絶対泣かない (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970058

感想・レビュー・書評

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  • 色んな女性の色んな仕事を見れて本当に楽しい小説だった。
    色んな世界をそっと覗かせてもらってる感じ。
    そして、どの女性も素敵だった。
    あとがきにあったように、自分の仕事を好きになったり、実は自由でいれることを思い出そうと思った。
    読みやすかったー。

  • あぁ、もう、頑張るしかないな。

    と思わされてしまう、様々な職業の働く女性を描いた短編集。みんな頑張ってるんだなぁ。だから私も、頑張るしかないんだよなぁ。

    決してエールを送ってくれるという感じじゃないんだけれども、働く女性が読むと、きっと、ちょっとだけ前向きになれるんじゃないかな。そんな気がする。

  • 読み終えて改めて数えてみると15のお話が収録されていました。
    どれも働く女性が主人公のお話です。
    文庫版で結構薄い本なので1話、1話はとても短い話となっています。

    保険会社の総務に配属された女性と受付に配属された女性。
    総務に配属された主人公は一生働くつもりで色んな資格を取っている。
    それを隣で見て不思議がっていた美しい受付嬢だったが、先に自分のやりたい事を見つけて会社を飛び出したのは受付嬢の方。
    その後偶然会った彼女は受付をしていた時のように輝いておらず、疲れて見えた。
    最初はそれほどの覚悟も考えもなくフラワーデザイナーという仕事を選んだ彼女に痛々しい思いを抱いていた主人公だったが-。(花のような人)

    まずこんな話から始まり、
    曙に似ている体育教師、失恋をきっかけに事務職からデパート店員に転職した女性、娘がレディコミの漫画家だと知った女性の話・・・と15人の働く女性たちが登場します。
    どれもこれもどこにでもいそうな人々が主人公で、ドラマチックな展開がある訳でなく、日常の一コマを切り取ったさり気ない話ばかりですが、それが共感できる話ばかりで良かった。
    短い話ばかりなだけに、すぐに話に入れないとキツいけど、スッと入れてラストも爽やかで何となくしみじみくる話ばかり。
    読んでいて、そんなさりげない場面を切り取る、作者の感性の鋭さを感じました。

    好きな話ばかりですが、中でも私が好きだと思ったのは、ファイリングの仕事をする派遣社員の話とノルマを達成するために友人たちに定期を頼み、その替わりとして色んなものを買わされる真面目な銀行員の女性の話、そしてタイトルの「絶対泣かない」という話です。
    「絶対泣かない」は、秘書として雇われた会社の女社長が実は小学生の頃の同級生で、その頃、主人公は人生ピークで、おどおどした女社長のことを虐めていた、そして大人になって立場が逆転して-という話でした。

    どれも読んでいて、「嫌な事があっても頑張って働いてるのは私だけじゃないんだな~」「明日も働こうか」と静かに勇気づけられるお話ばかりです。

  • 前向きな話が多く読後感は悪くないものの、予想できない展開や説得力のある話が少なく消化不良感が否めなかった。
    例えば「ものすごく見栄っぱり」の井上ちさとは彼女のバッググラウンドの描写がないせいで、何故主人公の理不尽とも言える説教で心変わりしたのかが読み手にはわからない、といったような肩透かしを食らうことが全体を通して多かった。
    各話10-20ページ前後の短編なので、書ける情報量に限りはあるだろうが、無くても意味の通じる主語や単語、一文が各所に見受けられたため、首を捻ってしまった。(長編ならともかく)

    平易な単語が多く読みやすいライトな文体。逆に言うと、語彙数が少なく単調でのっぺりした文体に感じた。

  • 【2024年45冊目】
    職業を題材にした短編集。仕事に、恋に、生きること自体に一生懸命な登場人物たち。共感したり、意外な展開にビックリしたり、納得したりしながら読みました。

    その職業ならではの、視点や価値観みたいなのも丁寧に描写されていて、世の中には本当にいろんな職業があるんだなぁとしみじみしたり。最後に手相観の方のエッセイもあって、余計にそう思いました。まず、手相観という職業があることにもビックリ。占い師ってひとくくりにしてました。

    語り部が女性だけではなく、男性視点なのもあったのがちょっと意外でした。

    ポケットに入れられるボリュームで、さっくりと読めるのも良かった。

  • 3.4
    共感できる話、できない話、色々あれど読後感は悪くなかった。短編で読みやすくさくさく読めた。
    手相観の方のあとがきもよかった。


  • あとがきの
    『こういうと語弊があるかもしれないが、
    私はお金が好きだ。
    何のために働いているかというと、そりゃもうお金のためである。
    お金はすごい。

    途中略、、、

    しかしこうやって考えてみると、お金そのものより、お金によってできることが好きなのだろう。
    何故ならば、そんなに好きなら使わずに貯めていけるはずだからだ。』

    というフレーズがしっくりきた。
    お金が好きとかいうと
    金の亡者とかそういう捉え方され、悪い印象を与える。

    私もお金があれば、挑戦できる選択肢が増え人生の幅が広がると思う。そのお金を得る手段に仕事があり、仕事観というものを改めて考えることができた。


    あと、女性で産まれてくることの幸せさと真逆の残酷さ....
    色々考えさせられた。
    女性として産まれたからには美しくありたい。
    痛みや苦しみに耐えても、美しさを追い求める理由...なんなんだろうか。。。

  • あとがきがこんなに自分好みの小説に出会えるとは。
    それで、あなたは、いったいどうしたいのか。
    どうしてもらいたい、のではなく、どうしたいのか。
    じんわり沁みた。悩んだ時、行き詰まった時に自分を預けたくなる様な1冊でした。

  • 仕事をする女性のお話。体育教師、看護婦、水泳インストラクター、専業主婦が印象的だった。どんな仕事でも、いいこと、嫌なことがあると思うけど、私は私の仕事を、私なりに頑張ろうと思った。専業主婦は、夫からの感謝の言葉一つで、モチベーションが上がるんだろうな。すごくよく分かった。

  • 読了

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著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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