グランド・フィナーレ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 804
感想 : 158
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062127936

感想・レビュー・書評

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  • カメラ、淀み、エロ それらが絡み合う 神町が基礎に存在していて、そこで繰り広げられる話 なんか一文が長くて、印象的には大正時代とかの小説の雰囲気

  • ビックリするくらい面白かった。こんな感想はどうなのかと思うけど、本当に驚いた。
    後の「ピストルズ」に繋がる表題作は遠くの事象と近くの事象が対比してるような構図。
    何もないんだけれどもバッドエンドになるだろう、という空気感がよく出た馬小屋の乙女。
    新宿という街が持っている雰囲気を強烈なエロさで描いた新宿ヨドバシカメラ。
    表題作にまた戻るような結末を迎える20世紀。
    どれも外れなし。一冊にまとまっていながらそれぞれの短編の個性もよく出ていて、文句のつけようがない。と思っているのだが、今までこの作品が面白いという評判を耳にしたことがない。芥川賞という有名な賞を取っているにも関わらず、その作品自体があまり知られていないのは自分の周りだけの話だろうか。またはこの作品のテーマが人気をもたせづらいのだろうか。いずれにせよ小説が好きな人は読んで損はないはず。

  • 私には理解不能

  • 第132回 芥川賞

    芥川賞というものが、「純文学」に対して与えられるべき賞だという規定からすれば、阿部氏の受賞はなるほどそうなのかもしれない。ただ、読了した人の感想を聞けば、おそらく両端になってくるだろうことは否めない。
    受賞作にして本書のタイトルにもなっている中篇『グランド・フィナーレ』は、ロリコン趣味が妻にバレてしまい離婚。愛娘とも会えなくなってしまった30代の男が主人公だ。何とかして愛娘に会おうと接近を試みるものの、法的にも会うことを禁止された身となってしまってはそれも適わない。行き場を失った主人公はやがて実家へ帰り・・・という話だ。
    大江健三郎の如き難解な文言も登場し、「文学」という規定にはしっくりと収まっているように思うのだが、如何せん文意が掴みにくい。まして併録されている他の3篇については、その度合いはさらに強まり、私には到底理解できなかった。
    文学を文学として味わいたい人なら、読んで然るべきだろうと思う。

    2005年2月/講談社/単行本

  • ちょっとなー、というのが正直な感想。シンセミアほどのパワーは感じませんでした。

  • やはり「神町」と関わりのある作品。
    阿部和重氏の作品に本作から入ってしまった場合、
    次の作品を手に取る機会はなかなか訪れそうに無いなぁ、
    という気が少しする。
    萎んでいきそうな話を、力技で立て直す力量はさすがだ。

    2004 年下半期 第 132 回芥川賞受賞作品。
    (1 年前には「金原ひとみ」と「綿矢りさ」が受賞している。この頃はちょっとおかしかったのかも知れない。)

  • ロリコンの教育映画監督が、自分の娘の裸の写真を撮影したことで家庭が崩壊し、引きこもった田舎で、二人の女児に出会うという話。文章は丁寧に書かれているし、色や雰囲気や服装に拘ったんだなという部分が好印象。しかし、投げっぱなしの設定がいくつもある上に、ラストがどうグランド・フィナーレなのかを書いていないので消化不良。物語という平面の上に時代を切り取ったようなボコボコとした手触りのディティールを感じるのだが、ロリコンも生かされていないし、女児のキャラも薄い。ひたすら主人公が独白している印象。いくつかある長台詞が言いたいテーマなのかもしれないが、偽善者的であまり好きではなかった。芥川賞対策で書かれた作品?

  • 神町サーガを鳥瞰する物語である『ピストルズ』を先に読んでいたため、味わいが半減してしまった。
    ただ、Iからの強烈な批判を受ける1部終了時点までは楽しめた。個人的にはあそこで終わってもよかった。
    表題以外の作品は、正直読む価値を感じなかった。

  • 第132回 芥川賞 初版

  • 「ロリコン」なんて聞くと、気持ち悪くて仕方ないのだけれど、この本の主人公にはあまり嫌悪感を感じない。
    語り口が普通で冷静だからか、こちらも淡々と受け入れてしまう。
    その普通さが怖さに変るのがIの話の内容だ。
    彼は最後に出会った少女たちを大人として助けてあげられるのだろうか。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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