ジェノサイド

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741835

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに小説などを読んでみましたが、
    非常に面白い。

    ハードカバーでボリュームも有りますが一気読みです。

    満点つけちゃいましょう。

    題名のジェノサイドにあるように
    戦争の模様も書かれているため、
    かなりグロテスクな描写も含まれます。

    とても取材された、バックボーンのしっかりとした
    リアリティを感じさせてくれます。

    事実じゃないのか?と思えるほど、
    まぁフィクションなんですけどね。

    メインストーリーからはずれますが、
    戦争についての表現があるので、
    どうしても人間の獣性について考えさせられます。

    なんとバカなのか、
    人が人を殺すことの異常さを人間は理由を付けて逃げています。

    人に対して優しくなれる
    気がします。気がするだけだけど、
    人を責める、攻めることのバカらしさを強く感じます。

    残虐的なグロテスクな表現を生理的に受け付けないということがなければ
    非常におすすめの一冊です。

    そのエグさもリアリティを感じさせているのですがね。

  • 面白い。面白すぎる。

    はじめから終わりまでずっと読ませる。
    ミストリ好きにもたまらないカラクリが綴じ込まれている。

    テーマも大きい。
    人は生きるべき種族なのかと問いかける。

    アクションもある。
    冷徹な現実を目を覆いたくなる描写で叩きつけてくる。

    ひさびさに読み応えのあるワクワクしっぱなしの作品でした!

  • まだ2024年2月ですが、今年ナンバーワンの面白さ。
    10年前に刊行された本だけどめちゃくちゃ面白い。最後までドキドキさせられて終わりも良かった。

    当時の創薬はまだまだ低分子化合物の合成がメジャーだったし、ちょっとボロアパートにトランスジェニックマウスとかいる辺りがウヘッ!!とかなりましたがGIFTっていう創薬のためのソフトの完璧さにめっちゃワクワクして単純に高野さんコレは凄すぎるよ。

    他方、内戦や傭兵といった章(日本のシーンとアフリカのシーンそしてペンタゴンのシーンが交互に挿入される)はこれがリアルなのか!?経験したことないからわからないけど臨場感ハンパなくて心拍あがりまくるー。

    こんな面白い本あるんだー、はぁ。やっぱり本は止められない。

  • 医薬品開発の関する物語だと聞いていたので、ある程度読み始めに内容を予測する。ジェノサイド?ジェノタイプ?とイメージが錯綜した。人類の進化という話になっているので、同じミスリードをする輩がいるかも知れず。(いないか)。

    新人類が生まれる可能性と、土地柄。自然の淘汰、人間の淘汰。先祖がえりなのか、進化なのか、が生まれたときには、どうするのか?現代の医学では、どう評価し、何を行う?そのまま育っても、社会が順応しない?昔ほど、他者に優しい社会では、なくなっている。弱者は、まれびととして保護育成されるべきなのかもしれない。

    もう一方の伏線となる、米国監視システムのこと、エンシュロン。技術は、ここまで進んでいるのか!と大変勉強になった。何が使われているのか良く分からないが、スゴイ、ヤバイ、と思う。それと共に人類を、代表するべく、米国大統領とは、馬鹿の代名詞であることが、明らかにされている。どうして、これほどに戦争好きな国民性なのだろうか?

    エンシュロンの監視は、拡大する。コンピュータを使わない現代の姿が、創造できないごとく。大国である、米国には、PCを基から制御する仕組みを構築できる可能性が高い。閉鎖的な仕組み、一企業による独占は、この業種では良くないことなのかもしれない。国家が行えば、正義となる。オープンソースでも、同様なことがありえるのかもしれないが?情報とはまさに、容易に、操作可能なものなのかもしれない。

    薬の化合物の検証、これほど短時間では同定することは、無理であろうと思われる。

    登場人物が多いため、各人のキャラ立ちが悪いと思う。
    物語の構成は、大風呂敷の後の収束が、出来ていない。どうしても、ラストの幕引きが、駆け足になってしまう気がする。

  • 面白いとか、面白くないとかいう次元ではなく、読み終わって、腹立たしさしか感じなかった。

    確かに良くできた話だと思う。ストーリーの展開は確かに面白い。
    ただ、ジェノサイド(虐殺)をタイトルにしている以上、人間の残虐性を強調するのは当然としても、そこは、人間という種の残虐性を現さなければいけないはず。どうして特定の民族の残虐性だけを強調し、貶めようとするのか。

