- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061854017
感想・レビュー・書評
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娘を通り魔に殺された父親が「犯人」に復讐を果たすまでの手記から物語りは始まる。
でももちろん話は探偵・法月綸太郎によって大きな変容を見せる。
嘘をついているのは誰なのか。
この作品のテーマは「愛」なのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うーむ。あんまり面白くなかったかも。
あちこちで「法月の作家的転機を迎える作品!」と絶賛されていたので、過度に期待し過ぎていた。
まず何とも言えないどっちつかずの展開がとても気になった。本格なのかハードボイルドなのか。本格であれば「雪密室」の方が面白いしハードボイルドだったら「一の悲劇」の方がよくできていると思う。そのどちらとも言えないあやふやな雰囲気が何とも言えずもどかしい。
それから随所に表れるかなりご都合主義的な展開。ハードボイルドでは結構ありがちなのだけど、「そう簡単にいくかよ!」と思わず突っ込みたくなってしまう。例えば医者は他人にそんなに簡単にペラペラいろんなことを喋らないだろう、とか、目的の人物はそういつもいつも家にいないだろう、とか。余りにも簡単に(見える)事が運びすぎていて物足りない。
これは本格「推理」小説じゃなくて「捜査」小説なのだから仕方ない、と何度か自分に言い聞かせたのだけど、やっぱりこううまく行かれちゃうとなぁ。名探偵の資質はそこ(運の良さ)で問われる訳じゃないし。
ストーリーは案外簡単に予想がついた。でも途中で政治的な大きな力が絡んできたときは目をおおいたくなった。一体法月は何が書きたかったのか、見失いそうになった。
最終的にはいろんなどんでん返しがバタバタと用意されているのは、いつもの手練れなのだけど今回も後味は悪い。
いつも思うのは、余りにドンデンが多すぎて「で、本当の所一体誰がどうしたの?」と言いたくなってしまうことが多い。私の頭が悪いだけなのだろうけど、「いや、そうじゃなかった」「いや、これも違う」みたいな展開が多いので、たった一つの真実が薄められてしまう気がするのだ。
トリックに別のカウンタートリックを当ててくるのは推理小説の基本で、「あ、そのアイデア思い付いたのにぃ〜」と唸らされるのが醍醐味なのだけど、こう何度も何度もひっくり返されると「で、結局どれが本当な訳?」と思ってしまう。
私的には、一つの道筋に光明を当ててその道を貫き通して欲しいのだけど、法月倫太郎の手法はそうではないようだ。
ところで、作中少女が聴いているのはジョイ・ディヴィジョン。あくまでも暗い。暗すぎる。 -
家族の愛憎の心理がよく書けている。ロスマクたる所以。どろどろして暗い話になりがちなところを、アクのない名探偵が中和している(褒め言葉)。これぞ本格とハードボイルドの融合。
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「人を殺すという美徳」
親しい人のために人を殺すことは善か悪か。 -
どんな顔してこんな作品を作ったんだろうと思わせるようなくらいどろどろした作品。悪い意味ではなくすごい作品だなぁ。
だれが、なぜ殺人事件を・・・という謎解きが、これでもかというほどのどんでん返しを伴ってやってくる。
オムニバスで発見した作家であり、そのときには大いに気に入ったというほどではなかったんだが、これを読むとほかの作品も読みたくなるなぁ。もっとも、次の作品はもう少しからっとしたものにしたいけれど。
追記)
一度は自殺を試みた患者を5階の病室に置くというのは、現実的にありえるだろうか。少し疑問だなぁ。 -
「頼子のために」という題名に惹かれて手にとりました。
読み終えて、この題名の魅力がより一層強まりました。
自分好みの作品です。 -
本格物を書く著者ですが、この作品が一番好き。前半の手紙部分と後半の法月君?の謎解き部分とで構成されてますが、なんの事件が起こるわけではなく、過去の事件を詳細な分析でから真実をあきらかにする…好きです。これ。
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読みはじめと読了後とで世界が一変した。頼子や西村、海絵への印象がめまぐるしく変わる物語。
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それぞれの愛の違いが悲しく怖い。
最後のシーンで印象が変わった。