ぼくには数字が風景に見える

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062139540

感想・レビュー・書評

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  • 自分と違う世界が見える人が自分に近い言葉で語ってくれる貴重な本。
    この人の講演をネットで見てから興味を持ったので読んでみました。
    サヴァンとか自閉症の人でこのように話せる人がいること自体が不思議だったのですが彼自体珍しいんですね。
    そして彼の親御さんも素敵な人だとわかったし、彼が今後どんな風に生きていくのか興味深いです。

    翻訳者さんもきっと大変だったんだろうなと思いながらすごくわかりやすい訳語で読みやすかったです。

  • サヴァン症、てんかんの後遺症の為に、幼少期は周りから理解されずに苦労したが、大人になってからは自分の才能を生かして自立した生活を送れるようになった作者の自叙伝。数字が色やイメージを持ってみえる共感覚ってどんな感覚なんだろう?その能力を持つ人には、みんな同じようなイメージをもつのかな?脳の働きはやっぱり不思議だ。

  • 請求記号 : 336||T
    資料ID : 10702837
    配架場所 : 工大一般図書

  • サヴァン症候群とアスペルガー症候群についての理解が深まる内容。
    共感覚においての可視化がどの様なものかが克明に書かれており、風景や料理が数字に例えて表現されるのが面白い。彼の感覚と能力が羨ましくなる。

  • 結論から言おう、ダニエル氏が持つ驚異的な能力以上に、その生き方と我々人間そのものについて考えさせられ、肩の荷が下りるような本だこれは。

    本書は著者ダニエル・タメット氏が自身が生まれもってサヴァン症候群であり、アスペルガー症候群でありながら、どのようにこの世界を感じ人生を送ってきたのかを
    自伝という形でその驚異的な記憶力をもって表現された書である。

    映画「レインマン」でダスティン・ホフマン演じるサヴァン症候群の人間(キム・ピーク)をご存知である方は、このサヴァンが持つ驚異的な能力(共感覚等)に関しても大凡ご理解頂けると思うが、簡単にダニエルの能力の
    片鱗について記載すると、円周率を小数点以下22,500桁記憶し、言語については10カ国語を話す事ができ、特異な能力としては生年月日の曜日を即答する事が出来るというものである。
    (なお、上述のキム・ピークに至っては、本を読むにあたり見開きの左右両ページを同時に読み進める事が出来るらしい。)
    個人的に、本書を読むにあたり、実はこのサヴァンの能力のメカニズムに触れたく読み始めたくらいこの能力は、我々の想像を超えている。
    ダニエルも自身の能力に関する、メカニズムについては本書においても少々脳科学の分野における研究結果について記載があるので、大体は理解できる。

    しかし、本書の最大の魅力は実はこのサヴァン症候群について、どうのこうのという部分ではない上にそこにフォーカスし過ぎると面白くないかもしれない。
    本書の魅力は、サヴァンに関する記述以上に2点ほどあり、それについて記載し本書の書評としたい。

    1点目は、ダニエルがサヴァン症候群である前にアスペルガー症候群であり、アスペルガー症候群というのは簡潔に言えば極端に他者とのコミュニケーション能力にハンディをもつ事を意味する。
    そんな中、ダニエル自身である程度克服をし、コミュニケーションができるまで訓練していくわけだが、そのハンディを考慮した上で(考慮せざるを得ない)自分自身の人生を取捨選択し
    自身の能力を最大限生かした好きな事に没頭した生き方をしているのである。[ダニエルは現在、internetを利用し言語教育のコンサルティングを提供している]
    これは、酒井穣氏の言うところの基本的情動に従った人生の生き方の良い実例であり、非常に勇気づけられる。

    2点目は、このアスペルガー症候群、サヴァン症候群について、あとがきで精神科医の山登啓之氏も記載されており、ダニエル自身も本書中でよく使用している自閉症スペクトラム、もしくは自閉症スペクトラム障害という解釈である。
    自閉症とこのアスペルガーは、障害として非常に近いところに存在しており、厳密な線引きを行う事が意味をなさないのではないかという解釈であり、これら二つに共通する点は、「人の心の動きがよくわからないので、対人関係がうまくとれない」という点と「ひとつのことに強くこだわり、新しい事柄や環境をなかなかうけいれられない」という点である。
    つまり、極端に表現すると、所謂オタクと呼ばれるコミュニケーションはうまく出来ないが、極端にある分野に突出した能力と執着を発揮する人物とこのアスペルガー、さらには自閉症の間には明確な線引きをすることが無駄であるということである。
    これは、そもそも、健常者と障害者という切り分け自体が無謀で、そもそも人間とは「他との異」つまるところ多様性をもってしかるべきものである事を、物語っている。

