- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048737920
感想・レビュー・書評
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小川洋子要素たっぷりの短編集。毒気強め。
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こういう本を書くから、小川洋子さんは魅力的なんだと思う。奇麗で高潔な文章で、人間の人間らしい部分を暴いている。それは時に傲慢だったり醜悪だったり、滑稽だったり美徳だったりするけれど、この矛盾さを孕んでいるのが人間だなと思ってしまう。そしてそれを一切の容赦なく記せる、鬼才だと思いますね。
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こういうの、けっこうすきです。作者の長編の萌芽のような短編集
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★2008年3月20日 22冊目読了『夜明けの縁をさまよう人々』小川洋子著 評価B+
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小川洋子さんが好きです。ラジオ番組で聴く穏やかな声、語り口調、でも少し怖い感じ。優しく穏やかな表情からたまに溢れる怖い感じ。作品にも出てます。お伽話のようで、おどろおどろしいムードもあります。私は再試合が好きです。野球好きの小川さんの球場や観客の描写が、すごく好きです。小川ワールドに浸れました。
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エレベーターボーイのイービー、私の裏側に住む老人、指圧師に淫靡な朗読をする老女、産声をあげて死んでゆくサンバカツギ。なんて狂ってるんだろう。究極は、関節カスタネットのために、痛みの涙を流す涙売り。小川洋子さんは、世界から取り残された人を拾い上げるような、どこまでも静かな物語を書くイメージがあったけど、こんなに狂気に満ちた話も書くんだな。1つ1つの短編が濃厚で、深呼吸をしたくなる。タイトルが好き。
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9編の短編集。通勤の地下鉄で読むのにちょうどよくて手に取りました。小川洋子さんの作品は脱日常でちょっと怖いようなお話が多いですが、これも期待を裏切りませんでした。中では「パラソルチョコレート」というお話が秀逸。ある時あらわれた裏側にいる人間。とても神秘的です。私の裏側いいる人はどんな人なんだろうかと考えました。
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E.Bと涙売りの話しは良かった
他の話しも独特の世界観を堪能できた -
短篇集ではあるが小川洋子ワールド全開で、現実と夢の世界の境目を縫って歩くような感覚を堪能できる。
中でも儚さ、健気、悲哀が交錯する「曲芸と野球」「イービーの叶わぬ望み」「涙売り」などが好きだが、老婆の人生の深みを感じさせる「ラ・ヴェール嬢」も何とも言えぬ読後感を味わえる。
これからもどんな作品が登場するのか、小川洋子さんのたくさんの引き出しの中を覗いてみたいという衝動に駆られた。