100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

著者 :
  • 講談社
4.22
  • (1965)
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本棚登録 : 10822
感想 : 1383
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061272743

感想・レビュー・書評

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  • 最初に読んだ佐野洋子さんの本は、「役に立たない日々」という、強烈なエッセイだった。佐野さんが絵本作家とは知らずに読んだエッセイで、それがとても面白かったので、佐野さんの本職の絵本で、とても有名な本書を読んでみた。



    【ここからネタバレあります】
    絵本の感想を書こうと思うが、長いお話ではないので、感想だけで、ある程度、筋が分かってしまうと思います。ネタバレになります。

    絵本でも、普通の小説でも、本の読み方というか、ある本を読んだ時の解釈や感想は色々とあり得る。というか、それは当然に人それぞれ。
    私が、この絵本から受け取ったメッセージは、「他人(この本の場合は猫だけど)を愛することを知らない人生では、生きたことにならない」というものだ。100万回生きても、自分以外を愛せないのであれば、生きる意味がない。他人を愛することだけが人生の意味だ、というもの。
    そう思う。
    少し前に「モリー先生との火曜日」という本を読んだ。モリー先生はALSを患い、寝たきりの状態。自らの死期が近いことも知っている。それでもモリー先生は、大学の教え子であった筆者に、「人生に意味を与える道は人を愛すること、自分の周囲の社会に尽くすことだけ」と教え諭す。
    私にとっては、どちらの本のメッセージも同じだったし、どちらの本も感動した。

    自分の子供のために絵本を読んであげたことはあるが、大人になって初めて自分のために絵本を読んだ。
    もちろん全ての絵本がということではないだろうけれども、大人の読書に耐え得る絵本があることを知ることができたのは良かった。時に、絵本の方がよりシャープに心に迫ってくる場合もありそうだ。
    また読書の幅を広げることが出来そう。

  • 100万回生きて、100万回死んだのに、一人の飼い主も愛せなかったねこ。
    だけど、101万回目に、のらねこになって、はじめて自分のねこになったねこは…。

    誰かへの愛
    愛した誰かに愛される幸せ
    愛する誰かと寄り添う幸せ
    別れの哀しさ

    101万回目にして、ようやくこのような感情を知るねこは、とても愛おしく、とても哀しいです。

    けれど、それだけではなく、ねこの姿には、

    自己への愛や傲慢さ

    そして、

    愛されても愛せないこともあること
    愛しても愛されないこともあること
    束縛のない自由の身だからこそ得られるものがあること

    といった、ある種の真理が込められている気がします。

    ラストの一行には、きっと、ねこは、100万回もの間、心のどこかで孤独に探し求めていたものを、101万回目にしてようやく手にできたからなんだろうなあ…としんみり。

    きっと、もう、探す必要がないくらい、ねこは十分幸せで、そして、十分哀しかったのだったのだと。
    100万人の飼い主の気持ちに想いを馳せたかはわからないけども…。

    たった30ページなのに、本当に色々なことを思う絵本です。

  • 100万回生きて100万回死んだ猫の絵本です。
    王様の飼い猫、船乗りの飼い猫、サーカスの出し物、どろぼうの道具、おばあさんの飼い猫、色々な人生(猫ですが)を歩んできました。
    しかし彼のこれまでは単調で無感動なものばかりだったのです。
    遂に彼は野良猫となり自由を謳歌することになります。
    そこで運命の出会いがあり…。
    本当の意味で生きるとはどういうことかを描いた一冊。

    • りまのさん
      タンタンさん。
      私、自分の、この作品の登録のメモに、亡き愛猫ミイへの言葉を、忍ばせていました。。。
      タンタンさん。
      私、自分の、この作品の登録のメモに、亡き愛猫ミイへの言葉を、忍ばせていました。。。
      2021/03/03
    • 探耽(たんたん)さん
      りまのさん

      今はもう飼わないのですが、昔のペットを思い出すと涙しそうになることは多々あります。
      動物の本で連想するのでしょうね。
      りまのさん

      今はもう飼わないのですが、昔のペットを思い出すと涙しそうになることは多々あります。
      動物の本で連想するのでしょうね。
      2021/03/03
    • りまのさん
      はい
      はい
      2021/03/03
  • たった一人の人に出会う幸せを教えてくれる本。
    「愛おしい」の言葉の重みが増す。唯一無二の人に出会い、生まれ変わることを止めてしまった猫。その死に顔は安らかだろうか?きっと、そうに違いない。
     出会いには沢山のトライアンドエラーがある。傷つき、傷つけられ成長する。愛は技術ではない。