    本書を読み、上記2点を感じ思うところは人ぞれぞれであろうし、感じ方も多様であると思う。
    しかし、心の豊饒をすくなからず感じる事が出来る事は間違いない。
    うむ、いい。

  • 平易で比較的読みやすい訳。
    ところどころ意味の通りづらい部分もあるが、論文でないことを加味すれば読み過ごせる範囲だと思います。
    個人的には共感覚に興味があって手に取ったので、
    著者のバイオグラフィ的な部分よりも、冒頭と最後のほうに置かれた、
    著者の数字に対する感じ方、言語に対する感覚の方に興味をひかれました。

    それから、ナイトの動き方についての部分など、「数学の問題」に関する部分も興味深かったです。
    数学を好む人は思考が自然に問題に寄り添っていて、その感覚で作られた問題に、私たちは見事につまずくのではないか、と感じました。
    (数学の問題で「出題者の意図を読む」というのはとても難しいことだと思うのです。すくなくとも、私は)
    これは、たんに私が数学を不得意としているからなのかもしれません。
    でもこれを読んだおかげで、少しだけ、その感覚に寄り添えるような気もしました。

  • -11は人なつこく、5は騒々しい、4は内気で物静かだ

    サヴァン症候群の著者による、心打たれる手記です。
    (情報サービス係職員)

    ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00127092

  • たんたんとした、たくらみのない文章そのものに筆者の個性を感じる。サヴァン症候群、アスペルガー症候群…そうした広汎性発達障害について、もっともっと知識を深めたい、と強く感じた。

  • 筆者が、実際にどのようなことを考えながら今まで暮らしてきたのかがよく分かった。当時の気持ちがそのままに描かれていることに衝撃を感じた。細かいところまで記録的に描写されているところに、筆者の性格が表現されていると思った。 子供のころは、生活に不便することも多かっただろうし、なかなか不自由な部分も多いので、ずいぶん苦労しただろうと思った。くじけずに練習を重ね、今は穏やかな、でもチャレンジングな生活を送っていて、素敵だなと思った。

  • サヴァンでありアスペルガーでもあり共感覚も持つ男性が自分の半生を綴る。

    自分はみんなと違うと感じ、居場所への違和感を常に抱えながらも、少年時代は大人たちの理解と柔軟さに恵まれ愛情深く育まれてきている。特に両親の忍耐と賢さには頭が下がる。
    日本で同じようにするのは難しいだろうなあ、特に学校。

    アスペルガーの特徴とも言える独特の反応や感覚に関する、ダニエルの子供時代の回想を読むと、いくつかとても共感できる部分があった。
    連続していると捉えるなら、自分の中にある似た部分と、アスペルガーや自閉症と診断された人たちとがとても近く感じるし、理解できるかもと思える。

    それにしても、コミュニケーションや環境順応が困難で、予定外の事態に直面するとすぐにパニックを起こす人が、よくたった一人での海外でのボランティア生活を決意したものだ。
    自立を渇望し、自分の弱点を克服するために大きな勇気と慎重な準備と、そして何よりも想像を超える努力とで様々な挑戦を続け、人生を切り拓いてきた人。すばらしい。

    文章は平易で静かで温かい。大仰な表現はひとつもないのに、情景描写の向こうから剥き出しの感情が伝わってくる。

    巻末の精神科医による解説も沁みた。オタク>アスペルガー>自閉症というひとつの連続体として捉え、発達の領域と過程の違いと考えるようになってきていたとは知らなかったな。
    自閉症への理解はまだまだ充分とは言えない状況下で、これはとても重要なことだと思う。
    良し悪しや優劣ではなく「タイプの違い」として捉えたい。

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著者プロフィール

作家、言語学者、教師。1979年、ロンドンに生まれる。9人きょうだいのいちばん上として育つ。2004年、円周率の暗唱でヨーロッパ記録を樹立。それをきっかけに制作されたTVドキュメンタリー「ブレインマン」は40ヵ国以上で放映され、大きな話題を呼んだ。自伝 Born on a Blue Day は世界中でベストセラーとなった。日本でも『ぼくには数字が風景に見える』(講談社)として出版されて、好評を博す。その他、邦訳書には『天才が語る サヴァン、アスペルガー、共感覚の世界』(講談社)がある。現在は、自身のウェブサイトOptimnem で、外国語学習プログラムを展開している。パリに暮らしている。

「2014年 『ぼくと数字のふしぎな世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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