穴らしきものに入る (角川ホラー文庫 く 3-1)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年10月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043944941
感想・レビュー・書評
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表題作は星新一に性的な要素を数滴落としたような内容。ホラーものを読み慣れていないせいか、読後は空疎に感じられた。
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異常な状況に遭遇した人達のドタバタぶりを描いた短編集です。
何でそうなったのかと言うような説明は無く、いきなり変な状況に放り込まれた主人公達がうろたえたり開き直ったりする様が、時にはコミカルに、時には不気味に描写されていて、結構面白かったです。
まぁ特に大したオチもなかったり、文章もところどころ、作者だけ分かっていて読者は置き去りにされているような部分もあり、読みづらい面もありました。 -
ホラーってこういうもの言うのか…
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あまり良くない意味での、浮遊感。
ようするに座りの悪さ。
あくのない筒井康隆と言うか、お行儀の悪い星新一と言うか。
タイトルはすごくいいなって思ったんだけど、
続く金骨がつまらなくて、その続きの日陰のオチが弱くて、
エムエーエスケーはテンポは良かったのにこれもオチがよくわからず。
最後に至ってはえーってがっかり。
最初の受賞作の目のつけどころで、★3つ。
読み返さないとは思うけど。 -
第18回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。5編を収録。
表題作は自分の身体より小さな穴を潜り抜けることができる能力が自分にあることを知った主人公が、色んな穴を潜りまくって・・・みたいな話。
SFマガジンに載っていそうなすこしふしぎ系の作風だけど、今はこういうのもホラー枠になっちゃうのか。
全体的に設定は毎回シュールで面白いけどオチが弱い気がする。奇抜な設定の割にはオチが弱いので印象が薄い。 -
穴は怖い。穴はいやらしい。潜在的に殺されそうな現象。精神が犯される物体。快感が襲うような戯言。それが穴。穴がそう。●。●。●
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タイトル作を含む短編集。
一番最後が一番印象に残ってるかな。 -
出来不出来の激しい短編集だ。なので作品ごとに☆を付けてみようと思う。
「穴らしきものに入る」
何の説明も無く、いきなりホースをくぐりぬけたかと思うと、蕎麦屋では同僚の口の中へ手から順番に身体を入れていく。穴を見るとどうしようもなく入りたくなってしまう男の話だ。文章も軽快だしギャぐ的な表現の入れ方も絶妙だし展開も早く非常に面白い。中でも電車のシーンは最高だった。ラストは正直もっと面白いオチは無かったのかと思うが、行き着く果てとしてはこんなものか。 ☆4.5
「金骨」
父親を火葬にしたら、骨が全部金だった。それに端を発し、盗もうとする者が続出。次にその弟である‘銀’造に注目が集まり……。ドタバタコメディで非常に楽しい。でもオチは残念な出来。 ☆3.5
「よだれが出そうなほどいい日陰」
日焼けを異常に嫌がるヤクルトンレディ(ヤクルトおばさんみたいなもの)の変態ぶりが生き生きと書かれていて不思議な魅力を持った話。だが、それ以上に展開が無いので飽きる。 ☆2
「エムエーエスケー」
顔にプロレスラーのようなマスクが突然張り付き、それを取ると別のマスクが現れ……と、顔がマスクのマトリョーシカ状態になる話。いろいろ話は繋がるし広がりは見せるが、結局それだけで終わってしまう話。 ☆1.5
「赤子が一本」
ジュースの自動販売機に「当たりが出れば……赤ちゃん一本プレゼント」と書いてあったという話。昔それを当てたというお婆さんが出てくるところまではまあ良かったが、その後の30ページは乱暴な言い方をすれば要らない。没原稿じゃないのか、これは。行ったりきたりで何度ジュースを買っても当らないだけ。だからといって心理的なドラマがあるわけでもない。非常に退屈で無駄な時間だった。結局最後に当たりが出て、ホラーな終わり方はしてくれるが、その前に腹が立っているので…… ☆0.5
ということで、最初の二作を読んでいた間は、筒井康隆の再来かと嬉しくなって、これは期待の新人だと読んでいたが、どんどんつまらなくなっていき、最後は印象が悪かった。最初の二作だけに¥552が高いか安いかだが、賞を取っている作品があるからまあいいかな、というところ。
一つだけ間違いないのは、ホラー小説が読みたい人は絶対買ってはいけないということ。僕の場合はホラーを期待して買って、それが違っていても読んでいて面白ければいいやと手を打っただけ。