- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062180122
感想・レビュー・書評
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朱川湊人の独特の暖かい雰囲気もあり、少し不思議な物語で、自分の好きな作風なのに☆3つなのは、あの事件そのもののモヤモヤがすっきりしていないが原因かもしれない。とてもいい物語なのに現実のモヤモヤがリンクして、自分的にはいまいち…
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離婚した母親と暮らす進也と亜由美。
そこにロ突然やってきた不思議な男性「チキさん」
ずーっと、ほほえましい話で進んでいたので、少しずつ
不協和音のように嫌な気配が漂って、、、
それでも、最後まで優しいチキさんにほっとするとともに、
胸が痛くなってしまう。
彼が、どこかで穏やかに暮らしていてくれることを願うばかり。 -
ある朝、進也は、妹に起こされた。台所を見に行くと、知らない男の人が体育坐りで眠っている。夜の仕事をしている母が連れて帰ってきた人らしいが…。3人家族と謎の男チキさんの物語。
朱川湊人らしく登場人物たちのキャラが立ち、温かな雰囲気を醸し出す優しい文体も健在。家族のきずなを描く物語の展開もいい。それなのにイマイチと感じたのは、私が朱川作品に勝手に期待しているホラー色の無さのせいか。
(C) -
血のつながりがなくても相手を家族のように大切にできるようになるものなのかもしれない。
そんな関係が築けるなんて素敵。 -
妹の亜由美に起こされた進也は、朝の台所に体育座りしている男の人を見かけた。母さんが男の人を家に入れるのは初めてじゃなかったけど、ニワトリのような頭をした人は初めてだった。今まで家に来た人とは違う印象の男は、ある意味、本当に今までと違う人だった。亜由美と進也は彼のことをチキと呼び、彼との生活が始まったのだった。
妹に引け目がある進也はただ妹の幸せを願っている。チキさんはそれを察し、進也と亜由美に、ある行動にでる。それは、二人を喜ばせ笑顔にするはずだった。
__著者が得意とする郷愁溢れる時代の物語。今みたいに何もかも便利な時代ではなく、不便だからこそ人との触れ合い、関わり合いが大切だった時代。悲哀や喜びの感情もストレートに胸に飛び込んでくる。読み手が自ずと時代背景や生い立ちを照らし合わせてみるのではないだろうか。と思わせてくれた作品。 -
うーん・・・?
いつからかちょっと作風が変わった気がするんですが。
昭和っぽい懐かしい感じとか雰囲気とかは残ってはいるんですが、
ワタシが好きだった朱川湊人氏の作風ではない・・・。
もし次作を読んでみて、それもこんな感じの作風なんだったら、もう朱川湊人氏の作品は読まない。かな。 -
着地点が見えないまま終了。。。というのが第一印象。
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チキさんのお人柄にマイッタ・・・?
チキさんの力が回って回ってあの事件へと・・・・
ほっといていいと思うんだけどね。
3階からのダイブは不思議!
そんな力もあったのね。
ケチャップライス作ってみようかな~ -
ケチャップライスのようにごちゃまぜな感じもするが・・・
作者の人生観?的な描写はいつも大好きです。
生き様は・・・と思うが咲江さんのようにいつでも腹の据わったお母さんでいたい -
「小説現代」に連載された8話(と言っても連続している)の単行本化。
中学生の進也は、妹が5歳の時に公園の遊具で怪我をして足が不自由になり、それが原因で父親が出ていったことに責任を感じ続けている。
母は、水商売をしている店の客を時々家に連れて来て泊めるが、ある日台所で寝ていたのはモヒカンの男で、謎の組織に追われているというが、外見に反して優しく、料理もうまいので、兄妹は「チキさん」(モヒカン=鶏頭からのあだ名)と呼んですっかり懐いてしまう。
彼には金属を曲げられる超能力と、それを人に分けてあげられる能力があり(朱川ワールド!)、兄妹にも分けてくれるのだが、彼は子供の頃スプーン曲げの超能力で有名になり、そのために家族が崩壊し、ドラッグに手を出して刑務所に入ったことがあり、彼がドラッグを買うところを目撃した進也は、家から追い出すのだが、「家族を失った」喪失感を兄妹は味わう。
超能力を身につけた妹は、オウム真理教の信徒から教団に引き込まれそうになる。近づいてきたオウム真理教が探し、狙っていたはチキさんの超能力だった。荷物を取りに来たチキさんと進也は、妹を救出すべくオウムの集会所に乗り込む。
ハッピーエンドではないが、幸せでないと超能力が弱くなったり、オウム事件と絡めたり、妙な現実感があったりするのが朱川ワールド。
楽しめた1冊。