日本精神分析 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061598225

作品紹介・あらすじ

芥川、菊池、谷崎の短編小説を手がかりに、帝国、ネーション、代表制民主主義、通貨、天皇制、日本文化、などの諸問題を根本から問い直し、それらを超克する可能性を示す、平易にして透徹した論考。

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740599

  • おもしろい。言葉のこと、国のこと、選挙や政治のこと、地域通貨のこと、本書ではこれからの社会に対していろいろな問題提起がなされている。ただ、題材に選ばれているのは、大正時代に書かれた三つの短編。その中で、菊池寛による「入れ札」がおもしろかった。無記名投票で代表者を選ぶとき自分の名前を書いて後ろめたさを感じている人物がいる。その人に票を入れたのは一人だけ。それは自分自身。後で、自分のことを最も信頼してくれていると思っていた後輩からこんなことを言われる。どうして皆あなたに投票しなかったのだろう。私一人しか票が入っていないなんて。しかし、その一票が、自分で入れたものと知っている本人は、その後輩に対して、うそつきやがってと腹は立つけど、何も言い出せない。どうしてこんな状況を思いついたのか。よく考えてみると、民主主義の中心になっているはずの選挙にもいろいろな問題がありそうだ。民主主義自体にも問題はあるけれど。しかし本書を読んでいると、柄谷さんは、よくまあこれだけ著名人をけなすことができるなあ・・・と思ってしまうのは私だけでしょうか。

  • [ 内容 ]
    芥川、菊池、谷崎の短編小説を手がかりに、帝国、ネーション、代表制民主主義、通貨、天皇制、日本文化、などの諸問題を根本から問い直し、それらを超克する可能性を示す、平易にして透徹した論考。

    [ 目次 ]
    第1章 言語と国家
    第2章 日本精神分析―芥川龍之介「神神の微笑」
    第3章 入れ札と籤引き―菊池寛「入れ札」
    第4章 市民通貨の小さな王国―谷崎潤一郎「小さな王国」

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 柄谷さん初めて読みました。エッセイや講演集なので奥行きはそれなりなんですが、ラディカルな話がたくさんあった。

    ・言語と国家(ネーションについて)
    ・日本精神分析(芥川や言語を題材に、ナショナリズムや対外性について)
    ・入れ札と籤引き(菊池寛の作品から、選挙制度について)
    ・市民通貨の小さな王国(谷崎潤一郎の小さな王国から、資本と経済の在り方について)

    の四章。

    心に残ったのは

     カナや文字は外来だし、今もそう認識されているが、ヨーロッパなどはキリスト教は外来でも自国のものとして染まっている。
    日本は借り物で構成されているのではなく、他国の文化に去勢されるのを拒否してきた。

     現在の選挙制では、秘密な分責任も曖昧で、買収や利権関係も起こる。
    選挙+抽選の提案。

     資本よる搾取や、プルードン、リカード、マルクスへの見解を並べた上で、家族や古来の共同体にある互酬性、倫理を内包出来る非市場的な性質を持ちつつも、市場を維持(揚棄と言っていますが)出来るものとして、地域通貨を提案。

    などでした。
    現在の選挙制や資本の批判はいくらでも聞くのですが、右左に頼る事無く、しかも具体的なレベルで提案してくる(流行の新書の様な押し付けもなく)所や、地に足のついた考え方にはとても感心しました。

  • 955夜

  • 柄谷 行人 ってなんか読まず嫌いだった。むつかしそうだし。
    でも、これは面白いです。それに反骨です。
    日本には民主主義なんて存在しない、ということが、わかってしまって恐ろしい本でもあります。

    国家とは、言葉とは、自己とは、権力とは、民主主義とは、と、少しでも考えたことのあるすべての人におすすめできます。
    理想的な社会をつくるには、どうしたらよいかを考えるための参考書でもあります。

  • 読みやすくておもしろい。

  • 最近はまっている、というか自分の頭で考えても進むべき未来はこの方向ということをある人にいったら、進めてもらった著者柄谷行人の著作本。確かに近い思想をもっていることを感じさせる。この本は文学評論という形でやはり未来を見据えたひとつの視点を提示してくれている。実家へ

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著者プロフィール

1941年兵庫県生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学大学院英文学修士課程修了。法政大学教授、近畿大学教授、コロンビア大学客員教授を歴任。1991年から2002年まで季刊誌『批評空間』を編集。著書に『ニュー・アソシエーショニスト宣言』(作品社 2021)、『世界史の構造』(岩波現代文庫 2015)、『トランスクリティーク』(岩波現代文庫 2010)他多数。

「2022年 『談 no.123』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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