ジェノサイド

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741835

感想・レビュー・書評

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  • 虐殺器官を思い出す描写に多少辟易しながら、体制側に登場した若き設計者の良心に期待して先を読むものの、体制の力は強すぎて思惑通りには進まない。結局どちらも目的のためには手段を選ばないようで、単純な善と悪の構図でもなく、一番力のなさそうな大学院生を応援する。圧倒的な力の前になす術もない描写が散々続くと、例え人知を超えた才能に率いられたとしても、普通の大学院生があそこまで権力に対抗できたりまたすごい事ができたりするのを奇異に感じてしまう。
    米国、日本、コンゴで難易度レベルが多少食い違ってるような変な感じ。
    ミステリというよりSFじゃないかとも思うけどでもまあでもとにかく面白く読みました。

  • 力作!!久しぶりに読み応えのある作品を読んだ。アフリカで繰り広げられる極秘作戦と、平凡な日本の大学生が任された新薬の開発。全然関係なさそうな二つの物語が重なりあう時、かなり興奮させられる。一つ一つの出来事が緻密に描かれていて、それにも感心させられる。

  • 『13階段』を読んで、とても面白かったので高野和明先生の作品で評価が高そうなものをと思い『ジェノサイド』を手に取りました!

    面白かった!

    勝手に『13階段』のようなミステリかと思っていたら全然違うテイストで驚いた!!

    遺伝子関係のお話大好物なので良かった!

    でもタイトルのとおり大量虐殺シーンがたびたびあるのでそこは辛かった...。

    韓国人の友人の活躍良かった〜!!ヒーローのように見えた!!

  • 高校生の頃に読んで面白かった記憶があったので、久しぶりに読み返しました。高校生当時、続きが気になりすぎて授業中にバレないよう夢中になってページを捲っていたのを思い出します。
    今考えると絶対バレてたよ。

    設定から何からワクワクが止まらない。
    解説の方もおっしゃっていましたが、まさに「面白い」だけではない「すごい世界を見てしまった」という感覚。
    設定だけ見たら非現実的なのに、高野さんの筆力と綿密な下調べによって圧倒的にリアリティを感じられます。
    その上にあれだけ壮大なエンタメを見せつけられたら…もう、面白くないわけなかろう!という。

    中盤は正直目を背けたくなるような場面もありますが、終盤は痛快すぎて「ははは〜」て笑いながら読んでました。やったれやったれ!て。

    ベトナム戦争のPTSDはさすがの私でも聞き覚えがありましたが、あんな背景があったとは知りませんでした(一度読んでいるのに)。
    第二次世界大戦では近距離では2%しか銃の引き金を引けなかったと。
    ベトナム戦争の訓練では動く人型の的に変えたら95%まで上がったと。
    でも撃った後のことまで考えてなかったと。

    人を殺す、ということはそれだけのストレスに晒されるものなんだなあ、と平和な国に生まれた私は思いもよりませんでした。
    以前読んだ同著者の「13階段」を思い出します。こちらも死刑囚を手にかける死刑執行人のお話。

    戦争がこれだけ遠い世界に感じられる国に生まれたのって幸せなことなんだなあ、と読み終えた今しみじみと感じてしまいます。
    なんだかんだ言っても日本は幸せな国だ。

    私はずっと性善説を信じていたんですが、それを全体的に否定されるような作品でありつつ、最終的にはこちら側に寄り添ってもらえるような、まさに人間の、というか人類の複雑さを表しているような小説だな、と感じました。
    個人対人類。そうですよね。難しいな〜人間。最近のSNSを見ても特にそう思います。

