ぼくには数字が風景に見える

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062139540

感想・レビュー・書評

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  • Born on a Blue Day、「青い日に生まれて」。
    日本語タイトルもだが、この原題にも惹かれて、絶対読みたいと思っていた一冊。
    サヴァン症候群の著者が共感覚をここまで言語化してくれるとは、本当に驚いた。
    何より、アスペルガーであるが故に周囲との関係が希薄になる可能性もあったのに、彼は外の世界(例えば外国)へ向かうことをやめなかったことが素晴らしい。
    言語能力が高いこともそれを助けた要因だろうけど、新しい機会へ挑戦していたことが、すべての結果を招いたのではないか。
    又、彼は過去の葛藤や苦悩を自分なりに解釈し、納得している。
    心から尊敬したくなる。一人の人間として。

  • 類まれな数学と語学の才能に恵まれながらも、障害に悩まされるダニエルは自分の運命をしっかりと受け止めて、前向きに力強く生きていく。
    その根本にはパートナーや両親の絶大な愛があったのだろうと思う。
    自分のことを認め、信じてくれる人がいることに感謝しなくてはいけないと改めて思った。良書。

  • この著者ダニエルタメット氏のyoutubeの動画があって、見てるとよいと思います。
    私はこの人にただならぬ魅力を感じました。

    私も数字や文字に色やら質感を感じるけど、とくに役立つことはないです。

    私は、共感覚の人は性(自分の性・指向)の境界が曖昧、とか両性愛、同性愛者の傾向にあるのではないかという仮説をもっているんですが、もし「私もそうだよ」という人がいたら意思表示してください。

  • 純粋に書かれていて素直になれる本。

    数字が色や質感を伴って見えるという共感覚。
    一体どんな世界が広がっているのだろう、とわくわく想像してしまいます

  • 心があったかくなる

  • サヴァンでありアスペルガー症候群の著者の手記。数字に色が結びついていたりする「共感覚」の持ち主。

    著者は記憶力にも優れ、言語の習得も得意。サヴァンは恩恵ではあるけれど、良いことばかりではない。人と違うことで、傷つけられてもきた。それでも彼は穏やかに、自分のできることを考え、実行しようとしている。彼の両親も、息子が何を考えているか、何を見ているのかわからなくても、彼から離れることはなかった。それもまた素敵なことだと思う。

  • 「11は人なつこく、5は騒々しい。4は内気で物静かだ」
    著者ダニエル・タメットは、あらゆる数字をまるで友人を紹介するように、それぞれの個性を表現する。
    彼は「サヴァン症候群」という先天的な知的障害を持つ。
    左脳に障害を持つため、それを補おうとして右脳が著しく発達し、数学や語学の方面に天才的な発達を見せる高次機能障害だ。逆に法則のない曖昧な事柄への理解は、苦手らしい。
    さらに彼は、数字が図形や色として捉えられる「共感覚」という力を持っている。
    一見脈絡の無い数字の羅列に見える円周率も、彼の目には色と形をもって、一幅の絵のように映し出されているのだ。

    その天才ぶりは並大抵のものではない。数週間で新たな言語を次々と習得し、円周率暗唱記録・欧州チャンピオンの座を守り続けている。しかし彼のこれまでの人生が、順風満帆だったのかというと、そんなことはない。
    彼はサヴァン症候群や共感覚と共に、「アスペルガー症候群」という、人とのコミュニケーションにおいて不備が表れる機能障害も持っている。そのため中学まで、親しい友人は一人もできなかったという。
    彼は、自分が同級生達とは何かずれているのだと、薄々感じていた。でも、その決定的なズレをどうすることもできなかった。子どもというのは、自分と違う存在にとても敏感だ。そして学校という場所において、「人と違う」ということは、けして有利に働くことばかりではない。
    自分が「異質」だと気づいたときの、著者の葛藤を読むたびに、それはどれだけよるべない心持ちだったろうかと、想像する。
    これまで自分が拠り所にしてきた、例えばルールや単位、そういうものが全て否定されてしまう瞬間のことを。羅針盤も無く、沖に流された小船が、波に翻弄されるさまを。