  • 100万回生き返っては
    様々な飼い主のもとで
    死んでゆく猫。

    あるときは
    一国の王の猫であったり、
    あるときは
    船乗りの猫。

    あるときは
    サーカスの猫であり、
    またあるときは
    泥棒の猫であったりと様々。

    飼い主たちは
    猫の死をひどく悲しんだが、
    猫自身は
    死ぬのなんか平気だった。

    あるとき猫は、
    誰のものでもない
    野良猫となり、
    やがて一匹の白い猫に恋をする…。



    愛するということ、

    好きになることの
    不思議さ。

    かけがえないものを失った時の空虚さ。

    人生の意味、

    誰にでもある
    言葉にはできない
    そんな感情や疑問を
    奇跡のように
    絵本の中に閉じ込めた作品です。


    もう今から20年も前になるけど
    子供が読むものと思っていた
    絵本を読んで
    衝撃を受けたのは
    この作品が初めてでした。


    愛する白猫が死んで
    猫が顔をくしゃくしゃにして
    最後に号泣する場面は
    今でも鮮やかに思い出せるし、

    これほど悲しい泣き顔を
    自分はそれまで
    見たことなかったんですよね…。


    繰り返される生の中では
    人との出会いは勿論、
    愛の存在さえも
    なんの意味も持たない。


    一度きりの人生だからこそ、

    愛が、

    人が、

    今ここにあるものすべてが
    輝きを増してくる。



    なぜ猫は最後に
    もう一度
    生き返らなかったのか?

    それは自分自身の人生を生き、
    誰かを愛することの意味を知って、

    何度も生き返ることの
    無意味さを理解したからだと
    自分は思っています。



    もう後悔はしたくない人、

    今の人生に迷ってる人、

    いつか終わりの来る
    人生から
    逃げてしまってる人、


    本当に1人でも多くの人に
    読んで欲しい作品です。


    子供のころ読んだ人も
    大人になって
    また読み返してみると
    また違う感想を持つだろうし、
    自分自身の答えが
    それぞれ見つかるんじゃないかな(o^-^o)

    • まろんさん
      これはもう、表紙を見ただけで泣いてしまう絵本です(>_<)

      どんなにかわいがられても
      どんなに贅沢な暮らしをしても
      いつもつまらなそうな、...
      これはもう、表紙を見ただけで泣いてしまう絵本です(>_<)

      どんなにかわいがられても
      どんなに贅沢な暮らしをしても
      いつもつまらなそうな、ふてぶてしい顔をしてた猫が
      初めて愛した白猫の死に
      身も世もなく泣いている、あのシーン。

      かけがえのないものを見誤らないように
      大切に、大切に生きなくちゃ、としみじみ思わせてくれる作品です。
      2012/05/23
    • 円軌道の外さん

      いやぁ〜
      ホンマその通りですよね!

      コレ自分にとって
      ホンマ大切な絵本なんです(^_^)

      愛する白い猫が死んで
      今ま...

      いやぁ〜
      ホンマその通りですよね!

      コレ自分にとって
      ホンマ大切な絵本なんです(^_^)

      愛する白い猫が死んで
      今まで人のことなんて
      ましてや自分自身のことも
      愛してなかった猫が、
      初めて誰かのために号泣する場面は
      本当に心に刺さりました(泣)(>_<)


      自分も初めて読んだ時に、
      絵本やのに
      こんなに考えさせられる話が
      あったんやぁ〜って
      かなり衝撃を受けたんですよね。

      ミュージカルにもなったし
      世界中で愛される理由も
      今では分かる気がします♪


      本や音楽って
      読む年代や
      そのときの心模様によって
      感じ方はガラリと変わってくるから、

      最初は意味が分からなくても
      何度も触れて欲しいって思います。


      2012/05/25
    • shuwachoさん
      円軌道の外さんの感想って本当にあたたかいですね。
      うちのちびちゃん達にはまだ難しいかなあって仕舞い込んでいる絵本なのですけど、また開いてみ...
      円軌道の外さんの感想って本当にあたたかいですね。
      うちのちびちゃん達にはまだ難しいかなあって仕舞い込んでいる絵本なのですけど、また開いてみたくなりました。
      意味がわからなくても、一緒に読んでみようと思います。
      2013/05/21
  • 100万回も死んで100万回も生き、100万人の飼い主と出会ったのに、誰のことも愛さなかったとらねこ。そんなとらねこもついに愛を見つける。
    愛する猫が死んだ時、今まで何人もの飼い主たちが自分の為にしてくれたようにとらねこは大声で泣く。とらねこは何かを感じる事が出来たのかな?その涙には100万人の飼い主への思いも入っていたのかな?ラストのページが意味することは?
    愛を知らなければ本当に生き、本当に死ぬことにはならないということだろうか。愛、深くて難しい。

