世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046022271

作品紹介・あらすじ

日本史と世界史をつなげれば、歴史の謎が手にとるように解ける! なぜ足利義満は日明貿易を進めたか? どうしてザビエルは日本に来たのか? 世界史の大人気講師が初めて明かす「世界史と日本史のあいだ」。

感想・レビュー・書評

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  • 副題に「日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史」とあり、題の頭に「世界史とつなげて学べ」とある。
    要するに、古代から、いやそれ以前から、日本は大陸と朝鮮半島と密接な関係を持っていたということで、読んでいて新しいことを知らされ、なかなか面白い本である。いくつか書いておく。
    藤原道長に疎まれた「武闘派」の藤原隆盛は、自ら大宰府赴任を申請する。そのころ女真族の刀伊が九州を襲撃する。これを撃退したのが隆盛だったのである。もしこの後、都に帰らずに大宰府に留まっていれば、ひょっとしたら九州幕府ができていたかもしれない。
    領土的野心をもつ隣国に対し、軍事対決を避けて経済協力を行うことで平和を保とうとした「文治主義」の宋は、つぎつぎと領土を減らし滅んでしまった。
    日本人奴隷貿易にキリシタン大名は積極的に加担した。
    「スペイン王はまず宣教師を遣わし、布教とともに征服事業を進める」とスペインのガレオン船の航海長は口を滑らした。秀吉はこの報告を受けて、宣教師たちを処刑する。
    スペインの巡察使ヴァリニャーノは「スペインの中国征服は容易ではないが、日本兵を動員すれば可能である」と考え、信長にこの計画をほのめかした可能性がある。
    大坂の陣の後あぶれた戦いに慣れ、最新の鉄砲を持つ日本人武装集団が、東南アジア諸国に流出し、現地の政治状況を一変させた。オランダとイギリスの東インド会社の植民活動は、日本人傭兵と日本製の武器に依存していた。
    「鎖国」と呼ばれる政策は、外国船の来襲時にはいつでも大軍を動員できる圧倒的な軍事力が背景にあることで可能となった。日本は重武装中立国家だったのだ。

  • 現在予備校の世界史の講師をしている著者が日本史の本を書いたというのがおもしろい。世界史とつなけで日本史を見ると、別の真実が見えてくる。とくに、豊臣秀吉が伴天連追放令を出した理由とか、新羅百済高句麗の時代に、日本人勢力が朝鮮半島に領土を持っていた事実を資料等により説明したところ。昔は教科書にのっていたのに、韓国で否定されたので日本の教科書から外された点。忖度。知らないことを知れて良かった。一応、通史なのだが江戸時代までで終わっている。近現代史は色々とややこしいので避けた気持ちはわかる。読み物としても楽しい。

  • 茂木誠さんは予備校で大人気の世界史講師。
    この本は世界史目線で日本史を俯瞰するというもの。
    そういう意味でも面白かったし、説明がとてもわかりやすいです。
    たとえば土佐守(高知県知事)とか鎮守府(植民地総督府)とか大輪田泊(神戸港)とか。
    学校の教科書では、そういうところで嫌になってしまったような気がします。

    ただ、実は最初の三分の一ぐらいまでは、あまり面白くなかったです。
    だから、そこで読むのをやめないで!

    個人的には大航海時代にとても興味あるので、つぎのところがひっかかりました。

    ・ポルトガル商人と結ぶキリシタン大名が、日本人奴隷を輸出していたこと。
    ・イエズス会が、スペイン国王に日本派兵を要請していたこと
    こうした事実が日本史教科書では軽視、あるいは無視されてきたのはどうしてでしょうか。
    日本におけるキリシタン研究をリードしてきたのは、ラテン語の文献が読めるカトリック系の大学の研究者たちでした。
    彼ら自身の多くがクリスチャンであり、キリスト教という「真理」をこの国にもたらした宣教師たちの苦難と殉教を称賛し、これを弾圧してきた秀吉や江戸幕府の圧政を糾弾する、という価値観に従って歴史を記述してきたからでしょう。
    朝鮮出兵を行った秀吉は、戦前の日本では「大陸雄飛の先駆者」として称賛されました。逆に敗戦後は「侵略者」として否定的に描かれます。戦前の歴史を全否定する歴史学者たちもまた、秀吉や徳川政権によるキリシタン弾圧を糾弾してきたものです。
    こうしたイデオロギー的歴史観にとらわれない実証的な研究―たとえば高瀬弘一郎氏がラテン語の原文史料を紹介した結果、イエズス会の活動の隠された一面が少しずつ明らかになってきました。しかし高校の日本史教科書の記述には、こうした話はまだほとんど反映されていません。

