検屍官 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061850699

感想・レビュー・書評

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  •  このところ読み始めたいわゆる3F小説、これもそのひとつ。検屍官ケイ・スカーペッタが主人公。検屍(視)官というのは殺人現場には必ず出張ってくる人だが、それが警察小説の主役になることは珍しい。直接の捜査権はないのかもしれないが、それをいえばリンカーン・ライムにしたって同じことだからいいのだろう。キンジー・ミルホーンではあまり感じなかったが、こちらは女性であるがための偏見や不利がところどころに出てくるあたりが3Fたる所以だろうか。そんななかで当のケイは嫌っているが、相棒?のマリーノ部長刑事がなかなかいい味を出していて、こちらを主役にしてもいいくらい。事件は若い女性の連続猟奇殺人で、周辺の関係者が怪しげだと疑われる。検屍官らしく化学的な手がかりから真犯人が割れるのだが、意外というか普通というかでちょっと拍子抜け。事件の凶悪性が生かされてなく、ストーリーはいまひとつだが、これも次作に期待だな。

  • 指揮官がいない、個人プレーの集合体。
    みんな見てる方向が違って、求めているものも違う。
    絡みあいながらそれぞれの結末に行きつくのだけれど…指揮官ほしいよね、まともな指揮官。

  • やっぱダメ

  • 2029.6.17読了

  • 世界的ベストセラー作家が1990年に発表したデビュー作。今では30作以上の作品が翻訳され、固定ファンをしっかりと掴んでいるようだ。女性検屍官を主人公とするコーンウェルの代表的シリーズ、という前知識だけはあった。以下は本作のみを読んだ上での取り留めのない〝感想〟に過ぎない。他の作品がどのようなものかを把握していないため、誤読/曲解があるかもしれない。

    一読しての印象は、意外と実直な筆致で、ヒロインに派手さもなく地味目。肝心のストーリーは、起伏が乏しく、エピソード類が弱い。出版当時、注目されていたDNA鑑定などの科学的捜査や、作者が得意とするコンピューター関連の用語などを事細かく盛り込んでいるのだが、結局メインプロットに絡むことはない。構成は緻密さに欠け、全体的に散漫。検屍官として鋭い分析をする訳でもなく、殺人者に繋がる手掛かりの発見は、思い付き程度。さらに、処女作にしてミステリの〝基本原則〟を堂々と破っている(実際、これが〝真犯人〟かと驚いた)のは潔いが、さっぱり効果を得ていない。そもそも、ほぼ単独且つ動的に検屍官が事件を解決する設定に無理があるのだが、次作からはどう着想しているのだろうか。

    核となる連続殺人の真相を追う過程がなかなか進展しないため、主人公のメンタル面に興味が移り、本筋が霞んでいく。彼女は様々な悩みを抱えている。それまでは男の牙城であった仕事に対して上司や刑事から受ける性差別、報道機関へのリークを先入観のみで疑われるという焦燥。そして、関係を深めた検事の男が、実は殺人者かも知れないという疑惑。〝女性〟としての立ち位置が、常に物語の軸となっている。
    コラムニスト香山二三郎は「本シリーズの人気は〝四F現象〟(主人公はもとより、作家も訳者も読者も皆、女性=FEMALE)と連動している」と述べているが、多分その通りなのだろう。ターゲットを絞り、ニーズに応える。大半を占めると思しき女性読者に対し〝理想〟となるような生き方/ライフスタイルを提示し、ヒロインへの強い共感を得る。これは、いわゆる〝ハーレクイン〟界隈に通じるものだが、基調となるミステリ/サスペンスまで〝甘い〟のでは元も子もない。離婚して、現在は〝ハンサムなエリート検事〟と恋愛関係にあるというのも、定型に倣っているとはいえ新鮮味が無い。
    ハードボイルドの分野では1980年代にサラ・パレツキーやスー・グラフトンらによる〝女探偵〟のムーブメントもあったが、いわばマチズモの対立軸として強調したタフネスと、本シリーズの主人公のスタンスは違う。要は、等身大で生きる現代の女性が、さまざまな差別、ジレンマをどう乗り越えていくを、よりリアルに描いているということか。ミステリというよりも、昨今定着したジェンダーの視点から読み解くことも可能だが、あれこれと考察できるほど、本作は深くない。

