限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061315310

感想・レビュー・書評

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  • 1976年上半期芥川賞受賞作。選考委員たちは、その完成度にはやや戸惑いながらも、概ね高得点を与えている。それだけ未知の文学としての期待度が高かったのだろう。まず、タイトルはこれぞ芥川賞に相応しいというくらいに秀逸だ。また、エンディングに近いあたりのガラスの破片に映った「透明に近いブルー」のイメージも鮮烈。物語の場として横田を選んだのも成功しているだろう。その一方で、小説の中身はというと、ドラッグとセックスと無意味な暴力の氾濫である。素材としての目新しさが売り物の、一種の風俗小説の一歩手前といったところか。この小説は、通俗性との接点にあるが、それでもやはりその斬新さは芥川賞の歴史に残る1篇ではあるだろう。

  • 昔1度読んだ時、もう2度と読むかと思いました。SEX、ドラッグ&rock’n’roll。歳を重ねあの時代を勉強した今ならわかります。今、村上龍さんに影響を受けた人が多いのもうなずけます。ただこのキーワードを見て拒否反応を起こす人は見るのは絶対やめましょう。傑作ですが意味がわからなく今の時代から見るとひどい描写が多いです。わかる人だけの小説では?

  • 古めかしく言うと、過激な青春小説か

  •  最新作を読んだ後に、処女作を読むと、小説の密度の違いに驚く。このころは社会のひずみを訴えようとはせずに、ただ自分を描き続けて、うるさい描写はない。強烈な性描写ににドラッグがまとわり続けるけど、感情を排して淡々と進められる物語は静かさがある。と思ったら、解説でも、そう書いてあった。「ここにあるのは、ただ、見ること見ることへの異様に醒めつづけた情熱である」。中毒性がある小説。

  • 村上龍ワールドにハマった一冊。

  • ただアレなだけの本かと思ったら、そうではなかった。
    退廃的に堕ちていくんだけど、頭のどこかでは何かを熱望してるみたい。ずっとピントがずれていたのがいきなり細部まで鮮やかに見えるようになったり、途中で時間がゆるやかになったり溢れ出したり。

    後書きにあるように、それを遠くで眺めている視線だから、静謐で切ない雰囲気なのね。

  • 生きてる世界が違いすぎるある意味ファンタジーな小説。
    まるで当たり前かのように繰り広げられる非合法的な行いは、登場人物にとって切なくなるほど生きる糧になってしまっている。
    明日がくるたび落ちて行くことしかないストーリー。

  • 麻薬と乱交パーティしか描写のない最初の50ページを過ぎたあたりから止まらなくなった。
    解説を見て納得した。没主体性。それだ。
    非現実感と現実感。「僕」と「他者」。
    そんな感じ。

  • ボクの人生観を一気に変え切ってくれやがった作品。読みながら圧倒的な解放感を味あわせてくれるのは、村上龍しかいないと思う。名台詞も多いので、時間があったら、引用もしたいと思う。心の本ベストワンから下がることは恐らくないと思う。

  • 村上龍の小説を読んでいると、吐き気がしてきそうなきがして、だけどそこがよかったりするのだが、この作品は、吐き気がしそうどころか、吐き気そのものだった。

    暴力的な描写の羅列に何度も読むのをやめようかと思ったが、なんとか読んだ。読んでよかった。若者の喪失感やら絶望感の描写が、なんとも絶妙だった。暴力的なシーンがあったからこそ、それが際立っていた。主人公が発狂しそうになるところもよかったな。

    • るるるさん
      初めてコメントいただきました。ありがとうございます。
      表現はグロテスクでも、読み終わったあとは、タイトルの通りさわやかで、ただただよかったで...
      初めてコメントいただきました。ありがとうございます。
      表現はグロテスクでも、読み終わったあとは、タイトルの通りさわやかで、ただただよかったです。
      2012/09/07
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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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