雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1932
感想 : 166
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043892020

感想・レビュー・書評

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  • 夜市よりも好きだ。
    静かな力に満ちた物語だと思う。

    穏には、春夏秋冬の他に、もうひとつ季節がある。それは、雷季。

    雷の季節、というのが、もうなんともいいよね。
    圧倒的で、神々しい自然現象。
    誰も逆らうことなんてできない。
    天の火。

    空想が好きな子なら、一度は思い描く「別の世界」。それが穏だ。
    辛い時、この世界を理不尽に思った時、言ってしまいたいと思う、静かな理想郷。
    でも理想郷でも辛いことはやはりあり、理不尽はそこかしこに散らばっているのだ。

    「死んだら魂は、天上家の丘に行くんだって。そうなの?」
    無邪気に聞いた賢也に答えた、闇番の言葉が胸に沁みる。

    「どうかな。天上家に向かったとして、そこにも俺のような門番がいて、ここには入れないよ、といわれるのかもしれんぞ」「天上家の先には、さらに町があるのかもしれん。天上家の奴らもまた、いつかあそこに行くんだといっている場所があるのかもしれない。次の町からも、またもう一つ先の町が遠目に見えていて、延々と、そんな風に続いているのかもしれないぞ」

  • 長編作品。風わいわいというネーミングがなんか可愛い。

    恒川作品は異世界の「掟」が容赦ない。主人公であれば、掟に穴が見つかったり何かしらの助けがあったりしても良いのにそれがない。
    それに、1人になって静かに物語が終わる、と言うのが多い気がする。読み手としては主人公は幸せになってもらいたい。でもこういうラストだからこそ余韻が残る。

  • 異界の穏。その生活は日本のそれとはまたちょっと違っていた。その世界観に魅せられた。人の憎悪、劣等感、憎しみ等の塊のようなトバムネキが恐ろしかった。
    久しぶりに出会えた骨太作品だった。

  • 時間の変遷に「ここに繋がるのか」と納得した。

    面白いです。

  • 独特の雰囲気を持った本。淡々としているが、すごく惹きこまれる。
    色々な伏線があり、それを回収している手際も見事。
    最初の予想を大幅に覆されたエンディングにすっきりとさせられました。
    前作の夜市に比べて、長く設定がしっかりしているためか、若干地に足ついており、前作ほどふわふわした感じはしなかったが、他の作品に比べると、そういった雰囲気があり、そこが魅力の一つだと思う。
    SFチックな雰囲気もあるが、ほとんどの人が普通の人で、リアルさを感じる分、その世界の異様さを感じることができる。
    途中で視点が変わるが、最初はそれがだれかわからず、徐々にそれまでの話に追いつくところもわくわくして読めた。
    個人的にこのときはとても睡魔を感じていたが、それでも読み進めるほどの面白さだった。
    次の作品も、読むことにする。

  • 相変わらず透明な文。恒川さんの文は短編の方が映えると思うけど、長いのも好き。

  • 近いようで遠い異界の話。
    幻想的で少し怖い、恒川ワールドにどっぷりと浸れた。

  • 「夜市」とちょっと違って、ちょっと似てる。
    書きたいものの根本は同じように感じる。たぶん奇妙というか、切なさというか。

  • 中盤以降、ちょっとだれ気味な感じがしたけど良かった。風わいわいが可愛い。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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