わたくし率 イン 歯ー、または世界

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1091
感想 : 192
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  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062142137

感想・レビュー・書評

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  • 「ヘヴン」も「すべて真夜中の~」もどこまでが自分かとかどこが自分の芯であるかとかそういう決着の難しい疑問に向き合っている要素があったけど「わたくし率~」はまさにそれを真正面から向き合っている小説。描写の奔流素晴らしいです。

  • 最初はおもしろかったんだけどなあ。2編とも、結局狂女が罵倒されて終わるんだよなあ。独特な世界は分かるのですが、後味があまりよろしくない。

  • 先日川上未映子の画像を検索したらすごく美人さんで音楽も出来て女優もしててなにこの人すごいーと興味が湧いたので、図書館で著作を借りてきて読んだ。

    語り手の私が大阪弁なのでちょっと身構えてしまったけど意外とすらすら読めた。

    途中までは、お話がどこに向かっているのかよくわからなくて、もやっとしながら読み進めていたけど、終盤から一気におもしろくなった。
    なるほどそういうことだったのか、なんてひどい、いや、おもしろかったけど。

    設定とか語り口が変わっている本だったので、次はもうちょっと読みやすいのがあればそれを読んでみたい。

  • なんというか、終盤にいくにつれてぶわぁーっと引き込まれるような、そんな流れ。
    哲学とか勉強してみたい、と思った。
    また読もう。

  • 朝日新聞の夕刊でこの方のエッセイなど読んでいるので文体には慣れてる。芥川賞とったときより、馴染んでいる。
    わりと好きなもんだからね。手にとってみた。
    町田康女性バージョンみたいな。
    あぁ二人ともミュージシャンだからリズムに敏感なのかもしれない。関西出身というのも共通点だね。

    そうか実存というか自分の存在を問うってなテーマだったのか。なかなかに若い感じ。女性らしくもあり。

    自分にふりかかる痛みは隣の人にわからない。自分にしかわからない。
    自分と他人とを隔てているのはなんなのか--わたし未だ不思議に思うことがある。そのことをよく表現してくれてる思った。

    しかししかし。終盤、他者の登場により、すべては自分の脳内だけの妄想であったことが明らかになり他人から見た「わたし」の姿に驚いた。主語のない世界。一人称のない世界。
    その息もつかせぬ疾走感、グルーブ感がすごかった。

  • なんなんだこの小説……と思いながら読んでいたが、終盤で一気に世界が反転してからは、ああこれはそういう物語だったのか、としっかり納得がいった。

    それまであくまで主観のみで構成されていた身勝手な<わたし>の世界が、突如登場した他者の存在によってぐしゃぐしゃに破壊され、現実に引き戻されていく終盤の展開はあまりに残酷で悲しい。

    最後に<わたし>の存在が完全に消滅した主語の無い世界の情景が描かれる歯科医院のシーンは見事だった。


    ただ、全容を把握した後であらためて物語を見ると、わりとステレオタイプな話で、叙述トリックにごまかされたような感じがしないでもない。

  • .

  • ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

    わたくし理解不能
    イン川上未映子's歯ー、または世界

  • 今度はnucoさんの本棚で見かけた川上さんの小説を読んでみた。
    む、難しい。。。改行されないからジェットコースターに乗ってる気分だ。読解なんておこがましいし無理。小説が好きな私はやっぱり起承転結で読んでおきたいところ。
    こういうのを文学的と呼ぶのだろうか。。。残念ですが、まだまだ読めそうもありません。もっとたくさんの本を読んでまた読んでみたい。

  • 数日前ラジオをつけたら、ひどく今時というのが似合うようなわたしの好まない話し方をするおんなが話をしていた。途中でようやくわかったのだが、それがこの本の著者だった。

    読めば読むほど、その日ラジオで聞いた著者の言葉が蘇った。まさにその具現と化したものが頁全体で踊っていたのだ。

    “昔から、人が何にも思わないような面倒くさいことが気になるんです”

    なんとはなしに聞いていたけれど脳と言うのは意外としっかり覚えてくれているみたいで、しきりにその一言が胸をつく。
    確かに、ふつうの人はこんなこと気にしないだろうなあ、という話の展開。最初の数ページはこの独特で強烈な世界観に入れなくて読むのが苦しかった。でも、だんだん「気にならざるをえなくなる」。一人称がすごい強くて気になる。なんで人ってこんなに人が気になるんでしょう。恐いくらいに。

    『ヘヴン』を読んだときも思ったけれど、川上さんはここが極限てとこまで引っ張って引っ張って、積もり積もったものを爆発させる力加減が絶妙でうまいと思う。見た目には無意味な言葉をつらねたような理解しがたい(ある種の人には文字通り「完膚なきまで」理解できないだろう)文章も、新しくて革命を起こすようなイメージを想起させる。その種の中で突出しているからこうして賞ももらっているのだろうが、この手の「ふしぎな」文章を書く人、存外巷で増えていると感じるのはわたしだけでしょうか。

    (20111112)

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著者プロフィール

大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。2019年、長編『夏物語』で第73回毎日出版文化賞受賞。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。その作品は世界40カ国以上で刊行されている。

「2021年 『水瓶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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