限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061315310

感想・レビュー・書評

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  • 学生の時に読んで以来、ン十年ぶりに読み返した。
    細かいことは何も覚えてなかったのだけど、空気感とか匂いみたいなものが読んだときの記憶としてよみがえってきた。
    そういうのを漂わせる小説なんだと思う。

  • 難解すぎる…
    今まで読んだ純文学でいちばん意味不明だった。ドラッグとセックスを繰り返す退廃的な日々。を過ごす若者たち。の、再生とか希望も特にない日常が主人公リュウ目線で淡々と描かれている。

    家族も仕事もない人たちの荒れ果てた日々がとても苦しい。家の描写とか米兵との乱行パーティの様子とか、本当にオエってなった。文章すごい。
    解説読んだら「現実シーンで非現実を感じ、非現実シーンで現実を感じる」ってあって、たしかにリュウのどことなく他人目線というか第三者として自分や周りのことを語るのは印象的だったなと思った。 
    でも「黒い鳥は現代社会の示唆で」みたいなのは何で?!ってなった。笑 なんで?!笑 なんでそうなる?!

    リリーという謎の女とも、オキナワやレイコやモコやらドラッグセックス仲間とも、リュウは分かり合えていたのか?こういう人たちにとっての絆って何?

  • 村上龍先生のデビュー作にして第19回群像新人文学賞受賞作品、第75回芥川賞受賞作品。

    ドラッグやセックス、暴力といったショッキングな題材や、それらに溺れ退廃していく若者たちを描いた作品でありながらにして、感情移入の全くない潔癖な文体で描ききった点や、詩的表現で世界を描写している点は読む前に聞いていた本作の優れた点である。実際に読んでみると、確かにそれらの点に圧倒的に引き込まれた。
    特に印象的であったのは、70ページ~73ページにかけて語られるリュウの頭の中で作り上げられた宮殿や都市の件であった。この件や感情移入のない語りから、リュウは内向的で現実に対して空虚な人間であると思えた。何のために生きているのかなどといった人生の行先がなく、ただドラッグやセックス、暴力などの刺激に溺れその場しのぎ的に生きている。しかし、歳を取って社会で生きていく以上、そんな生活には限界がある。作中で語られる巨大な「黒い鳥」の正体とは、その「ただ生きる」ことを許さない社会ではないだろうか。それも右肩上がりの社会ではなく、伸びきってしまったパンツのゴムのような、救いようのない社会ではないだろうか。
    タイトルでもある「限りなく透明に近いブルー」は正にリュウの社会に生きた証といったところだろうか。空を映しているガラスの破片。そのようになりたいというリュウ。即ち、空(=社会)を透明に(=参画することなく)映す(=ただ存在する)存在になりたいということではないだろうか。しかし、完全な透明(=無)ではなく、ブルーが混じっているのは、それこそがリュウのささやかな存在証明なのあろう。

  • 最初読んだときはドラッグ決めたらこんな感じなのかなと思うような、若干の悪酔みたいに頭がグラグラする文章だなと感じた。
    自意識の感じとか、タイトルの透明感とか真逆だと思った。
    大学生になって読んだ時は最初に読んだ時ほどの、嫌悪感みたいなものはなかったものの、やっぱりぐわんぐわんする感じは消えなかった。
    二回も読むものじゃないな、と思いつつも不思議な引力がある本。

  • 台詞と描写が交わり読みづらかったし、性的な場面は個人的にあまり好ましくなかった。ただ後半読み進めていくに従ってこれは詩的描写が大いに含まれているのだと思った。そういう面で捉えれば興味深い作品であるし、学ぶところもあると思った。性的な部分の混沌はまるでジョルジュ・バタイユの眼球譚を思い浮かべた。まるで夢の中を見ているようなそんな気分にさせてくれる。村上龍の弱冠24歳で紡がれた業界を賑わした新人賞でありまた、芥川賞でもある作品。人生のうちに一度は読んでおきたい作品かもしれないし、瑞々しい新鮮な描写は勉強になるな、と思った。

  • 村上龍の文章は、綿矢りさの言う通り、その暴力性が故に美しい。
    少しずれるのだけど、やはり作家はすごいなぁ。心にもやっと浮かぶ感情のような、感動のような、なんだかよくわからない脳の反応を、言葉によって表す。テレパシーの使い手だなぁ。

  • 20代のころ村上龍作品をたくさん読んでいた。暴力/エロ/快楽/思想/アルコール/麻薬/狂乱/パーティーなど刺激的な要素が盛りだくさんで、まだ子供で田舎者だった自分にはワクワクドキドキするような内容の話が多かった。
    けどデビュー作である本作は何故か手に取っていなかったなぁ~おそらく当時の僕は映画化されたのも知っていたし話題作だったのも知っていた。けれど題名が琴線に触れなかったんだろうと思う。
    見城徹氏の「読書という荒野」で紹介されていて興味が湧き、今更ながらに読んでみるとバブル期の退廃小説のような印象を受けたが、時代的には70年代半ば頃の安保闘争や学生運動やベトナム戦争などの残滓が残る時代の話なんだよね。バブルより一昔前なんだな…そんな時代の大音量で騒々しく破天荒な青春を謳歌する仲間たちとの日常に、熱を持たない主人公が漂っているような、そんな印象を受ける作品でした。目に映るモノ、感じるモノを文学的な言葉で描写する能力には非凡な才能を感じるし、現世と幽世を行き来するような理解の難しい感性に魅力を感じる作品でした。
    面白かったです。

  • P42まで読みました。次に読む気になったらここから…

    芥川賞を取った作品なのと薄いので読んでみたけれど、のめり込めなかった。

    セリフを「カッコ」で囲んでいるのと囲んでいないのの違いが気になりました。

    この内容をこんなに細かく描写?書けるのは、村上さん経験者・・?と思った。

  • 透けて見えないみっしりとつまった空間。
    一秒が数日にも感じられるような密度感。
    だが実体は空虚で儚く、霧散して残らない。

  • 放蕩をひたすら文学的表現で綴る。
    龍は好きだが、ただキ◯ガイが乱れた生活を送っているだけにしか思えなかった。
    それでも、不思議と読ませられてしまった。
    これこそが筆力なのだろうか。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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