ジェノサイド

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741835

感想・レビュー・書評

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  • 他の方のレビューにもあるように、まるでハリウッド映画を観ているような作品でした。(でもアメリカ大統領が結構悪役の位置なので、ちょっとハリウッドでの映像化は難しいかも…)

    軍事的な描写や医学・薬学的な描写がみっちりと描かれているので、初めはちょっと読むのに手こずったのですが(自分自身がどちらかというと文系脳なので)、だんだんとストーリーに引込まれてしまい、中盤からはページをめくる手がとまらなくなるぐらいでした。文句なしのエンターテイメントだと思います。

    また、根底に流れるいくつかのテーマ、イェーガー親子、古河親子それぞれの父性愛や、人類の進化を淘汰として受け入れるルーベンスやハイズマンの科学者としての矜持など、複雑に絡みあってはいますが、それがうまくつながっていて、ところどころ考えさせられるシーンが多かったです。

    エマとアキリのネオ・サピエンスが全能すぎるかな、という気もしましたが、このあたりの活躍ぶりがないとストーリーが進まないので仕方ないかな、という気もします。
    この二人が新たな人類のアダムとイブになリ、そして現人類の道標となるのか脅威となるのかはまだ謎ですが、ラストの雰囲気から行くと明るい方向に行くのではないかと予感しました。

    万能の創薬ソフト「GIFT」が役目を終えて消滅するプログラムになっているところも実はミソかな、と感じました。
    そのあたりにエマとアキリのネオサピエンスが現人類を見守っていく流れになるのかなー、と感じました。

    複雑なエピソードが絡み合いながらやがて大きなテーマのエンディングにたどり着く、久々に読んでいて「これは面白い」と思えた一冊です。

  • どこかの本屋でお勧めされてたので図書館で予約。
    2月に予約して9月まで待ちました。人気ですね。

    内容は良くあるご都合主義のストーリー。
    それより気になったのが真偽も定かでないネタをさも当然の如く絡めてくる。
    日本人やアメリカ人に対して悪い印象を与えようとしていますよね。
    そして異様なほどの韓国の持ち上げ。
    そんなに韓国が好きなら韓国を舞台にして韓国で出版して韓国で暮らせば良いのに。
    来世は大好きな韓国人に生まれ変われたら良いですね。心からお祈りいたします。

    あぁ、もしかして作者は日本人じゃないのかな?
    どっちにしろこの人の本は二度と読まないでしょう。

  • 久しぶりに厚い本をよみました。
    こういうスケールの話はあまり読んだことがありません。ストーリーも面白いんですが、何よりこの本は、人間のある側面をえぐるように書いている。
    日本にいて、平和ボケしてる自分には衝撃的な内容でした。
    「人間て、そうだ、こういう生き物だよ」と思わないわけにいかず、、。
    今、こうしてる間にも、戦争は起きてて、たくさんの人が命をおとしてる。

    本当にこういう話があってもちっともおかしくないのでは??人類滅亡するかもね、と思ってしまった。

    話自体は、日本とコンゴ、アメリカでの出来事が並行して進み、途中から全てがつながってきて、厚い本ですが二日で読みきりました。
    おもしろいです。

    ただ、読後感はスッキリというよりはすごく考えさせられました。
    今のままヒトはすすめば、いずれ滅びるだろうな、、、絶滅したってしかたないようなことをしてはいないだろうか、、、、自分達はこの先どうしたらいいのかな、、、

    ある一面から人間の未来を描いた作品。その時人はどうするのか。是非読んでみてください。

  • 薬学的な話がチンプンカンプン。。。コンゴの話には鬱々とした気分になった。。。
    とにかく中盤までの話がなかなか読み進まなくて、ウンザリしてきたら後半すべてが絡みあった時にグングン引き込まれて面白かった。

  • 進化した人間が登場したらどうなるかは、子どもの頃に考えていたテーマの一つだ。火星人みたいなイメージで、科学の発展が進んでいいんじゃないか などと考えていたが、、さすが作家の想像力の翼は力強い。