  • 言わずとも知れた名作。
    解釈は人それぞれだけれど、大人になってから読んだ方が
    心に響きます。

    ブログにて詳しいレビューしています♡
    https://happybooks.fun/entry/2021/01/06/111204

    • りまのさん
      スティンキー*さん
      はじめまして。フォローありがとうございます。
      私はこの絵本が大好きで、今、枕もとに、置いて、眺めています。
      それでは、ど...
      スティンキー*さん
      はじめまして。フォローありがとうございます。
      私はこの絵本が大好きで、今、枕もとに、置いて、眺めています。
      それでは、どうぞよろしくお願いいたします♪
      2021/01/21
    • スティンキー*さん
      絵も素敵だし、いくつになっても心に残る絵本ですよね♪こちらこそ、よろしくお願いします。
      絵も素敵だし、いくつになっても心に残る絵本ですよね♪こちらこそ、よろしくお願いします。
      2021/01/21
    • りまのさん
      お返事早いですね。
      ビックリしました。
      (鈍いりまの)
      お返事早いですね。
      ビックリしました。
      (鈍いりまの)
      2021/01/21
  • 大人になって初めて絵本を読みました。

    「自分よりも すきなくらいでした」
    この文章がとても好き。

    無意義な人生を繰り返し、有意義な人生を送れたことで生き返らなかったのかなと思いました。




  • 中古購入

    ワタクシ鈍いものですから
    なんでこの絵本が名作といわれてるのか
    理解できず好きではなかった
    また2人で生きればいいのにと
    意味が全っっっ然わかっていなかった
    その時の気持ちが強くて
    その後もいろんな場所で見かけたが
    手に取ることはなかった

    そして大人になって絵本を買い漁る日々
    あの時は子どもだったからわからなかったけど
    今ならわかるかも
    …この年でもわからなかったらどうしよう
    そんな不安と古本屋での値段の高さに
    (ケチですみません)
    後回しになってたものをついに購入
    古本屋でビニールに入って売っていた
    中を確認したかったけど
    ビニールに入れるくらいだからキレイなのだろう
    そのわりには他店より安かった
    ちょっとドキドキしながら開封すると
    なんと佐野洋子さんのサイン!
    それを他店より安くするなんて
    基準がよくわからない
    サインにはもとの持ち主の名前はなしで
    中もキレイだったし
    とてもラッキーだった

    何十年ぶりに改めて読んでみて
    なんでこんな簡単なこともわからなかったのか…
    小学生の私は長い話を読めなかったので
    集中して話を読み取ることができなかったのだろう
    あとは初恋が幼稚園だった惚れっぽい私には
    人を好きになったことがないという
    このねこの気持ちが理解できなかったのだ
    そんなに泣くほど好きになったのだから
    今こそ喜んで生き返る時だと思ったのだ
    白いねこは生き返らないという
    「死」というものも
    やはりわかっていなかったのだろう

    ああ でもアホでよかったのかもな
    でなきゃこのサイン本に出会えなかったし
    本当はご本人からもらうものだけど
    捨てないで次に繋げてくれた
    もとの持ち主に感謝したいと思う

    • hs19501112さん
      捨てなかった点はあっぱれですが、
      佐野洋子さんのサイン本を売りに出すなんて・・・信じられないです(苦笑)。
      捨てなかった点はあっぱれですが、
      佐野洋子さんのサイン本を売りに出すなんて・・・信じられないです(苦笑)。
      2017/12/13
    • えほんのむしさん
      初めまして、こわばんは。
      私も売りに出すのは信じがたい派です。
      でも私自身が親に絵本を勝手に処分されたもので、その人も自分の意思ではなか...
      初めまして、こわばんは。
      私も売りに出すのは信じがたい派です。
      でも私自身が親に絵本を勝手に処分されたもので、その人も自分の意思ではなかったかも?
      いやそこまで考えないで、絵本はもう幼稚っぽいからと売ってしまったのか?
      古本はこんな想像して楽しむこともあります。
      hs19501112さんのもとに来た絵本たちは幸せですね!
      2017/12/18
  • 「いなくなれ、群青」を読み始めたら、青年の名前に使われていて、図書館で再読してみた。おおよそ記憶通り。猫は、白猫を好きになって「100万回生きた猫」と言わなくなった。そして白猫と家族になった。ちゃんと愛してたよ。
    他の作品に登場する程ポピュラーになってってびっくり。トリビュート本が出版されてて、又、びっくり。

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐野洋子の作品

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