    とりあえず、ありがたいことに平和な国に生まれたからには、性善説を信じられるような環境で生きてこれたからには、目の前のことに真摯に向き合っていきたいですね。

  • 中学一年生のとき、スティーヴンソンの『ジキルとハイド』を読んだ。途中でやめられなくて徹夜で読んだ、はじめての本だった。同じような本はその後も何冊かあったが、大人になってからはだいぶ減った。本書は久しぶりに出会った「徹夜本」である。
    この小説にはたくさんの登場人物がおり、それぞれが重要な役割を担っているので、誰を主人公と呼ぶかは難しい問題である。しかし、いくつもの視点から語られるストーリーがテンポよく切り替わり、読者をまったく飽きさせない。
    一例を挙げるなら、真の目的も知らされないまま課されるホワイトハウス主導の極秘任務。あるいは、平凡な大学教授だと思っていた亡き父が、家族や勤務先にも黙って続けていた謎の研究。藤井聡太と羽生善治の対決もかくやと思われる頭脳戦。追跡をかわしながらのスリリングな逃避行。どれもこれもがエンターテインメント小説では鉄板の設定なのである。面白くないわけがない。
    それにしても、こういう作品を労作というのだろう。巻末には参考文献がずらりと並ぶが、並々ならぬ準備の努力を感じる。いや、本人にとっては「努力」ではないのかもしれない。作中に「研究だけはやめられん」という、多幸感に満ちた科学者のつぶやきが出てくる。著者にとってみれば、まさに「執筆だけはやめられない」のだろう。

  • 気になる点はあるものの文句なしにおもしろかった!
    出てくる登場人物が人間くさく魅力的で、だからこそのこのストーリーのおもしろさに厚みが出たと思う!
    どの登場人物にも感情移入してしまうので、誰が味方なのか敵なのかハラハラしながら読み進めました。
    残虐な描写も多いけど、歴史や戦争とは何かを考えさせられるし、現政権も揶揄するようなところもありそれも含め良かったです。
    久しぶりに読んだおもしろい一冊でした!

  • 話の展開は面白かった。
    アフリカのシーンは辛いところが多く、気分が重くなる。

  • 後半にさしかかるにつれて、予想もしてない展開に終始ドキドキして読み終えました。
    専門知識の多さに読んでる自分まで賢くなった気になった。もう忘れたけど笑
    戦争の怖さ、人の怖さ、戦争を剥き出しに表現されてる描写に顔をしかめてしまう場面もあったり、
    親子愛で泣ける場面もありで楽しませてもらいました!
    見終わって疲れた〜面白かった〜って感じですね!

    『恐ろしいのは知力ではなく、ましてや武力でもない。この世でもっとも恐ろしいのは、それを使う人格なのです。』←ほんまそれ。に尽きる一言

    世界中の権力者たちが平和を望む欲に鈍感な人たちなら、本当に戦争などなくなるのかなーと
    思いました。

  • 最初は難しい化学の話ばかりで脳の情報処理が付いていかずだったけど読み進めるうちにどんどんと引き込まれていった。
    とにかく圧倒的なリアリティ。そして本の中で様々な知識、歴史を学ぶことができ、大人になっても知らないことばかりな自分を恥ずかしく思うと同時に、現生人類という大きな括り、いや動物の中のヒトという小さな括りで自分たちのことを考えることができたのはとても新鮮だった。400ページ以降はハッとさせられる文が多く、特にハイズマンの家で彼とルーベンスが会話しているところが強く印象に残った。

    「もう安心だよ。ここには戦争はないからね。この国の人たちは、もう戦争はしないと決めたんだ」
    するとアキリの表情が、かすかに動いた。目元に射した影の中に、研人は疑念を読み取った。こちらの言葉を疑っているのだろうか。

    この文にドキリ。

  • こんなに面白い小説には、なかなか出合えない。『ジェノサイド』というタイトルから窺えるように、途中には目を覆いたくなるような凄惨な描写が続く。そういった意味では一般受けはしないかもしれない。でも、それによって色々と考えさせられる。普段あまり意識しないこと、日本にいては気がつかないこと。それらを引き続き学んでいこうという知的好奇心も広がります。面白さ、設定、展開、筆力、知識、全てが他を圧倒している。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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