    私も、長いこと「クリスチャン弾圧」をした秀吉や徳川を悪と思っていたけど、最近少しずつ変わってきて、この本でさらに磨きをかけました。
    今年「長崎・天草潜伏キリシタン、世界遺産登録」となって、ますますそちらが美化されていくような気がします。
    美しいのはいいのですが、真実は認められなければいけないと思います。

    ………

    これらはミスではないでしょうか。

    P62 1885 壇ノ浦の戦い
    P321  板倉重政

  • まさか、江戸時代の日本から大量に傭兵として侍が海外へ出ていたとは…!
    知らないことばかりで面白い本でした。
    学校の歴史の授業がこの本のような内容だったら、学生の時に歴史好きになってたかもー

  • 駿台予備校の世界史の先生が書いた日本史。これは非常に面白かった。学校でこういう観点で歴史が学べたら世界史にも日本史にも興味を持てただろう。日本人はどこから来たのかに始まって、アジア諸国との関係の中で日本史は進んで行ったことがよくわかる。点ではなく線で繋がって歴史が面白くなる。

  • 「コウノトリが赤ちゃんを運んでくるのよ」的な歴史教科書の説明に対して、本書はガッツリ大人の解説をしてくれる。

  • 日本史の授業では習わなかった、世界との関わりに関する日本の歴史を学べた。
    日本の歴史において一貫しているのが、時代ごとにおける先進国(古代の中国や大航海時代のスペイン・ポルトガル、江戸末期のイギリス・アメリカ)から最新の知恵・技術を学んで独自のものを築き上げたこと。
    現代にも通ずるものがあると思う。

  • ページ数も字数も多くないのに、押さえるべき歴史の大きな流れをきちんと押さえ、新しい知見や見方も提示している。

    著者は予備校講師だというが、この人に教わる学生は幸運だ。



  • 奇妙なことに、髪の毛の細胞も、内臓の細胞も、筋肉の細胞も、まったく同じDNAをもっています。人体を構成している六〇兆個の細胞が、すべて同じDNAのコピーをもっているのです。どの細胞も全身の「設計図」をもともと有しているのですが、実際に細胞をつくるときには、特定のパーツだけが発現する

    ミトコンドリアは細胞のなかに浮かぶ数千個のつぶつぶで、そのなかで糖や脂肪をエネルギーに変える作業を日夜、続けています。いわば、細胞の発電機です。運動をすると身体が熱くなるのは、ミトコンドリアの活動が活発になるからで

    生命の誕生からまもないころ、単細胞生物だったわれわれは、小さなバクテリアを細胞内に取り込み、糖を与える代わりにエネルギーをつくらせるという共生関係を結んだのです。このバクテリアが、ミトコンドリアの祖先です。

    ■天津神 国津神
    天津神 アマテラス 天界の神
    国津神 大国主 土着の神
    →天照が国を譲れとせまり、いいけど、私を祀ってくれといって、出雲大社が作られた

    アマテラス 伊勢神宮
    オオクニヌシ 出雲

    ■三種の神器
    八咫鏡ヤタノカガミ
    →伊勢神宮
    →八咫は円周の長さ
    草薙の剣クサナギノツルギ
    →熱田神宮
    八尺瓊匂玉ヤサカニノマガタマ
    →宮中オリジナル

    ■インドのリグヴェーダ
    7つの河をはばむ竜(ヴリトラ)がいた
    雷神インドラは挑むが負ける
    太陽神の仲介されるが、やっぱり挑んで倒す
    →聖者の骨から作った聖なる武器を作って倒す
    →大雨が降って大地が潤う
    →→金剛杵(こんごうしょ)ヴァジュラ
    →→★密造時のなでごこしょうはこれ?

