麒麟の翼

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062168069

感想・レビュー・書評

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  • 日本橋で殺された中年男性。犯人と思われる若者は意識不明。
    なぜ被害者はそこにいたのか。
    明かされる被害者と犯人と思われる男の関係。
    見え隠れする被害者とその息子の関係。

    みんな大好き加賀恭一郎シリーズ。

    -----------------------------------------------------

    被害者が息子たちのために祈りを捧げ、償わせて更生させようとしていたのにはしびれた。
    裏ではいい父親だったのに、本当かわからないけど労災隠しの犯人にされて無念すぎる被害者だった。

    子どもたちのことの過ちと対峙して死んでいった父親と、
    一瞬の過ちで死んでいった、犯人にされそうになった若者とその彼女。

    親がいなかったけど、東京で必死に生きていた若者ふたり。
    子どもたちのことを思ったあまりに殺された被害者。

    非常に重い対比だった。
    せめてもの救いは残された彼女がまた親になること。

    過去のプール事件の被害者の子が一番かわいそう。
    加賀さんの発言(お説教含む)が正しすぎて、金八先生かと思った。

  • 加賀刑事シリーズ。
    「犯人が特定されても、被害者や加害者が苦しんでいる限り、事件は終わっていない」と言って加賀刑事が誤解を解きほぐす。
    お父さんが労災の隠蔽に関与していたのか、それも加賀刑事にはっきりして欲しかった。
    伏線の取りこぼしがあるような印象。

  • 何故、あの場所まで、被害者は歩いてきたのか?
    終盤まで、真犯人わかりませんでした。

    家族って中々分かり合えないもの。
    父親が自分をどう思っているのか?
    何をしているのか?
    最後の最後で救われた気持ちになりました。

  • 買わなくて良かった!借りられた!今読んでる本の次に読んだる。おもしろいのはわかってるからわくわくぅ~。

  • 「新参者」の加賀恭一郎のシリーズ。
    映画化されましたね。

    明治44年に架けられた日本橋。
    (今は無粋な高速道路の下になっているが)
    刺された男が何故か日本橋の中程まで歩いて行って、麒麟像の装飾柱の所にもたれていた。
    酔っぱらいかと思った巡査は驚く。
    男性は青柳武明。

    その夜、交通事故で意識不明になった若者がいた。
    八島冬樹は26歳。失職中で、いぜん青柳の勤めるカネセキ金属で派遣社員として働いていたという。
    その八島が青柳の財布を持っていた。強盗か、遺恨か?
    同棲中の恋人・香織は、実は電話を受けていた。
    「えらいことやっちまった」という…

    リストラされた八島は、会社の不正の犠牲になっていた?
    青柳は、不正を隠そうとしていた責任者とされる。
    思わぬ報道に、青柳の妻子は苦しむことに。
    父親と上手くいっていなかった高校生の悠人は…

    青柳がそもそも、なぜ、日本橋を歩いていたのか?
    地道な聞き込みを続ける加賀。
    半信半疑で同行し、思いがけない結果に舌を巻く従弟の松宮刑事。
    青柳は、近くにお参りをしていたことがわかってくる。
    信心深い方でもなかったのに?

    登場人物の様子が、丁寧に描かれて、心地良い。
    父を殺された息子と娘。
    恋人が事故に遭い、殺人の疑いをかけられてしまった女性。
    その背景には…

    穏やかだけど、正しいことをキッチリ言う加賀が頼もしい。
    苦しいことがあったとしても、それを受け入れていくことが出来そうな感覚を覚えます。

    一方では加賀が、うまくいっていなかった父親の一周忌もしないままで、ようやく三回忌はやろうかという、そういう流れもあります。意外なこだわりと弱み?
    父と息子の関係は、難しくなりがちなのか。これもどうなっていくのでしょうか…

  • 前に読んだような気もするけど(笑)映画にもなったし日本橋で働くようにもなったのであらためて読みました。
    読みやすさは相変わらずですが、小説としては特別面白くなかったです。
    感情移入できないというか、スッキリしないというか。最近の東野圭吾はイマイチ?

  • 東野圭吾らしい先を読み進む手を止められない一冊でした。
    全体像を捉えるように客観的な目線で見ていたつもりが、いつの間にか内容にのめり込んでいるのが東野圭吾作品の不思議なところであり魅力。
    意外な結末に若干拍子抜けした部分はあるけれど、とても分かりやすく伝わる作品だと思います。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「意外な結末に若干拍子抜け」
      私は結末は気にならなかった、どちらかと言うと青柳武明 (映画では中井貴一が好演)の真摯さに、心打たれました。。...
      「意外な結末に若干拍子抜け」
      私は結末は気にならなかった、どちらかと言うと青柳武明 (映画では中井貴一が好演)の真摯さに、心打たれました。。。
      2013/02/07
  • 今映画上映されてるから、加賀が阿部寛にしか見えませんでした★
    親の虐待多いけど、子供の為に死ねる親もいっぱいいるからね!!