    進化した頭脳は、複雑な暗号を解読して、あらゆるシステムに介入することができる。軍隊も操ることができる。その事実を掴み怖れたアメリカは彼の抹殺を図る。旧人類にとっては新人類は抹殺の対象になるという説が面白い。
    新人類はピグミー族の息子で三歳。三歳でも、人間の能力を超えている。といった設定がうまい。三歳の新人類を胸にアメリカ、アフリカの軍隊を相手に逃走、闘争する。

    それに日本での新薬の開発が並行していく。
    なんともスケールの大きい話だ。去年の№1小説だけのことはある。

    さらに新人類vs現人類の対比の話の中で、現人類の特徴はジェノサイトを平気で行うことなんじゃないか という残虐性の指摘が物語に深みをもたらしている。
    『すべての生物種の中で、人間だけが同種間の大量殺戮を行なう唯一の動物だからだ。それがヒトという生き物の定義だよ。人間性とは、残虐性なのさ。かつて地球上にいた別種の人類、原人やネアンデルタール人も、現生人類によって滅ぼされたと私は見ている』

    『新しい人類が現れたのなら、それは喜ばしいことだ。現生人類は、誕生から二十万年も費やしても殺し合いを止められなかった哀れな知性動物だ。殺戮兵器をかき集めて威し合わなければ共存できない、この現状こそが人間の倫理の限界だったんだ。そろそろ次の存在に、この星を譲ってもいい頃だと思うね』

    ディテイルがうまい。
    あげるとキリがないが新人類は木の葉が落ちる位置を特定できる。不確定な動きを計算できるから。
    新しいフライトシミュレーションかと思ってゲーム感覚で遊んでたら実際の爆撃で副大統領を殺してしまう。今のフライトはゲーム感覚という設定をうまく使ってる。

    最後の参考文献を読むとかなり勉強してるようで、薬学の話、アフリカでの国情、少年兵などの状況、ITやシステムについても専門的な話で、新人類が登場することとなった経過などうまくウソをつく。

    かなり映画的な内容で、映画化が考えられるが、日本などでしてもらいたくない。ハリウッドの良質な部分が映画化すべきですね。

    こういう本の存在だけで嬉しくなると、ベタ褒めできる内容だが、欲を言えば、前半の起の部分が長く素晴らしいのだが、その長さに比して後半は駆け足になる。それなりにスリリングなんだが、世界を動かせる力を持っているから連戦連勝になってしまう。映画だとこのあたりを膨らませてほしいものだ。

  • 作者の偏った歴史観やサヨク思想が満載の作品。

    これを一流のエンターテイメントとか言っちゃう日本人はどんだけ日和ってるんだと思った。

  • 日本とアメリカとアフリカ
    最初は繋がるはずがないと思っていた人物同士が深く関わり、現生人類の危機を救う。

    俳優の岡田将生さんがこの作品を賞賛していたので、気になって読んでみた。読み応えがあった。
    専門知識が理解できたらもっと面白かったかもしれない。

    殺人は犯罪であって、異常なはずの行為であり、殺人を犯した者は人々から侮蔑され、忌避される。
    にもかかわらず、戦争においては人を殺すことが正義であり、正常な行為になる。後世にどれだけ非難されようとも、敵を排除するという意義があるから、大虐殺が起きてしまう。
    戦争、差別、虐殺。
    現生人類の愚かさと弱さのあらわれなんだと気付かされる。

  • 文句なしの星5ですね!専門知識の部分が難しかったですが、織り込まれている史実や想定などどれも興味深かったです!

  • スケールがでかい!
    各所で評価が高かったので、いつか読みたいと思っていて、、ようやく。
    SFの要素もあって楽しめました。

  •  人間をサルと思えるほど知能が進化した超人類がいるとしたら。人間を家畜のように扱うか共存するパートナーとして扱うかはその超人類の道徳にかかっているだろう。成育環境が道徳と残虐性を決めることを考えさせられた。
     将来の人間とAI(ロボット)の関係性にも類似点を感じる。AIは複雑なビッグデータを解析し未来を予測する能力を有している。人間の感情も理解する。人間はAIの学習環境を正しく保ち、未来を共に歩もうとする関係をつくることが大切ではないだろうか。人間とドラえもんのような仲の良い関係ができると良いなと思った。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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