  • 読み終わったのは今から1ヶ月ほど前になりますが、ネットでこの本を見つけました。タイトルや帯によれば、日本史を世界史と繋げて学ぶことができる本です。今まで多くの歴史本を読んできましたが、いずれも専門家の先生が書かれたものが多く、本の内容事態は最近の研究成果などが入っていて以前学んだものとは異なることもあり、新たな気づきを得ることも多くてそれはそれとして楽しんでいます。

    しかしながら、最近は、日本である事件が起きている時、周りの国では何が起きていたのか、時間は同一に流れているので、日本史と世界史を同時に学ぶことは面白いのではないかと思うようになりました。私が高校時代に歴史を勉強したときは、世界史が2年生、日本史が3年生で、大学入試ではそれらを選択しなかったこともあり、お互いの関連性を深く理解しないまま、今に至っています。この本に出会えて良かったと思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・我々は何者か、という根本的な問いに答えるためには、日本史を世界史(人類史)の一部として位置づけ、祖先が世界とどう関わってきたのか、ということを理解する必要がある(p4)

    ・奇妙なことに、髪の毛の細胞、内臓、筋肉の細胞も全く同じDNAを持っている。人体を構成している60兆個の細胞がすべて同じDNAのコピーを持っている、どの細胞も全身の設計図をもともと有しているが、実際に細胞を作るときには、特定のパーツだけが発現するようになっている(p24)

    ・DNA分析により、現生人類がネアンデルタール人から進化したのか、別系統なのかという論争も終了した、我々現生人類とネアンデルタール人は別系統であるのに対して、白人(コーカサイド)黒人、アジア人(モンゴロイド)などの人種の違いは些細なものであった。現生人類の共通祖先は、7万年前以降にアフリカを出てアジアとヨーロッパに広がり、環境に応じてそれぞれ進化したことが分かってきた、ネアンデルタール人が絶滅するまでの最後の1年間は、現生人類とネアンデルタール人は共存し、混血も行われた(p25)

    ・Y染色体の方は父親から息子へ受け継がれるので、これを遡っていけば、父方の祖先がどこからきたのかがわかる(p28)母親から子に受け継がれるDNAは、ミトコンドリアDNAである(p29)

    ・縄文人の祖先は、従来言われてきた東南アジアから島伝いにやってきたのではなく、氷河時代に地続きだったシベリア方面からやってきた(p31)縄文系人が山地に住み、平地の弥生人と共存していた(p37)

    ・纏向遺跡を見下ろす大神神社は、大和国で最も格式の高い「一の宮」である、拝殿のみで本殿がない。三輪山そのものを御神体として祀っているから(p50)

    ・神話上は神武天皇が最初の天皇とされているのに対して、崇神天皇は実在した最初の天皇ともいわれ、崩御の年は西暦258(あるいは318)と推定されている(p50)

    ・日本最古の神社として知られる奈良県の石上神宮は、十種神宝を御神体として祀り、物部氏の武器庫として使われていた(p57)

    ・黄河流域では、モンゴル系の匈奴・羯(けつ)・鮮卑、チベット系の氐(てい)・姜(きょう)の五族の戦いを制した、鮮卑族が漢人と混血して、北魏を建国する。後の、随・唐帝国を立てたのは、この混血民族である(p77)

    ・武烈天皇が後継者を指名せずに没した後、26代継体天皇(おおどのの大王)が迎えられた、現皇室の直接の先祖である(p95)三輪王朝(崇神)→河内王朝(応神)→越前王朝(継体)の三王朝交代説を早稲田大学水野教授が唱えた(p96)越前の若狭湾はリアス式海岸で良港に恵まれる、ここから上陸すると、琵琶湖・淀川を経て大阪湾に至る(p98)

    ・白村江の戦い、当時のヤマトの人口500万人、唐の人口は5000万人、百済復興のために半島に送られたのは5万人、人口の1%である。今の日本でいえば120万人の海外派遣をするような大戦争である。唐・新羅連合軍の侵攻に備えるために、中大兄皇子は、大阪湾に面した難波宮と飛鳥へ、さらに琵琶湖岸の大津宮に移転した(p115)