    コーンウェル自身の解説を読むと、出版に漕ぎ着けるまで相当苦労したようだ。MWA新人賞受賞などにより一気に注目を浴び、以降は安定した息の長いシリーズ化に成功している。
    初めて手にした海外ミステリが本作というケースも多いだろう。高評価を与える読者もいるだろう。けれども、有名な賞をとっている作品がこの程度なら、海外ミステリなんてつまらない、と落胆する読み手もいるだろう。つまりは、読み手の経験と相性次第なのだが、本当に面白い〝ミステリ〟とはこれではないと私なら助言するだろう。無論、世間一般で売れている〝読み物〟に触れたいならば、この限りではないが。本作は、コーンウェル最上の作品ではないかもしれず、どこかで〝大化け〟しているかもしれない。ただ、もういいかな、というのが私の結論となる。

  • 女性検屍官が解決していくミステリー。話の展開は早く、捜査妨害をする上司の出現も女性であることを特別視する刑事も、それぞれに個性的で読んでいても飽きない。だが古色蒼然としているのは、コンピューターと電話回線を使ったデーターベースへのアクセスとか、ちょっと今考えられないよねという設定である。この作品は1990年に出版されており、この時点での最新の設定なのであろうが、そこから30年、情報通信網は恐るべき進化を遂げていることを思い知らされる。

  • 蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか

  • unkown ,2007/1/11 read up

  • 恐ろしいものに手を出してしまった…。
    またもシリーズもの。
    しかも読み始めてからちゃんとチェックしたら24作も出てるという。

    *****

    検屍官シリーズ1作目。
    主人公はケイ・スカーペッタ。
    女性ばかり狙った残虐な殺人事件が続いていており、市民は脅える毎日を送っていた。

    *****

    読み始めて最初に思ったこと。
    登場人物紹介の名前一覧表でトップが主人公じゃなかった。
    一瞬主人公が違う人だったのかと思った。
    こういうのって面白い。
    私が読んだのが古い版のだから???
    今度書店で新しく出ているものを確認しよう…。

    主人公のケイは美人で仕事もデキル女。
    自分の仕事、事件を解決する糸口をそこから見つけ出し、被害者の無念を晴らしてやりたい、そんな気持ちが強いので時には周りと火花を散らすことも。

    刑事のマリーノを筆頭にキャラクタはなかなかバラエティ豊かで良い。

    事件はとても気味が悪く、確かに自分の住む地域でこんなことが起きたら怖くて落ち着いて眠れないなと思う。

    犯人はあの人?あの人なの??と勝手に色々思わせられていたように感じていたけれど、全然違う人だったので単純にぽかんとした。
    いや、でも、面白かった。

    姪のルーシーはまた出てくるのかな。
    賢く、多感な時期のルーシー。
    ケイとこれからも仲良くいて欲しい。

  • 昔好きだったシリーズ、急に懐かしくなって再読。
    改めて読むと時代の流れを感じさせる。
    でも自分が歳をとった今の方が主人公に親近感をもって読むことができた。
    最近薄い本ばかり読んでいたせいか、読むのに思ったより時間がかかってしまった。

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著者プロフィール

マイアミ生まれ。警察記者、検屍局のコンピューター・アナリストを経て、1990年『検屍官』で小説デビュー。MWA・CWA最優秀処女長編賞を受賞して、一躍人気作家に。ケイ・スカーペッタが主人公の検屍官シリーズは、1990年代ミステリー界最大のベストセラー作品となった。他に、『スズメバチの巣』『サザンクロス』『女性署長ハマー』、『捜査官ガラーノ』シリーズなど。

「2015年 『標的(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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