    具体的に言うと、アメリカ人と日本人を必要以上に残酷に描き、貶めているような印象を受ける。
    特に、日本人については、南京虐殺や、関東大震災の時の朝鮮人への虐殺など、歴史的に見てその信憑性に疑問のある事例を殊更強調しているのが目につく。
    特に、南京虐殺については、参考文献に何冊か資料が見受けられるが、おそらく肯定派の本なのだろう。(確認したわけではないので申し訳ないが)否定派の文献もたくさん出ているのに、全く目を通さなかったのだろうか。

    そして、それとは対照的に、不自然に韓国を美化しているのが気になった。
    主人公の協力者として登場す韓国人留学生。彼の存在がどうにも不自然に感じた。最後まで読んでも、ここで韓国人をわざわざ登場させる意味がわからず、別に日本人でも全く問題ないのでは?と思ってしまう。
    彼を通して韓国を美化するエピソードがいくつか語られる。それが間違っているとは言わないが、散々、他の民族の残虐性を強調しているなかでは、妙に違和感を感じてしまう。
    そして、韓国人留学生が登場したことで、物語の本筋とは全く関係ない、主人公の祖父や伯父が朝鮮人を毛嫌いしていた、というエピソードが語られるのだが、作者はここで、祖父や伯父を差別的と断罪し、主人公にこう語らせる。"愚かな先祖を持つと、末代が苦労する"と。話の流れからして、おそらく作者の思いを代弁したのだと思われる。
    ふざけるな、と言いたい。今の日本の繁栄は誰のおかげなのか。自分の先祖は間違った事をしたが、自分は正しいとでも言うつもりなのだろうか。

    これは、エンターテイメントの形をとったプロパガンダ小説だ。

  • この小説は「壮大なスケール」という言葉のハードルを段違いに上げた。そして「ジェノサイド」の反意語に「祈り」という言葉を付け加えた。アフリカと日本。命を守るための命懸けの二つの戦いが交差するとき、新しい世界の扉が開く。これは読まずに今年面白かった本は語れない。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「「壮大なスケール」という言葉のハードルを」
      そうだと思います!
      「「壮大なスケール」という言葉のハードルを」
      そうだと思います!
      2012/08/10
  • 文句なしに面白い。
    ハリウッド映画を観ているようで、途中から一気読みだった。
    特にホワイトハウスでの駆け引きが面白かった。
    権力も知識も正しく使ってこそ。
    エマが愛情深い人に育てられてよかった。

  • 映画を見ているようなハラハラ感で、長編だけどぐいぐい読んでしまった。
    13階段がとても面白かったので、読んでみたけど今まで知らなかったのが悔しいくらいこの作者さんが好きだ!

  • 今、この瞬間を切り取った先100年。
    ほとんどの人間は存在していない。

    それでも人は殺さずにはいられない。

  • 面白かった!!壮大なスケールのエンターテイメント&SF?ミステリー?

    ウイルス系と思いきや人類の進化をテーマに、人間の愚かさをジェノサイドという行為であぶりだした作品。
    ぐいぐいと引き込まれ、臨場感、迫力あるストーリ展開で、日本、コンゴ、アメリカとシーンが切り替わり、そのスピード感も楽しめます。そして、後半はハラハラドキドキ。どうなる?どうなる?といったところで、先を読み進め、とても楽しめる小説でした。
    そう、まるでハリウッド映画を見ているかのような小説でした。

    一点、とても残念なのは「反日」描写があちこちで出てくること。気持ちよいものではありません。韓国と日本の間の感情ふくめ、民族紛争の愚かさを味わらせるための技法なのか...でも、傭兵として描かれている日本人像もいやな感じが残りました。その辺の読後感がちょっとマイナス。

    さらに、あちこちでジェノサイド(大量殺戮)のシーンが現れます。とても残酷なシーンで嫌悪感を感じるところもありました。
    しかし、これに関しては、作品に必要なシーンだと思っています。
    そういった戦争、戦闘の悲惨さ残忍さと相反する形で、命を救うためにすべてをかける主人公たちの行為が引き立ちます。

    納得のベストセラー小説でした。
    きっと映画化されるのでは?と思います。

    さて、この小説を読んでいる最中に明らかになったエドワード・スノーデンさんの事件。
    アメリカ情報機関が電子メール含めてインターネットの情報を収集していた話。本作の中でも盗聴、情報解析が出てきますが、やっぱりアメリカってすべての情報を覗き見ていたのねって思いました!
    なんてタイムリーなときに読んでいたんでしょう(笑)

    ということで、残虐シーン、反日シーンありながらも、お勧め。
    映画ならR15指定だな。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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