疾走 下 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.69
  • (822)
  • (872)
  • (1376)
  • (157)
  • (55)
本棚登録 : 7973
感想 : 735
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043646036

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 後半重かった。人間は結局ひとり。

  • 悲惨な青春を疾走した、一人の少年の物語。
    重松清ってこんな物語も書くのか、と思わざるを得ない小説。

    孤独、孤立、孤高、いろんな「ひとり」を抱えながら、生きるにんげんたち。
    絶望の中で生きる時、誰かに寄り添ってもらうわけでもなく、助けてもらうわけでもない。
    「ひとり」で向き合うことを強いられるリアルは、心がズシリと重くなる。

    終始暗くてどうしようもない内容なのに、田舎の夏の夜みたいな、カラッとした力強さと切なさが漂う文章で、読んでいて寂しくはなかった。
    常に誰かが寄り添ってくれているような気がするのは、主人公を「おまえ」と乱暴に呼ぶが、どこか愛しさを含む第三者による語りで、物語が進んでいったからなのか。

    どうしようもない、助けようがない、助かりようがない中で、あの終わり方。私は気に入った。光がさしたな、と思う。救いがないという人もいるだろうが、あれこそ主人公にとっての救いではないかと思う。

    「ふたりでいてもひとりとひとりだから、ほんとうは、ひとつのふたりになりたいんだ」

  • 多分、一番初めに読んだのは高校生の時だと思う。
    あの時は衝撃的すぎて、面白かったけどこの本の本質をちゃんと捉えられてるのかな?って思ってた。

    心に引っかかりながらも生活しているうちに、この本の存在をすっかり忘れて、この前Instagramの投稿をみて、あったね、重松清さんの重い本!って思い出した。

    そろそろちゃんと読めるほど、自分も成長したんじゃないか?
    そう思って、もう一度読んでみようと思った。

    結果、高校生の時と同じく、やられたわ。

    タイトルの如く、読んでる最中は息を止めるように、疾走するみたいに読んで、本を閉じて後、あまりの無力感に悔しさが込み上げてきてボロボロ泣いた。
    神様、あんまりじゃないか!!
    シュウジが兄貴ではなくお兄ちゃんと呼んでいるところも、幼さを切り取っているようで、その響きに泣ける。

    孤立
    孤独
    孤高
    でも、誰かと繋がりたい願う、にんげんの柔らかさ、渇望が描かれた、素晴らしい作品だと思う。

    きっとまた、手に取ってしまう本だな。

  • 上下巻読んだ。
    つらい。
    ほんの少しのことで人生はどんどん転がり落ちていく。いちど転がり始めたら加速して止められない。
    主人公はそんな現実から走って逃げてふわふわと浮かんで消えたかったのかな。

  • 重い。ひたすら重い。
    中学生がこんな体験していいのか。

    文章や、語り口、物語の進行がうまくてどんどん読めた。


    重いが読後の嫌な感じはない。

  • 読了日2009/10
    少し前に、一度、読みかけたけど、あまりの暗さ重さに途中で読むのをやめてしまってた本。
    ほんとに暗くて重たくて、今までで一番つらい物語でした。
    今回は最後まで読みました。
    かなりの長編の中、延々とこれでもかこれでもかと次から次に不幸がシュウジに圧し掛かってきます。
    この、インパクトある表紙の絵のように少年は「絶望」「ひとり」から疾走して逃げる。
    でも、逃げきることができず、誰も彼を助けることができず、次第にからからからっぽの穴ぼこの 目になっていく。
    こんな、悲惨な重い人生があるのか・・・。かなりショックを受けました。
    10代でこの本に出会っていたら、また感じ方違ったかな。
    今の私だと、やっぱり親の立場、大人としてみてしまうので、どうしてシュウジを助けてあげれなかったのか、そちらのほうに感情移入して、とても悔しく思いました。
    最後までシュウジは幸せになれなかったけど、これでよかったと無理やり終結させられたような・・・
    「これでいいわけない!!!」と叫びたくなるラストでした。

    でも、ゆいには、ぜひ、10代で読んで欲しい本のうちの1冊でした。

  • 少年の「疾走」に胸を震わせた。

    すさまじい勢いで駆け抜けた彼の人生に涙を禁じ得ない。そして彼とともにうまく人生を歩くことのできなかった少女。

    辛く悲しい読後感だった。作者の狂気に胸を切り刻まれた。

  • 読み終わった。
    レビューが書けないほど打ちのめされたのは初めてだ。
    自身で読んで欲しい。感じて欲しい。

  • とてもいい終わり方だと思う、重松清らしいといえばそうかもしれない。すごく残忍だったけど優しい男の子の話だった

  • 20140308再読了。
    (上)では読むことを勧めたけど、誰もが読んでいい本ではありません。
    描写のキツい所もあるし。
    でも、読んだ後に何も感情を起こさない人はいないはず。
    誰もが弱い人。
    人は誰もが弱い人だから。
    小説の中の話ではありますが、その後を書かれた人、書かれなかった人の幸せを願ってやみません。

全735件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

重松清の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×