- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048675239
作品紹介・あらすじ
涙も凍る冬の山脈に雪蟷螂の女が起つ。この婚礼に永遠の祝福を-。長きにわたって氷血戦争を続けていたフェルビエ族とミルデ族。その戦に終止符を打つため、ひとつの約束がなされた。それは、想い人を喰らう"雪蟷螂"とも言われるフェルビエ族の女族長アルテシアと、永遠生を信仰する敵族ミルデ族長オウガとの政略結婚だった。しかし、その約束の儀は、世代を超えて交錯する人々の想いにより阻まれる。果たして、山脈の地に平和は訪れるのか。そして、極寒の地に舞う恋の行方は…。『ミミズクと夜の王』『MAMA』に続く"人喰い物語"最終譚。
感想・レビュー・書評
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前二作に比べると少し読み応えがないような…
全体的にまとまりきってない印象がありました。 -
話も面白かったし、絵も綺麗で星五つをあげたいところですが、アテルシアの相手でであるトーチカに魅力が感じられなかったのと、詰め込みすぎた感を感じたので星四つ。上下巻とかにして、もう少しゆとりを持って書いた方が良かったのかなと思ったりもする。
切ない『恋』と『愛』の話。
最後は幸せになれたから良かった。 -
いづきさんの人喰いの話、第三作目。
「好きだから食べたい」という話。
甘くないのにどこか切なくて凛とした冬と雪の冷たさ。
そんな相変わらずの綺麗な世界観でした。
一つの話の中で3つの恋が描かれているのですが、過去に焦点が当たりすぎていて、肝心の主役が薄くなってしまったような…。
この世界観が好きなだけにもっとじっくり読みたかった。
トーチカいいキャラなのになぁ。一人称が僕だぜ?そうきたかーって思った…もっと内面が読みたかったです。
”人喰い”で今度こそカニバリズム的なものがくるかと思っていたら、直接の食べる表現はありませんでした…。
グロテスクなものが苦手な人でも全く問題ないです。
「あなたを食べる」って究極の美だと思うのにな。
比喩ではなく頭からばりばりと食べてほしい。そんなぐちゃぐちゃで狂った世界の綺麗さを想い描いている。 -
この『雪蟷螂』という作品は、
同じ作者の書く「人喰いシリーズ」と云われるものの
第三弾、最終章に当たるらしい。
読み終えいざレビューを書こうとして初めてその事を知ったけれど、
前の2作を読まないと分からないという事は無かったように思う。
(他の方のレビューを拝見すると、これが最初で良かったようにも思える)
「想い人を喰らう」と云われる一族と、
その一族と長い間敵対していた一族との政略結婚。
あらすじに記載された「想い人を喰らう」という言葉だけで、
によによと期待を膨らませてしまって、
気づけば本屋のレジの前にいそいそと並んでしまっていた。
「想い人を喰らう」。
異常とも言える深すぎる愛の形の終演には、
どうしても死がまとわりついて離れない。
「死が二人を分かつまで」とは愛の誓いに使い古された言葉、
けれど「想い人を喰らう」愛は、同時に死のおとないがある。
この作品の舞台は、極寒の凍土。
作品全体に貫かれる雪氷の厳しさと白さが、
この作品のテーマである「想い人を喰らう」、
儚くも美しい、狂おしいほどの愛を、よりいっそうに引き立てる。
深すぎる愛は異常性もあって恐ろしい、
でも時に、憧憬の念すら呼び起こすのは何故だろう。
死にものぐるいの、死すら厭わぬ程の激情。
そういったものに身を焦がすことが非現実的に思われてしまう、
そんな世の中だからこそ、逆に憧れてしまうのかも知れない。
(以下余談)
テーマも、それが描かれる舞台の選定も、文章の質も
ものすごく好みで、文句なしで★5を付けたいところ。
ここで★4にしたのは、「想い人を喰らう」というテーマが、
主人公ではなく脇役で語られたことを起因とする。
激情に狂う主人公を見たかった。 -
物語だから当然なのだけど、上手く組まれたレールの上を走っている感じ。
私は読み終わった後に「ああ面白かった」じゃなくて「うん。まあ、そうだよね」と思いました。読ませる文ではあるけれど何か一味足りない印象ですね。 -
お友達がお勧めしていたのを見て読みました。熾烈な戦を長きに渡り繰り広げてたフェルビエ族とミルデ族。戦を終わらせるために、極寒の山脈に平和を築くために取り交わされた政略結婚。その裏には憎しみと言うには生ぬるい、愛と言うには激しすぎる、交差する激情があった。運命の輪は複雑な文様を描いて廻り始める。とても面白く読みました。何より文章が素敵で好みでした。極寒地が舞台ですが、読んでいてその寒さを直に感じるくらい。タイトルも秀逸。他の作品も読んでみたいです。
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高校生の時に買って読んで、それ以来ぶり。誰かに貸して手元から無くしてしまったので、買い直した。
かろうじて結末は覚えていたけれど、それと関係なく、途中で胸に刺さるものがあって、やっぱり好きだなと思った。