不思議の扉 時をかける恋 (角川文庫 あ 101-1)

著者 :
制作 : 大森 望 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.33
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  • (22)
  • (5)
本棚登録 : 749
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043943395

作品紹介・あらすじ

本読みのプロが選んだベストはこれ。古今東西の短編小説から不思議な味わいの傑作を集めたアンソロジーシリーズ、第1弾のテーマは「時をかける恋」。タイムカプセルに入った恋人のもとに通い続ける恋、時間と場所をこえて何度もめぐりあう男女の恋、ひとたび眠るといつ目覚めるかわからない彼女との一瞬の再会を待つ恋-。

感想・レビュー・書評

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  • 時間SF恋愛の短編集。
    巻末のリーディングリストだけでも十分な価値がある。

    特筆すべきは2編。

    太宰治『浦島さん』
    昔話の浦島太郎に合理的解釈を与える作品。
    ウミガメかリクガメか?
    竜宮城は絢爛豪華か?
    乙姫が玉手箱を渡した理由は?
    時間SFと言えるか微妙ですが、一読の価値ありです。
    とくに、太宰に苦手意識を持っている方は、だいぶ印象が変わると思います。

    ジャック・フィニイ『机の中のラブレター』
    時を越えた文通。
    舞台は1959年のブルックリン。
    77年前の女性との文通。
    古き良き時代へのあこがれと、たった二往復半の手紙のやり取り。
    受け取った最後の手紙と、彼女からの最後のメッセージ。
    短編小説の魅力がぎっしりと詰まった名作です。

  • 時をかける恋、をテーマにした短編集。乙一からまさかの太宰治まで、時代や設定が違う話が入っている。
    未亜へ送る真珠(梶尾真治)は、設定は面白いが、恋人同士がいったいなにがしたいのかわからない。主人公がかわいそうである。エアハート嬢の到着(恩田陸)は、ライオンハートという作品のスピンオフ。本編が読みたくなる。Calling You(乙一)は、なんとなくオチが読めたが、もう少しうまくやれなかったのか、という気がする。未来は変えられないということかもしれないが。眠り姫(貴子潤一郎)は、ちょっと切ないが、いくら病気でもそんなんあるのか?という気持ちになった。浦島さん(太宰治)は、実は初太宰。なかなか軽妙で、でも若干面倒な人柄がよく出ている。机の中のラブレター(ジャック・フィニィ)は、素敵なメッセージ。最後のメッセージが、ちょっと切なくて素敵である。

  • ジャック・フィニイの作品が読みたくて購入。

  • 小説

  • 同じアンソロジーのシリーズで「時間がいっぱい」と「ありえない恋」は読了 
    太宰の「浦島さん」以外は、時のすれちがい?をメインにおいたお話かな? 
    やはり、ジャック・フィニイの机の中のラブレター(愛の手紙)が秀逸 
    ★3つ(2.5)

  • 中高生向けの時間SFアンソロジー。

    ○美亜へ贈る真珠 梶尾真治

    時間SFのクラシックとして名前は知ってたけど、恋人が時間旅行へ行くのを見守る女性と恋仲になる話だったのか。

    ○エアハート嬢の到着 恩田陸

    連作短編のなかの一つらしい。
    最初は飲み込みづらかったけど、わかりやすい話だった。
    時を超えて、何度も出会う少女。

    ○calling you 乙一

    よく出来たお話。それだけ。
    ケータイのモチーフは、ちょっと時代のせいで古く感じる。

    ○眠り姫 貴子潤一郎

    若い作家の割にヒロインの台詞が古臭い。

    ○浦島さん 太宰治

    おとぎ話パロディ。

    ○机の中のラブレター ジャック・フィニィ

    ロマンチック度がいちばん高い。
    この中ならいちばん好みはこれ。

  • 2016年3月21日読了。大森望編のSFアンソロジー集、これが第1弾だった模様。「時空をへだたった恋」という設定が古来より多くの作家たちを惹きつけ、多くの傑作が書かれてきたのだなあーと興味深く読んだ。ネタが同じだったとしても、調理方法は様々なものだ。最初と最後の短編はとても印象的、太宰治の「浦島さん」はエスプリが効いてとても面白い短編ではあるが、これは「時をかける恋」ではないだろう・・・?まあ、このアンソロジー自体の対象が古今東西と「時をかけている」という点は意外と重要、な気もするが。

  • 「時間」が関係する6つの短編で構成。
    それぞれ「恋」というテーマがあるもののその「恋」のカタチが全編違うので読みやすかったです。

    特にのめり込んだのは2話目の恩田陸 著「エアハート嬢の到着」。
    時間軸のすれ違い、読み手の期待をもてあそぶような展開、なかなか粋です。
    これを読んですぐに恩田陸さんの関連文庫を購入しました。

    こういう企画本は色んな味が楽しめる反面、その味を深く味わえない事もあります。
    企画本で気になった物語、気になった著者を見つけたらその著者の書籍を是非手に取ってみて下さい。

  • ぼんやり読み始めたけれど、最初の梶尾真治で「なんと、悲しい話」と謎のショックを受け、弾みをつける。
    時を越えた恋を全うするには、自身の記憶に頼るしかないんだろーか。成就となると、出会った時点で普通の少女漫画になってしまいそうだ。タイムトラベル、SF共に縁が薄いので分からない。
    大森望さんの解説を読んで更に手を出したくなりました。

  • まさか太宰治やら外国作家やらが入っているとは。ある意味お約束だけど、手軽に手をつけれて良かった。

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著者プロフィール

1961年、高知県生まれ。翻訳家。書評家。責任編集を務めた『NOVA』全10巻で第34回日本SF大賞特別賞を受賞。訳書にウィリス『航路』、劉慈欣『三体』(共訳)他。編著に『ベストSF』シリーズ他。

「2023年 『NOVA 2023年夏号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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