「複雑系」とは何か (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061493285

感想・レビュー・書評

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  • カオスを軸に複雑系を説明している本で、人工生命や感染伝搬モデルなどの話はとてもおもしろかった。
    また、この本にはカオスに貢献した科学者の名前が多く出ているので、知識の機会を広げるのにも良い本です。

  • 読了メモ。吉永良正『「複雑系」とは何か』。混沌を混沌のまま捉え、そこに秩序を見いだそうとする試み。その理論を歴史や伝記、平易な文章により最後まで面白く読める。これを知って色々考えると、世界は、魅力に溢れているように“見える”。

  • 複雑系入門書。
    基礎知識のない自分には若干難しく思えた。
    やたら哲学系の話が展開されていた。

  • タイトルの問いの答えは結局曖昧のままだった。

    従来の科学的な手法=要素還元的な手法では解明できない系の全体としてのふるまいについての研究ということでいいんだろうか。だとすると、アメリカ型の複雑系研究者が目指す、一見複雑な系のなかに単純な法則を見いだすという方法が、従来の手法とどうことなるのかよくわからない。しかも、複雑なものを複雑なものとして捉えるという日本型の研究との関連を考えだすと、なおさら曖昧になってくる。そのなかで、複雑系という学問領域が他の学問領域と区別されてのはいったいどこなんだろう。そしていろいろな研究が同じ複雑系としてくくられているのはどんな共通点があるからなんだろうか。そういうところがあまり見えてこない。

    とはいえ、なにか新しいことをしてるんだ、ということは、理屈ではなくて感覚としてはわかる。その体系化されていない中に手探り状態で分け入っているという感じが、複雑系という学問になんとなく期待を抱かせる。複雑系が一時期もてはやされたのは、そういう期待感だったんだろうと思う。いまはすっかり下火になったけれど、研究自体はまだまだ続いているはずで、いまの最先端がどんなところにいっているのかはちょっと知りたい。たぶん、聞いてもほとんどわからないのだろうが。

  • Bookoff100円。
    入門書と銘打ってあるが、インパクトはやや薄い。
    サンタフェ研究所はそれ自体が複雑適応系(砂上の楼閣)である。
    物理学者はニュートン力学で天体問題を実験室内のきれいな二体モデルで解いたが、現実はもっと幅広い。
    上記二点が心に残りました。金子邦彦さんの本も読んでみようか?近くの図書館にも1冊ある。

  • 2005年ごろに一度読んだことがあったが今回再読。複雑系についての「読み物」と考えたほうがいいでしょう。数学的な記述はされていないのでむしろ哲学的といったほうがいいか。章立てがプルーストを模しているので、なんとなくイヤラシイ。

  • 「複雑系」とは自生的秩序や自己組織化と言った用語に見られるような、(いろんな言い方があると思いますが)要するに「トップダウン的な単純現象としてのいわゆる『組織』と相対的に区別された、ボトムアップ的な複雑現象」をそのあるがままに探求する学問としてとられていいのでしょうか。

    その具体例として「人工生命」など様々な例が挙げられてますが、やはり抽象的だなという印象が否めませんでした(「パイこね変換」や「ライフゲーム」の話はとても楽しめました)。筆者自身プロローグにおいて、主要な関心は「実利的関心というより哲学的関心、それが言いすぎなら理系的というより文系的関心である」と述べています。

    様々な見解があるかと思いますが、筆者の「真に求められているのは、蒙昧で神秘的な全体論などでは断じてなく、『非線形還元論の図式』とも呼ぶべき、要素的過程から全体的特性を導出するための新しい論理形式の構築なのである」という言葉を信じて?これからの複雑系科学の発展を密かに見守っていきたいと思います(と言っても10年も前の本ですが‥)。

    哲学、数学、科学など様々な分野のやたら難解な用語がやたら飛び交うこの本を、よく分からないながらも(特に第5章に至ってはほとんど意味不明)読み終えることができたのが何よりの収穫かもしれません。消化不良でレビューも評価もまともにできませんが‥。
    (2006年03月30日)

  • [ 内容 ]
    二十一世紀を解く最大のキーワード「複雑系」。
    生命、自然、物質、社会、経済。
    あらゆる事象を取りこみ展開していく新たな「知」のパラダイムとは。
    最先端科学の現場にあなたを誘う恰好の入門書。

    [ 目次 ]
    プロローグ 失われた「世界」を求めて
    1 「複雑系」のほうへ(「複雑」とはどういうことか
    いま、なぜ「複雑系」なのか)
    2 花咲く「複雑系」の影に(「複雑系」のフロンティア
    人工生命の複雑な未来
    コンピュータの中の遍歴)
    3 囚われの科学、逃げ去る自然(「科学」とは何であったか
    秩序と混沌のはざまで)
    エピローグ 見出された「世界」

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  • ゼミで使用。

  • 2010.6.1

    複雑系とは何か?
    著者は近代科学(決定論と確率論)から「カオス」と「自己組織」のパラダイムシフトだと捉えている。

    理系の用語が分かってないのは自分のせいだけど、プラトンやら、ハリウッドやら、引用と例があんまり分かりにくくて理解を妨げている気がする。妥当性あるのかも微妙。

    10年前に書かれた本だけど、今はどうなってるんだろう?

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著者プロフィール

1953年生。京都大学理学部および同大学文学部哲学科を卒業。大東文化大学文学部准教授(哲学・論理学)。サイエンスライターとしても活動。『数学・まだこんなことがわからない』(91年度講談社出版文化賞科学出版賞)、『「複雑系」とは何か』(講談社現代新書)など多数。

「2011年 『神が愛した天才数学者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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