満月ケチャップライス

著者 :
  • 講談社
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062180122

感想・レビュー・書評

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  • 2012 12/4

  • 超能力のある男性と同居した事により、新興宗教と関わる事になった兄弟。
    お兄ちゃんの語り口調が哀しい結末をほのめかしていて、途中で挫折しそうだった。

  • 朱川さんお得意の
    ちょっと前の日本&不思議な事象に、優しくて哀しいスパイスをふりかけた物語。

    少々盛り込み過ぎかな、というお話で、つっこみどころはありましたけど、楽しく読ませてもらえたと思います。

    ある日、目が覚めたらシングルマザーと幼い兄妹で暮らす家庭にモヒカン頭のチキさんが。あぁ、また母親が連れてきたんだ・・と、あきれつつも慣れっこになってしまっている兄の気持ちがよくわかる。子どもって、自分の力では世界が動いていかないことを知っているから、なんでも周りのことは受け入れることができちゃうんだよね。


    で、そんなチキさんはとっても胡散臭かったのだけど(それは当然だよね。見かけも、そもそも一般家庭に突然転がり込む、ということからも)意外としっかりした家庭人で、兄妹に温かい家庭料理を作ってくれる。しかも、ちゃんと幼い二人に役割も与えてくれて、うん、この人いいんじゃないの、と読者に安心感をもたらすところが嬉しかった。

    でも、チキさんはもちろんワケありの男性で、そのまま幸せに暮らしましたとさ、とはいかない。


    軽くネタバレ入ります。


    なんと、彼は私たち世代にはまだ記憶に新しいスプーン曲げ少年(関口くんって言わなかったっけ?)の成人した姿だったという…。あの当時、似たような能力を持つ少年は何人かいたと思うけど、説明される状況がほぼ一人を特定させるもので、途中から、いいの??彼に失礼じゃないの?と思いながら読んでました。

    もっとネタばれ入ります。


    だって、チキさんはなんと、オウム真理教の人たちから追われる身、だったんだもの。



    なんかちょっとやりすぎじゃないの?と思いつつ、でも、面白かったのは、兄妹との温かいやり取りや、(彼らのお母さんは悪い人じゃないんだけど、幼い子どもを育てている自覚があまりないみたい。独立心を養う、という考え方とも言えるし、そもそも、女一人で子どもを育てているんだから、オールマイティとはいかないよ、というところはわかるんだけど)、二人にチキさんの超能力を分けてあげられるという発想、また、そのオウム信者たちの善良さと愚かさがストンと納得いくものだったということ。
    信者たちは、自分に誇れるものがなくて、強い自分になりたい、人に自慢できるものがほしい、というある意味、向上心を持って日々修行に励んでいたんだね。
    その真面目さが大きな流れに飲み込まれて、また自分たちの想像力のなさから、あのとんでもない犯罪に結びつくわけだけど。

    チキさんと連れてきたのもお母さんなら、別れを告げさせたのもお母さん。
    あまりに兄妹にとっては迷惑な話んじゃないかと思うのだけど、それも、なくはない話だろうなぁ、と。

    オウムの話はもちろんだけど、スプーン曲げの話も、森達也さんの著書が背景としてある気がする。だってとても見つめ方が似てるんだもの。朱川さんは森達也ファンなのかな、と、これはちょっと嬉しかったりするのだけど。

  • 擬似家族の雰囲気が温かい。

  • 良かったです。
    悲しいけど、清々しさがあり余韻に浸りました。

  • ☆は3つ
    デビューからづっと朱川湊人を読んでいる。おそらく一冊残さず読んでいる。例のウルトラマン本も読んだし。あれ?違ったかな。ガンダムだったかな。いやガンダムはたしか福井さんだ。だから朱川はウルトラマンで合っている。アンホリゾンデットなんとか,というタイトルだった・・・。
    いやいや,ウルトラマン本の話ではない。この本,満月ケチャップライスの話なのだ。かなり偏見に満ちてどこかへ捻じ曲がった作品である。だいたいに宗教が登場する時点でもうだめ。エンタテインメントぢゃなくなってる。
    最近の朱川はやはり少し変。太陽のなんとか,ってあたりからおかしくなってきていたと思う。
    やっぱ,その後に決定的なベストセラー本が書けなくて,第一線の人気作家(HやMやIみたく)になれないことがモンダイなのだろうか。いやそんなことは絶対ない。
    3年ほど前までの朱川は実に良かった。またあの頃の作風と作品に戻って欲しい,と思うのは,たぶんわたしだけだろう。すまぬ。

    • ryoukentさん
      おけいさん、こんばんわ。 って、ここに書いても気づいてくれないらしいですね。でもま、いいや。我が家は今からボジョレヌボとおでんで夕食です。わ...
      おけいさん、こんばんわ。 って、ここに書いても気づいてくれないらしいですね。でもま、いいや。我が家は今からボジョレヌボとおでんで夕食です。わはは。
      2012/11/15
  • どストレートでハートウォーミングな家族物語。何度も涙ぐみました。朱川系不思議ワールドとはまた違った味わいで楽しめます。さみしい人、つらい人はこれを読んで元気をもらいましょう。

  • 母が拾ってきたモヒカン男のチキさん。

    料理上手で気の優しいチキさんに兄妹フタリとも夢中♪大好物は満月みたいにまんまるのケチャップライス。

    そんなチキさん、実は不思議な力を持っていたのです。そのため、謎の組織○ウムに追われることに…

  • 朝起きると、時おり見知らぬ男が家の中にいるのも当たり前だった10年以上前の実家の思い出。主人公・進也が問わず語りのように語る一人の男にまつわる奇妙な話は、あのバブルがはじけた後の混沌とした時代の記憶をよみがえらせる。

    意外と生活力のある母親は、生計を立てるためにスナックを始め、そこで次から次へと恋人を変えていた。そんなある日、奇抜なモヒカン刈りのニワトリ男が台所に現れる。亜由美によって「チキ」と呼ばれるようになったその男は、髪型に似合わず気弱で、でも不思議な力を持っていた。

    得意なものは、男っぽい創作料理。なかでも、兄妹二人のために作ってくれた「満月ケチャップライス」は、その後の思い出とともに忘れられぬ味となった、、、

    覚えていようと思っても、記憶は時とともに風化するが、子供の頃の味覚の記憶だけは特別だ。殆どの人にとっては、それは母親の手料理の味だろうけれど、家庭的に恵まれなかった人にとっては、時には父の味だったり、ばあちゃんの味だったりするが、中にはこの物語のように得体のしれなかった「おじさんの味」という人がいるかもしれない。

    味覚の記憶が、つかの間の幸せの記憶を呼び覚ますこともあるのだ。

  • 母と妹と暮らす僕の家に、ある日見知らぬ男が住み着いた。
    ハートウォーミングな前半からキナ臭い後半そしてあっけないラスト。
    とっちらかった感あり。
    でもリアルっちゃリアル。

    【図書館・初読・11/6読了】

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著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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