    ・壬申の乱で勝利を収め大津宮を攻略して大友皇子(天智天皇の遺児、親唐派)を自害に追い込んだ大海人皇子が天武天皇として即位、唐とは絶縁して新羅との関係を修復した、その後、天武・持統・文武の三代30年間、遣唐使は中止される。唐の支配を脱したヤマトの大王が「天皇」という称号、「日本」という国号を正式に採用したのがこの天武天皇の時から(p116)聖徳太子の遣隋使が高句麗遠征を控えた随の容体に「天子」の称号を認めさせたように、文武天皇の遣唐使は、渤海問題を抱える武后政権に「日本」の国号を認めさせた(p124)

    ・朱全忠に始まる5つの節度使校長を五代といい、地方には10の藩鎮が独立政権を維持したので、合わせて五代十国という(p147)唐の貴族制度が完全に廃止され、代わって、士大夫と呼ばれる科挙官僚が政権を担うようになった(p147)

    ・皇族貴族は基本的に一夫多妻制で、嫡子(正妻の子)が家督を継ぎ、他の息子たちは分家する、皇族の場合は皇統を継げない王子たちに「氏」を与えて臣下として独立採算させる、桓武天皇達が皇子等に「平」の氏を与えたのが「桓武平氏」清和天皇が「源」を与えたのが「清和源氏」である(p158)関東では源経基が勢力拡大してその子孫に源頼朝が現れる、桓武平氏は関東から伊勢国に移して海賊勢力を手なずけた、この子孫に平清盛が現れた(p164)

    ・常陸国(茨城)上総国(千葉中央)上野国(群馬県)の関東3カ国は、新王(皇子)が「守」に任命される親王任国である、現地には赴任せずに代理人を「介」に任命して現地に派遣する(p159)

    ・アフリカにおいて白人が黒人狩をしたのではなく、ぺニン王国(ナイジェリア)アシャンティ王国(ガーナ)など黒人国家が積極的に奴隷狩りを行い、白人商人に売りつけて巨利を得た、多くはアメリカ大陸へ輸出され、大農園で酷使された(p251)

    ・ポルトガル商人と結ぶキリシタン大名が日本人奴隷を輸出していたこと、イエズス会がスペイン王国に日本派兵を要請したことは、無視されてきた、日本におけるキリシタン研究をリードしてきたのは、ラテン語の読めるカトリック系の大学の研究者であったから。(p264)

    ・秀吉の行ったバテレン追放令とは、1)キリシタン入信は個人の自由、2)キリシタン大名は領民・家臣に改宗を強制してはならない、3)大名の入信は許可制、4)中国・南蛮・朝鮮へ日本人を売ることを禁止、5)牛馬を食べることを禁止(p267)

    ・当時はオランダが世界貿易の50%を握る経済大国であり弱小国家だったイギリスはオランダを恐れて東南アジアから撤退しインド貿易に専念する、この影響で平戸のイギリス商館も閉鎖されオランダが対日貿易を独占する(p314)

    2023年3月19日読了
    2023年4月15日作成

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著者プロフィール

茂木 誠(もぎ・まこと)
ノンフィクション作家、予備校講師、歴史系 YouTuber。 駿台予備学校、ネット配信のN予備校で世界史を担当する。著書に、『経済は世界史から 学べ!』(ダイヤモンド社)、『世界史で学べ! 地政学』(祥伝社)、『超日本史』 (KADOKAWA) 、『「戦争と平和」の世界史』(TAC)、『米中激突の地政学』(WAC 出版)、『テレ ビが伝えない国際ニュースの真相』(SB 新書)、『政治思想マトリックス』(PHP)、『「保守」 って何?』(祥伝社)、『グローバリストの近現代史』(ビジネス社・共著)、『バトルマンガ で歴史が超わかる本』(飛鳥新書)、『「リベラル」の正体』(WAC 出版・共著)など。 YouTube もぎせかチャンネルで発信中。

「2022年 『ジオ・ヒストリア 世界史上の偶然は、地球規模の必然だった!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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