の小説はほぼ制覇したと思っていたのだけど、突然これだけスルーしていたことを思い出す。入手が楽なので逆にいつでもいいやと後回しにしていてそのまま忘れていたっぽい。ジャズについて詳しければもっと楽しめる部分もありそうだけど残念ながら私にはジャズは難しい。
十九歳のジェイコブは保護観察中の身なのに保護者である伯父の会社の寮から家出、不良の集まるジャズ喫茶に入りびたり、ドラッグとセックスに明け暮れる日々。ジャズ喫茶の常連のユキ(※男)はお金持ちのぼんぼんだが家族を憎んでおり、父親の会社と自宅の爆破計画を企んでいる。その計画にジェイコブを協力させようとするがどこまで本気かわからない。一方でジェイコブ自身も、自分の父親かもしれない伯父のことを殺害したいと考えている。現実味のなかった彼らの計画は果たして・・・。
ところでジェイコブ、名前のせいで最初ハーフか何かと思ったら、たぶん普通に日本人。斉藤環の解説によると、1978年の連載当時は主人公ジェイコブの名前はふつうに「順造」、恋人のキャスは「安子」だったのが単行本で変えられたらしい。ジャズ喫茶を教会(シナゴーグ)のようだと述懐するジェイコブはつまり旧約聖書のヤコブのことではないかと斉藤環は書いているけれど、なるほどと思う反面、ではヤコブが象徴していることは何かというとちょっとよくわからなかった。
フィクション色の強い青春ものである反面、底辺に流れているのはやっぱり中上健次のいつもの私小説テイストで、自殺した異父兄の存在や、父殺しのテーマなどはいつものお定まり。中上健次の代表作である秋幸のシリーズで、秋幸が果たせなかった父親殺しをジェイコブは果たしたことが意外だったが、それを果たせず自殺したユキのほうが名前からして秋幸(あきゆき)のキャラクターを踏襲していたのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読むことは出来たが、理解出来たかと言われるとそれとこれとは話が別かも。悔しいなあ、これに共感してこれは自分だ、なんて思いたかった。でも予想通りわからなかった。
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中上健次を読むといつも気持ちが重くなる。どうしようもない人間の業、その怒りや哀しみに押しつぶされそうだ。でも決して目を背けてはならない。その痛みもまた文学の醍醐味である。
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正直に言うと表紙につられて買いました。綺麗だもん。音楽好きすぎ、ヤクやりすぎ。音楽を聴いている描写が心地良い。
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悲しいことに貧乏を知らない
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先生に勧められた
難しいけどあの狂った感じは良い -
まだ2冊しか読んでいないけど、中上健次は一貫しているなと思う。
解説の「彼本人と話が切り離せない」とあるように、中上文学を知ることは中上氏本人を深く知ることでなし得るのである。
彼自身に非常に興味があるのでほかも読んでいこうと思うが、それにしても本屋にないので、古本屋で宝物を探すような読書生活はまだまだ続きそうだ。 -
ジャズ、セックス、ドラッグがこの話の磁場をつくっているとしたなら、
セックスがエロス
ドラッグがタナトス
ジャズがその二つをつなぐ装置としてつかわれてる、のかも。
とかかなり自由な解釈をしてみたら面白い。 -
上の花村氏もそうだけど読む人を選ぶ、のかな?でも、渇いた狂気の世界だからこそ覗き込みたくなるのかも。