嫁さんが図書館で借りてきていた「東野圭吾」の長篇作品『麒麟の翼』を読みました。
「東野圭吾」作品は、昨年12月に読んだ『カッコウの卵は誰のもの』以来ですね。
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寒い夜、日本橋の欄干にもたれかかる男に声をかけた巡査が見たのは、胸に刺さったナイフだった。
大都会の真ん中で発生した事件の真相に、「加賀恭一郎」が挑む。
「東野圭吾」作家生活25周年特別刊行、――「加賀恭一郎」シリーズ最高傑作、書き下ろし!
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「加賀恭一郎」シリーズの第9作にあたる作品だそうです。
≪ちょっとネタバレあり!≫
どうして被害者は、胸にナイフが刺さった状態で、誰にも助けを求めず日本橋の麒麟像の前まで歩いて行ったのか、、、
その真相が判明したときは大きな衝撃でしたねぇ… 感動しました。
何か意味があるとは想定していたのですが、父から子へのダイイングメッセージだったとは、なかなか気付きませんよね。
「東野圭吾」本人も語っているように「希望」を感じさせるエンディングも良かった。
悲惨な事件があったけれど、残された者に対し、明るい未来を予感させる終わり方は、良い余韻がありましたねぇ。
そして、ミステリーでありながら、
○製造業における派遣工員の苛酷な労働条件、労働災害(労災隠し)
○稀有な家族の繋がり(そんな環境下での父子愛も描かれてますけどね)
○教育問題(ことなかれ主義、事件隠し)
○報道のあり方(恣意的な報道や過激な報道)
○ネットでの繋がり(今回はイイ意味での)
等々、社会問題や現在の人間関係を巧く織り込んでありところは、さすが「東野圭吾」作品… と感じました。
最初に見つかった容疑者は状況証拠から犯人であることが濃厚… それを裏付けるような証言が出てくるが、決定的な証拠が出てこず、「加賀恭一郎」が執拗な捜査により、一歩ずつ確実に真相へ近づいて行く展開は、相変わらず面白いです。
まさか、3年前、中学校で水泳部員が無断で夜間にプールに侵入して溺れた事故にまで遡るとは… 愉しめました。(ちょっと寝不足になっちゃいましたね)
備忘用に登場人物を。(Wikipedeaより)
加賀恭一郎
初登場時は大学生。
卒業後に教師になったものの、ある生徒間の出来事から「教師としては失格」と判断して教師を辞め、父親と同じ警察官となる。
捜査一課から練馬署の捜査一係に巡査部長として勤務する。
その後、久松署に転勤、現在は日本橋署で警部補として勤務している。
松宮脩平
恭一郎の従弟で警視庁捜査一課に勤務している。
父が亡くなっており加賀の父親である伯父を、実父のように敬愛している。
金森登紀子
恭一郎の父の隆正を担当していた看護師。
青柳武明
日本橋の事件での被害者。
建築部品メーカー「カネセキ金属」製造本部長。
青柳悠人
武明の息子。中学校時代に水泳部に所属していた。
中原香織
八島の恋人で同棲している。
福島県出身で八島と一緒に養護施設で育った。
八島冬樹
日本橋の事件の容疑者。かつて「カネセキ金属」に派遣されて働いていたことがある。
しかしある出来事で契約を切られた。
青柳遥香
被害者の娘で悠人の妹。父親の死に対する周りの態度に悩まされている。
青柳史子
被害者の妻で悠人と遥香の母親。
杉野達也
悠人の友人。中学時代の水泳部仲間でもあり、高校も一緒である。
黒沢翔太
悠人の友人。中学時代の水泳部仲間。
糸川
悠人たちが中学時代の水泳部顧問。
小竹
「カネセキ金属」工場長。
吉永友之
悠人たちが中学時代の水泳部の後輩。
練習中の事故により一命を取り留めたが今も意識を戻していない。