  • いいネーミングです。しかも立体感のある装丁が美しい。
    この表紙だけ見て(背と裏表紙は見ずに)、ここが「あの場所」と分かる人がいたらすごい。有名なところではあるけれど、何気なく通り過ぎちゃいますから。
    私もこの場所は何度となく歩いているけれど、これほどまじまじと見たことはなかったので、近々買い物がてら見て来ようと思いました。
    で、見事にこのタイトルが内容の伏線となっている。
    東野圭吾さすがですなあ、と思わざるを得ません。
    けれど、分厚い本の割にはそれほど長く感じないのは何故だろう。単に読みやすいから? 
    なんか、あっという間だった。次の展開は? と興味深くページをめくるからだろうか?
    所謂文学作品と違って内面の心理描写などに細かい表現を用いないからなのか。
    私が東野圭吾に最初に入ったのは、ガリレオシリーズ最高傑作、直木賞受賞作でもある「容疑者Xの献身」からのせいか、どうもその後彼の作品を手にしても、それほど「すごい!!」と絶賛したくなるような作品に出会うことが少ない。
    ここ数ヶ月読んだ中では「マスカレードホテル」だけは群を抜いた面白さだったが、「白銀ジャック」は語る気もせず、「プラチナデータ」は似たような未来物ばかり作り続けている最近のハリウッド映画(2005年頃かな、確か人間全てにチップを埋め込み行動をCIAが管理しようとする映画があったはず)かと思ったし、「パラドックス13」などは、もろにSF映画(例えば、2005年のアイランドとか2007年のアイ・アム・レジェンドとか)としか評価できない。
    まあ、作品発表の時系列に沿って読んでいるわけではないので、最近の東野さんはと言い切ってしまうべきではないのだろうが。
    ただし、この作品でも疑問点がいくつかある(なるべくネタバレしないように書きます)。
    P295:「キリンノツバサっての知ってるか」と尋ねてくる場面。
    何故に彼はこの存在を知ったのだろうか? どこで? どうして? これが全く分からない。
    このネットの世界に数多あるブログから偶然?? たまたま?? それはありえないでしょう。
    これ、分かる人がいたら教えてほしいのです。是非コメントお願いします。
    P301:たまたま入った和紙の専門店で(中略)これだ、と閃いた。
    これも納得しづらい。今時の高校生が和紙の専門店なんぞ入るのでしょうか? たまたま。しかもそこで○○○を折ろう、などと思うのだろうか? それまでの彼のキャラが、例えば日本文化に興味があるとかいう記述があるなら許せる。でも、そんなキャラには見えないのだが。
    これも、説明できる方がいたら、コメントお願いします。

    折り鶴の謎、七福神巡り、水泳大会などのキーワードを解いていく名探偵加賀恭一郎の推理と彼のキャラは興味深く、それなりに面白く読んだので、積読のままだった「新参者」を読む気になった。
    しかしながら、遥か遠い昔、高木彬光にはまり、「検事霧島三郎」や名探偵「神津恭介」の明晰な頭脳に舌を巻き、或いは「白昼の死角」の胸躍る展開に体が震え、一方で「破戒裁判」に、推理小説ながら読了後涙が止まらなかった人間としては、物足りなさを覚えたのも事実なのだ。 

    別に私はアンチ東野圭吾ではないし、先に書いたように「容疑者Xの献身」は稀に見る素晴らしい作品だと思ったし、「流星の絆」や「使命と魂のリミット」には涙した人間です。
    だからこそ、敢えてアンチテーゼの意味を含めて書かせていただきました。

    • natsumiさん
      小説を読んだ後のこういうやりとりがあってこその読書だと思いますし、そういうものがあって読書の楽しみも増していくものだと思います。

      p2...
      小説を読んだ後のこういうやりとりがあってこその読書だと思いますし、そういうものがあって読書の楽しみも増していくものだと思います。

      p295に関して考えたのは実はもう一つありまして、母親経由でそのブログの存在を知ったというものです。母親たちの連絡網はすさまじいものがありますので、例えば、吉永君のお母さんが久しぶりに会った息子の中学時代の同級生なんかに「ブログやってるのよ」と軽く言っただけで、その情報が杉野君のお母さんにまで伝わって、そこから杉野君にも伝わったのかなとも思えたりします。
      これは、一意見として流していただいて結構です。

      私のこれまでの読書は好きな作家さんでも、疑問点があっても、これはこういうものなのかなと受け入れて読んでいました。
      しかし、koshoujiさんの意見を聞き、好きな作家さんだからこそちゃんとしたものを書いてほしいという願望を持ってもいいのだと知りました。そういう視点を持つことでさらに小説を読むことが楽しくなりそうです。
      2012/02/29
    • koshoujiさん
      natsumi様
      返信ありがとうございます。
      なるほど、その考え方はありかもしれません。

      ──そういう視点を持つことでさらに小説を...
      natsumi様
      返信ありがとうございます。
      なるほど、その考え方はありかもしれません。

      ──そういう視点を持つことでさらに小説を読むことが楽しくなりそうです。
      私の真意が伝わっているようで、ありがたいお言葉です。今後ともよろしくお願いします。
      話は全く変わりますが、natsumiさんの本棚を拝見したら「おお振り」が入っていたので、思わずうれしくなってしまいました。
      2012/02/29
    • koshoujiさん
      東野圭吾ファンにお知らせ!!
      彼の最新作『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は3月28日発売です。
      図書館派の方々は、早めにご予約を!!
      自分のレビ...
      東野圭吾ファンにお知らせ!!
      彼の最新作『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は3月28日発売です。
      図書館派の方々は、早めにご予約を!!
      自分のレビューにこんなコメント書いて、誰か気づくのだろうか?
      2012/03/16
  • 自分に誠実且つ正直に生きなきゃね! 


    面白かった♪

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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