動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)
- 講談社 (2001年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061495753
感想・レビュー・書評
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「動物化するポストモダン」東浩紀著、講談社現代新書、2001.11.20
193p ¥735 C0236 (2019.04.30読了)(2014.07.19購入)(2012.08.24/25刷)
副題「オタクから見た日本社会」
【目次】
第一章 オタクたちの疑似日本
1 オタク系文化とは何か
2 オタクたちの疑似日本
第二章 データベース的動物
1 オタクとポストモダン
2 物語消費
3 大きな非物語
4 萌え要素
5 データベース消費
6 シミュラークルとデータベース
7 スノビズムと虚構の時代
8 解離的な人間
9 動物の時代
第三章 超平面性と多重人格
1 超平面性と過視性
2 多重人格
注
参考文献・参考作品
謝辞
(「MARC」データベースより)amazon
いま、日本文化の現状についてまじめに考えようとするなら、オタク系文化の検討は避けて通ることができない。コミック、アニメ、ゲームなどオタクたちの消費行動の変化から現代日本文化を読みとってゆく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ポストモダンをオタク文化をモチーフに読み解く。ただのアイディアだけではなく、だからこそ見えてくるより複雑な社会的表層を見事にくみ取っている。まさに東的仕事だと感じた。
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いまさら読んだ。書かれてからわりと経つけどデータベース消費の理論はいまなお有効だしあらゆることにいえる。終盤のインターネットの話はちょっと学生のレポートを読んでいるような気がした。
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見田宗介、大澤真幸ら、気鋭の社会学者の言う理想の時代、虚構の時代という枠組みは、よく理解できる。
だが、オウム事件や阪神大震災以降の大澤真幸の言う、不可能性の時代というのは、非常に、解りづらい。
その点、この東浩紀の言う、オタク社会から切り取った動物化という概念は、大澤の持つ熟慮や深みには欠けるが、非常にわかりやすい。
久々に、読書の醍醐味を、少し味わった。
古い世代に向かって語ると、この東のデータベース、シュミクラールという議論は、
丸山真男の「日本の思想」のササラ文化、たこつぼ文化に相通ずる。
問題は、人間は、やはり、物語を必要とする。
時代は、どう進むかだ。
また、大きな物語が終焉後、人々が、大文字を語り出したのには、関連性があるのであろうか?
残念ながら、90年代にTVを賑わした多重人格は、現在の心理療法の世界では、眉唾ものであり、本気には、取り上げられていない。
乖離性障害というのは存在するが、
あのTVの世界の人々は、無意識的にか、誰もが赤ちゃん、お母さんとわかるものを演じ、TVを見ている者は、それを通して、その背後のお母さんという大きな物語を了解し、多重人格という物語を紡ぎ出したに過ぎない。
大きな物語は、消滅したが、人々は、派遣と言えば劣悪な環境というイメージを抱き、新たな無数の小さな物語を語り出す。
ここには、人間の脳の機能が関係している。
人間の脳は、単なる事実の羅列よりも、ストーリーとして捉えた方が、記憶に定着しやすく、理解が進むのである。
続編を期待して読むことにしよう。 -
00年代の古典?
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「データベース消費」なる語をあちこちで見かけ始め、なおかつ「大きな物語が存在し得ないポストモダン」みたいな言説に「じゃあ現代とは?」と思っていた中で、格好の本だった。
最後の一文によく現れているように、これを受けて、まさに今を生きる人々が、それぞれにそれぞれの眼前の課題をどう認識するか、という問題なのだと思う。 -
動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)
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オタクと日本のあいだには、アメリカが、存在する。
読んでいて、面白い。
非常に解りやすい言葉、文章で書かれているが、非常に重要な事を述べている。 -
再読。2001年の本で、前読んだのは2007年なので、実に11年ぶり。
9動物の時代のところにある、
○近代
小さな物語(小さな共感)から大きな物語(大きな共感)への遡行
○ポストモダン
シミュラークルの水準における「小さな物語への欲求」とデータベースの水準における「大きな非物語への欲望」
と変化という辺りが肝だと思う。
前読んだ時はオタク評論って面白いなあ、時代を説明するんだなあ、とかそういう感じの印象だったけれども、今読み返すと、ポストモダン後の新しい哲学のようなものを模索するような内容であることが感じ取れ、現在の東浩紀の取り組みに繋がっていて大変凄いなと思った。
割と現在は日本社会、というか人類社会は近代文明の行き詰まり的な感じの状態で、ブレークスルーに向けた過渡期のような本だと思う。
思うばかりで大変申し訳ない。