頼子のために (講談社文庫)

著者 : 法月綸太郎

• 講談社 (1993年5月6日発売)

感想・レビュー・書評

[D-Rinnさんの感想 · 2018年3月15日]

テーマに対して文章が軽いかなぁ。逆にどんどん読み進めて引き込まれる魅力はあるけど、もっと心底憂鬱になる重みが欲しいくらいのテーマだと思った。
ラスト真相に向けて二転三転する手法は好き。

頼子が道路に飛び出した理由のところは、やり切れなさが込み上がってきて心からキュッとさせられた。愛情のトライアングル。全てを理解して一手に牛耳っていたのは実は。。。的なラストは二時間サスペンス的な安っぽさ感じちゃったなぁ。そこまでの持ってき方かなぁ。

[skynetさんの感想 · 2018年3月1日]

何とも後味の悪い結末。残された手記を元にして、新しい事実を見つけ出していく過程は面白いのだが、主人公の軽い雰囲気に反してラストの重さはどうなんだろう。
ネタバレしないように説明するのは難しいが、誰も幸せにならないし、主人公が重要人物が自殺するのを止めずにそのままにするのも、どうしても共感できない。
そして本当の真犯人。そんな感情を抱く人が居るのだろうか。意外性のあるラストではあるが、すっきりはしないかな。

[ycmさんの感想 · 2017年12月27日]

読みやすいしワクワクするし面白いんだけど、終わり方が…。いやミスと言われてる物も復讐モノも好きなんだけどな〜これはダメだった。ある意味ちゃんと復讐なんだけど。読み終わった後の嫌な気分がすごい、無理！！あと探偵のキャラも好きになれん。

[lonelyrunnerさんの感想 · 2016年3月13日]

文体は読みやすく、謎解きとしてもまあまあ。ただ終盤の解決編は今ひとつ。後味も悪いし、もう少しいいまとめ方があったのでは。

[dai115jpさんの感想 · 2016年3月8日]

救われない内容でした。
頼子がかわいそう。

やっぱり最後の人が真犯人なんだと思っています。

[シュンスケさんの感想 · 2015年2月4日]

最後の鬱展開がこの作品を名作足らしめている。こんなにも胸糞が悪くて、こんなにも心揺さぶられる作品もなかなかないと思う。

[konnさんの感想 · 2014年12月12日]

面白かった。作者の宣言通りウィチャリー家（僕はロスマクをこれしか読んでないのだ）を本格でやっている感じ。しかし「ボーイズ・ビー・シド・ヴィシャス」というのはどうなのだろうか……？

[ミネちゃんさんの感想 · 2014年10月5日]

法月シリーズでも指折りの傑作のひとつ。
結末の後味の悪さも天下一品。
語られる「真実」が次から次へと更新されていくので、最後まで真実は分かりません。探偵も読者と共に悩みまくる様がとてもリアルです。

[なーさんの感想 · 2014年9月30日]

ジョイ・ディヴィジョンが半端な小道具に使われてるのが無粋！法月の好みなんだろうけど、この話の世界の持つ色調にさほど合っていない。この手の引用って、例えば、台詞の中に擬音語を入れるのと同じくらいのデリカシーが要求されると思う。

もっとポピュラーなものを使わないと読者を限定してしまう。端から沢山の読者を想定していないというか、
どうせ自分の作品は老若男女に遍く読まれるものではないから、と諦めてる感があって、よろしくない～。

某村上なんか、ビートルズだストーンズだって、世界中の何語に翻訳されてもＯＫなのを使うじゃないさ。

交通事故で半身不随になった西村海絵。
１４年間自室に篭もっている彼女が子どものために物語を紡ぐ作家であることが、この話の中で実は一番恐ろしいことかも。

[chmkt1567さんの感想 · 2014年9月23日]

最近読んだ中では最も面白かった。

著者プロフィール

1964年島根県松江市生まれ。京都大学法学部卒業。88年『密閉教室』でデビュー。02年「都市伝説パズル」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。05年『生首に聞いてみろ』が第5回本格ミステリ大賞を受賞し、「このミステリーがすごい! 2005年版」で国内編第1位に選ばれる。2013年『ノックス・マシン』が「このミステリーがすごい! 2014年版」「ミステリが読みたい！　2014年版」で国内編第1位に選ばれる。

「2023年 『赤い部屋異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」