    それでも彼は、思慮深く、自分の特徴を理解しようと客観的な目をこらしている。自分の投げかけた言葉は、誰にも届かず地に落ちるかもしれない。それを、どうしたら受け取ってもらえるだろうかと、真摯に考え続けた軌跡が、この自伝である。生まれたときから、世界とのズレを感じ続けた彼が、自分の力で居場所を広げていく。
    とても魅力的な男性の姿がつづられた、人間の可能性の話だ。

    そして、著者と同じくらいに偉大なのは、彼を支え続けた両親だろうと思う。
    自分に想像がつかないもの、というのは空恐ろしい。
    ましてやそれが、血を分けた実の子どもであれば、なおさら脅威的に映るだろうと思うのだ。
    明らかに自分たちとは違う世界を見ている子どもを受け入れるのは、そうたやすいことではないはずだ。それでもダニエルの両親は、自分たちよりも遙かに遠く、数字のもとに佇む息子の手を、けして拒絶しなかった。

    障害が判明したとき、息子と同じものを見ることはかなわないと、彼らは知った。
    お互いに言葉がうまく届かない可能性も、知った。
    でも、例えば、手を握ることはできると気づいた。
    訳の分からない場所で、誰かが手を握っていてくれたこと、その体温の記憶があれば、何とかなるかもしれないと、そう思ったのかもしれない。幼少期、障害による神経過敏で、四六時中泣き続けるダニエルを、交代でひたすら抱き続けられたのは、そんな希望があったからだろうか。

    誰も侵すことのできないこの世の美しい秩序と、説明できない柔らかな温度が合わさって、この天才は生まれた。人が持つ深淵を、垣間見るような思いがする。そして同時に、人の可能性の限界を、はるか彼方に望む。もっと行ける。そう確信させる、力に満ちたノンフィクションだ。

  • サヴァン症候群の著者による自伝

  • これはだいぶ面白かったかな。
    もともと興味あることやし、それもあるかもしれんけどな。

    サヴァン症候群って凄ぇーな、改めて思った。

    『数字が風景』以外の他の症状の人も見てみたいなぁ。
    あー…研究してみたいなー、こう言うのも。

  • アスペルガーだけどサヴァン症候群で、かつ共感覚の持ち主であるイギリス人男性の自伝。
    語学と数学の天才で抜群の記憶力がある一方で、他人の気持ちがわからず行間が読めず“普通の”暮らしを送るのに並外れた努力と周囲の愛情を必要とする人。

    [memo]
    ・彼の公式サイト:http://www.optimnem.co.uk
    ・彼を取り上げたテレビドキュメンタリー:ブレインマン
    ・イギリスの数学者ジェイムズ・ジーンズの考案した円周率の覚え方(小数点以下14桁まで):
     How I want a drink, alcoholic of course, after the heavy lectures involving quantum mechanics
     それぞれの単語の文字数(How は3、I は1、want は4で3.14…)で覚える。
    ・ファインマン・ポイント:円周率の小数点以下762桁から767桁までの 999999。
     「……nine nine nine nine nine nine and so on.」
    ・デジット・スパン:連続した数字を見てそれを正確に思い出す能力

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著者プロフィール

作家、言語学者、教師。1979年、ロンドンに生まれる。9人きょうだいのいちばん上として育つ。2004年、円周率の暗唱でヨーロッパ記録を樹立。それをきっかけに制作されたTVドキュメンタリー「ブレインマン」は40ヵ国以上で放映され、大きな話題を呼んだ。自伝 Born on a Blue Day は世界中でベストセラーとなった。日本でも『ぼくには数字が風景に見える』(講談社)として出版されて、好評を博す。その他、邦訳書には『天才が語る サヴァン、アスペルガー、共感覚の世界』(講談社)がある。現在は、自身のウェブサイトOptimnem で、外国語学習プログラムを展開している。パリに暮らしている。

「2014年 『ぼくと数字のふしぎな世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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